「チベット」と聞くと、外界から隔絶された歴史を持つようにも思えてしまうが、そうではない。世界の多くの地域と同様に、古くから他の社會(huì)との交流を通じて、みずからの文化をはぐくみ、他の文化圏に影響を與えてきた地域だった。四川大學(xué)歴史文化學(xué)院院長(zhǎng)などを務(wù)める霍巍氏はこのほど、中國(guó)メディアの中國(guó)新聞社の取材に応じて、チベットと外界を結(jié)んだ「高原のシルクロード」の役割を紹介した。以下は、霍院長(zhǎng)の言葉に若干の説明內(nèi)容を追加するなどで再構(gòu)成した文章だ。

【その他の寫(xiě)真】

■チベットにある３～4世紀(jì)の墓で漢字縫われた絹布を発見(jiàn)

シルクロードとは中國(guó)などアジア大陸東端と西洋を結(jié)び付けた歴史上の道の総稱(chēng)だ。実際にはさまざまなルートがあった。チベットを通過(guò)する「高原のシルクロード」も重要なルートの一つだった。

チベットでは、現(xiàn)地で金屬の使用が始まった初期に殘された巖絵や器物に、スキタイ風(fēng)の動(dòng)物紋様が描かれていた。スキタイとは紀(jì)元前8世紀(jì)から同3世紀(jì)にかけてウクライナを中心に活動(dòng)し、遠(yuǎn)く離れた地域にも大きな影響を與えた遊牧民族だ。

最近になり、チベット西部で紀(jì)元3世紀(jì)あるいは4世紀(jì)に作られた墓から、「王侯」や「胡王」の漢字が縫われた絹布と茶葉が見(jiàn)つかった。チベットでは7世紀(jì)初頭に吐蕃王朝が成立する以前から、中央アジアや中國(guó)との交流が存在していたことは明らかだ。

■唐朝がインドに派遣した使節(jié)もチベットを経由

チベットと外部との交流は「プレ吐蕃期」「吐蕃期」「ポスト吐蕃期」に分けることができる?！弗抓焱罗凇工摔猊隶佶氓韧獠郡趣谓涣鳏卧^拠となる遺物などがある。しかし吐蕃王朝が出現(xiàn)するとチベットは勢(shì)力を不斷に拡大した。そして外の世界との交流も盛んになった?！弗抓焱罗凇工摔悉工扦舜嬖冥筏皮い俊父咴违伐毳愆`ド」はさらに確固たる交流ルートとなり、複雑化した。

10世紀(jì)に吐蕃王朝が滅亡すると「高原のシルクロード」は衰退傾向を示すようになった。しかし13世紀(jì)にモンゴルがユーラシアの広大な地域を支配するようになると、チベットはモンゴル帝國(guó)內(nèi)の交通網(wǎng)に組み込まれることになった。

吐蕃王朝は「高原のシルクロード」形成に極めて大きな貢獻(xiàn)をした。吐蕃王國(guó)を樹(shù)立したソンツェン?ガンポ王が唐の皇女の文政公主を第2王妃として迎え入れた後には、現(xiàn)在のラサから長(zhǎng)安までの道が整備された。また、チベット高原に源を発し、現(xiàn)在のバングラデシュで海に流れ込むヤルツァンポ川沿いに、チベットからネパールに達(dá)し、さらにはインドに至る道が形成された。

唐皇帝の命により何度もインドに派遣された王玄策も、このチベットを経由する道を利用した。1990年には、ネパールとの國(guó)境がある吉隆県で、巖の崖に唐代に掘られた「大唐天竺使出銘」の文字を含む銘文が見(jiàn)つかった。これは、王玄策がチベットを通じてインドに出た決定的な証拠と見(jiàn)なされている。

■「高原のシルクロード」は漢地に文化もたらす「血脈」として機(jī)能

吐蕃王朝期のチベットには中央アジアや西アジア、さらに南アジアからさまざまな事物が到來(lái)した。ペルシャや中央アジアで広く活動(dòng)した民族であるソグドの特徴を持つ金や銀器、香料、寶石類(lèi)、さらには馬具やポロといった馬に関係する競(jìng)技、ペルシャやアラビアの醫(yī)學(xué)も伝わった。仏教だけでなく、ゾロアスター教、ネストリウス派キリスト教、マニ教など數(shù)多くの宗教活動(dòng)が存在した痕跡も殘っている。

「高原のシルクロード」は、漢族が多くすむ地域、いわゆる漢地に対しての「文化の供血システム」として機(jī)能した。吐蕃王朝時(shí)代に発達(dá)した哲學(xué)や宗教、思想は唐代の漢地の文化に強(qiáng)い影響を與えた。チベット文化にも漢地文化の要素が溶け込んでいった。

「高原のシルクロード」は北方の「草原のシルクロード」「砂漠のシルクロード」と南の「海のシルクロード」を連攜させる役割も果たした。各地の文明が影響し合い、學(xué)び合い、自らを完成させていった狀況を見(jiàn)れば、現(xiàn)代の「人類(lèi)運(yùn)命共同體」の形成についても、より深く理解することができる。（構(gòu)成 / 如月隼人）