人気商品を買うために「列に並ぶ」ことには、一種の中毒性があるのかもしれない。一時(shí)期、一世を風(fēng)靡したココアパウダーが表面にたっぷり振り掛けられているパン「髒髒包」を購入する熱意や、人気スイーツ店「鮑師傅」の商品を買うために列に並ぶ「忍耐力」を今、中國式スイーツを販売する「墨茉點(diǎn)心局」や「虎頭局渣打餅行」、「瀘渓河」に注ぎ込んでいる若者が、中國で急増中だ。

【その他の寫真】

昨年11月、「虎頭局渣打餅行」の北京1號店が北京五棵松の華熙liveにオープン?！?度は食べてみたい」と、2時(shí)間かけてやって來る人も多い人気店となっている。

「墨茉點(diǎn)心局」も同年12月に、北京のショッピングモール?西単大悅城內(nèi)で盛大にオープン。店員が掲げる待ち?xí)r間を示すプラカードには「3時(shí)間」と書かれることもざらで、一番長い時(shí)では「7時(shí)間半」と書かれることもあるほどの人気だ。列に並んで買えるのならまだしも、結(jié)局買えないというケースさえ生じている。湖南省長沙市で誕生した「墨茉點(diǎn)心局」の商品を買おうと、多くの若者が週末にもかかわらず朝早くに布団から出て列に並ぶようになっているものの、一部の若者は「列に並んだのに買えなかった」という「がっかり感」を體験しているのだ。

さらに、以前は北京には進(jìn)出していなかった「瀘渓河」でさえ、今は數(shù)店を同時(shí)オープンさせるほどの勢いで、北京で店舗を増やしている。

「レトロ」や中國の伝統(tǒng)要素を取り入れたおしゃれな國産品のトレンド「國潮」、「手が込んだ作り」といった流行に関する全ての要素を、これら中國式スイーツはほぼカバーしており、若者が利用するSNSにおいて中心的地位を占めるようになっている。派手なデザインで、かつ「國潮」テイストに仕上げられたこれら店の紙袋をぶら下げて歩くことで、その若者のイケてる感がより表せているようにさえ見えるほどだ。

■新中國式スイーツは何が新しい？

若者が春節(jié)（舊正月、2022年は2月1日）に帰省する際に買う土産には、老舗菓子店「稲香村」や老舗レストラン「杏花樓」、「広州酒家」などのスイーツ商品がよく選ばれる。一方、友達(dá)と街に出かけたり、コーヒーを飲んだり、集まったり、事務(wù)所で同僚に配ったりする場合、こうした伝統(tǒng)の中國式スイーツの場合、やや仰々しく見えてしまう。

「墨茉點(diǎn)心局」は本來ならこぶしほどの大きさの餅菓子「麻薯」を、碁石ほどの大きさにして、さらに、コーヒーやイチゴ、マスカットといった若者好みの味をそろえている。また、シュークリームやエッグタルトなど、ほとんどの商品がバラ売りされている。コンパクトで、持ち運(yùn)びしやすいことや手の込んだパッケージなどが売りで、新中國式スイーツは、「おやつとして気軽に食べてもらう」というのがそのコンセプトだ。1個(gè)當(dāng)たりの価格も10～30元（約180～540円）と、リーズナブルな設(shè)定になっており、多くの人が気軽にトライすることができるようにもなっている。

そして新中國式スイーツのもう一つの重要な要素は「國潮」だ。

「虎頭局渣打餅行」の創(chuàng)業(yè)者?胡亭氏は以前、「店名に含まれている『局』という漢字には、庶民的で、親しみやすい感じがもともと含まれており、遊び心がある」と説明しており、「墨茉點(diǎn)心局」というのは伝統(tǒng)文化からつけられた名前で、人々を、うっそうと茂る竹林の中を、孤獨(dú)に敵を討ち狙う一匹オオカミというまるで武俠小説のような東洋の世界に引き込んでくれる。

ネオンが光る看板に、若者好みの個(gè)性的なデザインの紙袋、どんな角度から撮影しても見栄えが良いというのもその特徴だ。スイーツにそれほどはまっているというわけではなく、寫真を撮るために買うという若者も少なくない。商品以外に、新中國式スイーツは、多くの文化的価値を提供し、いろんな思いを抱く若者が、これらのブランドを通じて自分の個(gè)性をPRし、自分のイメージを作り上げることができるようサポートしているのだ。

一方で、100年以上に歴史を誇る老舗ブランドも、新中國式スイーツの躍進(jìn)を黙って見ているわけではない。例えば、「稲香村」は、若者をターゲットにした人気ブランドとのコラボ商品を打ち出したり、一部の店舗をお菓子を作る作業(yè)場がガラス越しに見えるようにリニューアルしたりしている。また、新たにオープンした旗艦店「稲香村零號店」は「國潮」の要素がたっぷりつまっている。別の老舗ブランド「祥禾餑餑舗」も、カロリー控えめの商品を打ち出している。

こうしたネット上で話題となっている店に足を運(yùn)ぶ若者たちのエネルギーは十分だが、その選択肢も増えるばかりだ。ベーカリー業(yè)界はハードルが低く、どんなにおいしい麻薯を作り、並んでも買えないロールケーキを作り出したとしても、他のブランドにすぐにコピーされてしまうことは免れられない。新中國式スイーツにとっても、生き殘りをかけた戦いの道のりはまだ続くことになるだろう。（提供/人民網(wǎng)日本語版?編集/KN）