4日夜に開催された北京冬季五輪の開會式では「24」という數(shù)字が演出意図を読み説くキーワードだった。この「24」とは、中國の伝統(tǒng)的な暦に使われる二十四節(jié)気によるものだ。ならば、二十四節(jié)気にはどのような考えが反映されているのだろう。中國メディアの中國新聞社はこのほど、二十四節(jié)気を詳解する記事を発表した。以下は同記事に若干の説明內容を追加するなどで再構成したものだ。

【その他の寫真】

■中國の伝統(tǒng)的な暦は月の運行だけにもとづく「太陰暦」ではない

中國では伝統(tǒng)的な暦を農暦という?！皋r暦は月の運行にもとづくので太陰暦だ」と説明されることがあるが、必ずしも正確ではない。というのは中國の農暦には太陽の動きにもとづく部分もあるので、暦の分類としては陽陰暦に屬するからだ。

農暦の中で、太陽の動きを反映する部分が二十四節(jié)気と言われる仕組みだ。純粋な太陰暦は月の運行だけにもとづく。そのため例えば潮汐を正確に反映するので海での活動には便利だ。しかし、太陽の運行については考慮していないので、季節(jié)の推移とは必ずしも合致しない。そのため農作業(yè)を行う時期の目安にするには不完全だ。

そのため中國の農暦には、太陽の年間の運行にもとづいて1年を24に分割する二十四節(jié)気が導入された。二十四節(jié)気は殷代（紀元前17世紀ごろ－同1046年）や周代（紀元前1046年－同256年）には萌芽があり、秦代（紀元前221年－同206年）から次の漢代にかけて完成された。

■二十四節(jié)気とは緻密な自然観察にもとづく「天人合一」の思想の現(xiàn)れ

二十四節(jié)気は中國における四季の交代に伴う気候の変化が精密に反映されている。それは、二十四節(jié)気の各名稱が自然における具體的な事象であることからも分かる。例えば「雷によって蟲などが驚き冬眠から目覚める」ことを示す「驚蟄」（日本ではより古い名稱で、暖かくなり蟲などが地中から這い出すことを意味する「啓蟄」を今も使用）、「イネやムギなどの芒（のぎ）のある作物の種をまく」ことを示す「芒種」、「霜が降る季節(jié)になった」ことを示す「霜降」などだ。

老子には「人は地に法（のっと）り、地は天に法り、天は道に法り、道は自然に法る」の言葉があるが、二十四節(jié)気はまさに、人は最終的には「自然に法る」、すなわち「天人合一」（天と人は本來的に合一性を持つ）ことを具體化させたものだ。

中國では「天人合一」の思想が強固になっていった。そして二十四節(jié)気は「天人合一」の影響を逆に受けることになり、さらには農作業(yè)の目安となる暦上の區(qū)分であるだけでなく、日常の行動の規(guī)範になっていった。司馬遷が著した「史記」の中でも、同書の解説部分である「太史公自序七十」には「陰陽、四時、八位、十二度、二十四節(jié)、おのおの教令（教えと定め）あり。これに順ずる者は昌（さか）え、逆する者は亡（ほろ）ぶ」と書かれている。

司馬遷は直後に「必ずしもそうでない」と続けているが、さらにその次には「春には生じ、夏には長じ、秋には収め、冬には蔵す。これは天の筋道である」として、「春夏秋冬の順は失ってはならない」と強調している。

■中國伝統(tǒng)の「循環(huán)時間観」が五輪の舞臺で世界と出會った

二十四節(jié)気はまず、北斗七星の位置により定められた。北斗七星を同一時刻に観察すると、日が経過すると角度が変わって見える。ひしゃくの先の部分が、東から南、さらに西、北と回転していく。そこで、ちょうど1回転する期間を「歳」とした。さらに「歳」を24等分して、その區(qū)切りの日を「節(jié)気」とした。最初の節(jié)気が「立春」であり、「歳」が巡って次の「歳」がやってくる直前の節(jié)気、つまり最後の節(jié)気を「大寒」とした。

季節(jié)の変化で言えば、「冬が極まれば『陽』が生じて春が戻る」ということになる。二十四節(jié)気は、次から次に生じて終わることがないという、循環(huán)時間観の具象化だ。中國では非常に幅広い分野で、この循環(huán)時間観が導入された。例えば、前漢代（紀元前206－紀元8年）に編纂（へんさん）された醫(yī)學書である「黃帝內経（こうてい だいけい）」でも、時間は循環(huán)するとの概念が示されている。

今回の北京冬季五輪は、第24回冬季五輪大會だ。開會式が行われたのは2月4日だった。さらにこの日は、二十四節(jié)気の最初の節(jié)気である立春だった。開會式の総監(jiān)督に就任した映畫監(jiān)督のチャン?イーモウ（張蕓謀）氏は當初、開會式のテーマをどうするかで悩んでいたが、ある日「24」という數(shù)字が不思議なほど符合しており、しかも當日が立春であることに気づいて、二十四節(jié)気を全面的に取り入れた演出を思いついたという。

二十四節(jié)気と第24回冬季五輪を結びつけたことは、文化の交流と相互學習のモデルとも言える。五輪大會というスポーツの祭典に対して改めて、人類文明の発展を見つめ、考えるために有益な視點を提供したことは間違いない。（構成 / 如月隼人）