2014年6月22日、カタールのドーハで開かれていた第38回世界遺産委員會(huì)は、中國?カザフスタン?キルギスが共同申請していた「シルクロード：長安－天山回廊の交易路網(wǎng)」を世界文化遺産と決定した。新疆ウイグル自治區(qū)のキジル千仏洞?スバシ故城?クズルガハ烽火臺(tái)?交河故城?高昌故城?北庭故城など33遺跡（中國22?カザフ8?キルギス3）が構(gòu)成資産である。ネット生中継を見続けていた筆者と妻は決定の瞬間、「萬歳！」と拳をつきあげた。28年前のキジル千仏洞との出會(huì)いが脳裏をかけめぐった。その話は次回にゆずり、今回はキジル千仏洞の概要を紹介。

キジル（克孜尓）千仏洞は天山山脈南麓のクチャ（庫車?往時(shí)の亀茲）西方約70km、ムザルト河の北岸に所在している。3～9世紀(jì)頃に造営され、約350の石窟と1萬平方メートル以上の壁畫が殘存している。海抜は1110m前後。中國四大石窟（キジル?敦煌?龍門?雲(yún)崗＝異説有）では最も西に位置し、インド仏教の影響を色濃く殘している。1961年中國第1次「全國重點(diǎn)文物保護(hù)単位」（日本の「特別史跡」相當(dāng)）に指定され、保護(hù)研究が行われている。キジルはウイグル語で「赤」を意味し、付近一帯の山肌の色から稱されている。

クチャ周辺にはクムトラ?クズルガハ?タイタイル?シムセム?マザバフ?ウンバシなど多くの石窟が殘存しているが、キジル千仏洞は最大であり、東西約3kmにわたる石窟は谷西區(qū)?谷內(nèi)區(qū)?谷東區(qū)?後山區(qū)と區(qū)分されている。

石窟の形態(tài)は中心柱窟?大像窟?僧房窟?方形窟?小型窟などであり、壁畫は仏伝?菩薩説法?供養(yǎng)菩薩?天象?本生物語?涅槃図?伎蕓天など多種である。正倉院に世界で唯一所蔵されている「五弦琵琶」、道に迷った旅人に自身の手を燃やして道を示す「燈明王本生」、飢えた虎に身體を差し出す「捨身飼虎」、鹿野苑で鹿に説法する「初転法輪」、釈尊入滅後56億年後に現(xiàn)れ人々を救済するという「彌勒菩薩」図など、數(shù)日參観しても見飽きない。

キジル千仏洞のゾクト溝にある「涙の泉」には悲戀物語が伝わっている。千仏洞近くに住んでいた石工が國王の美しい王女に一目ぼれ。二人はいつしか愛し合う仲に。結(jié)婚を許さない國王は「100の石窟を作ったら結(jié)婚を認(rèn)める」と無理難題を出した。その日から石工は不眠不休で石窟作りに勵(lì)んだ。99の窟を掘ったところで病に倒れ死んでしまった。王女は嘆き悲しみ、來る日も來る日も泣き続け、涙はいつしか「涙の泉」と呼ばれる泉になった?！笡妞稳工辖瘠饨~えない。昨今では「眼病が治る」と參観する人が眼を洗い、また水を持ち帰っている。

19世紀(jì)末から20世紀(jì)初頭にかけ、日本の大谷隊(duì)はじめドイツ?フランス?ロシアなどの外國探検隊(duì)により多くの壁畫などが持ち出された。仏像は殆ど殘存していない。石窟には剝ぎ取るための傷跡が悲しく殘っている。大谷探検隊(duì)収集品は東京國立博物館や龍谷大學(xué)などに収蔵されている。キジル千仏洞はクチャから日帰り観光も可能だが、千仏洞の小ホテルに宿泊され、夕陽で真赤に染まる千仏洞前の山肌や朝陽に輝く石窟の姿を是非どうぞ！筆者自身もコロナ禍が明けたら必ず再訪する。

ご參考：新疆ウイグル自治區(qū)文物管理委員會(huì)ほか編『中國石窟 キジル石窟』（全3巻?平凡社1983～85）?小島ほか編『新疆世界文化遺産図鑑』（日本語版?本田朋子訳?日本僑報(bào)社2016）

■筆者プロフィール：小島康譽(yù)

浄土宗僧侶?佛教大學(xué)內(nèi)ニヤ遺跡學(xué)術(shù)研究機(jī)構(gòu)代表?新疆ウイグル自治區(qū)政府文化顧問。1982年から新疆を150回以上訪問し、多民族諸氏と各種國際協(xié)力を?qū)g施中の日中理解実踐家。
ブログ「國獻(xiàn)男子ほんわか日記」
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