「文明の衝突」という言い方がある。米國人政治學(xué)者のハンティントン氏が提唱した言葉で、現(xiàn)在の世界にとっての最大の脅威は「さまざまな文明の衝突」と主張する説だ。全インド哲學(xué)連合會會長などを務(wù)めるS．R．バット氏は、「文明の衝突」式の世界観を「理知が欠落」などと鋭く批判する。バット氏はこのほど中國メディアの中國新聞社の取材を受け、自らの主張を披露した。以下はバット氏の言葉に若干の説明內(nèi)容を追加するなどで再構(gòu)成したものだ。

【その他の寫真】

■世界の多様な文化には相違點もあれば類似點もある

人類の思考は無から生じるものではなく、特定の文化に根差すものだ。従って世界各地でさまざまな思想體系が発達(dá)したことは、時代と文化環(huán)境の違いによる必然の結(jié)果だ。しかし、それぞれの思想體系が普遍性を持たないということではない。なぜなら人が抱く願いとは、おおむね同じだからだ。だから、人類の思想は地域性を持つと同時に世界性を有し、個別であると同時に普遍的だ。人はそれぞれが多様な現(xiàn)実體験を持ち、そのことについての多様な表現(xiàn)方式を持つ。従って我々の思考方式や生活方式を一方的に統(tǒng)一すべきではない。

真の思想は必ず、地元文化の制約を受けた具體的な生活の経験から出現(xiàn)する。従って「思想の民主」を方針にせねばならない。創(chuàng)造力を持つ人でも、意見が一致するとは限らない。従って弁論や交流、対話の余地を保たねばならない。そのことによって、真理を得ることができる。

■現(xiàn)実は「一」でもあり「多」でもあるという哲學(xué)的考察

現(xiàn)実は極めて豊富で複雑なので「あれかこれか」という排他的な態(tài)度では理解できない。二分法や排他的な方法では、多様性や動的変化、開放性、さらには無限の展開性を理解することが難しくなる。

現(xiàn)実の本質(zhì)とは統(tǒng)一だ?，F(xiàn)実は一方で、多様?shù)膜趣いΜF(xiàn)れ方をする?！敢弧工稀付唷工沃肖舜嬖冥?、「多」は「一」の中に存在する。まさに華厳経が説く「一即一切、多即一（小さな「一」が宇宙全體と同等の存在）」ということだ。

「一」は本質(zhì)の面でも存在の面でも「多」に先行する。まずは「一」が存在してこそ「多」が成立するからだ。しかしそのことは、「一」の価値の方が「多」より上ということを意味しない?！敢弧工取付唷工犀F(xiàn)実の両面であり、「一」と「多」は互いに補いあう。

世界に存在する文化は驚くほど多様だ。しかし異なるだけでなく、共通點や類似點もある。だからこそ私たちは互いに理解し平和に共存し、互いを強め合うことができる。それぞれの文化の內(nèi)部でも、いくつかの異なる思潮が発展してきた。同時に新たな思想がそれぞれの文化に外部から流入した。こうして、それぞれの文化が統(tǒng)一性を保つと同時に多様性が加わることになった。

人類文明とはオーケストラのようなものだ。それぞれの楽器が奏でる音が、感動的な音楽をつくる。もちろん、時折は調(diào)子を外した音が鳴らされる場合もある。しかしそのような現(xiàn)象を「常態(tài)」と見なしてはならない。あくまでも「不正?！工胜韦?。

■排他的発想が基本にある「文明の衝突」観は理知が欠落している

人類はすでに多元文化主義を手にしている。文化を共有することはそれぞれの文化にとって有益だ。だから私は「文明の衝突」の考え方には理知が欠落していると主張する。全ての文化文明には同等の価値と効能があり、互いに補う性質(zhì)がある。今の時代に必要なのは文化の対話と親睦と調(diào)和だ。文化の優(yōu)越や文化の覇権爭いを主張すれば必ず、平和共存と全世界の調(diào)和を損ねることになる。

多元文化主義は平等や博愛、正義、非暴力を提唱する崇高な理想だ。その寛容と共存、一致、調(diào)和の哲學(xué)は、今の時代が強く必要とする柔軟な適応の実現(xiàn)や対立を解消して和解に至る道をもたらすために有効だ。

「科學(xué)の奇跡」により、人類の苦痛や労苦が軽減され、生活の質(zhì)が向上していく時代が到來した。しかし現(xiàn)代は一方で、恐怖と暴力、さらに低級な衝動が全世界範(fàn)囲で勢いづき、理性的な思考による対応が難しくなりつつある時代でもある。従って人類文化をより深くより高く探求し、さまざまな方式で文明を前進(jìn)させていかねばならない。

グローバル化が進(jìn)み高速交通網(wǎng)が発達(dá)した現(xiàn)代において、世界はぐっと小さくなった。移住や移民という現(xiàn)象は、人類文化が始まって以來、常に存在したが、現(xiàn)在はその流れが加速している。そのために、異なる文化を持つ人が互いに隣人になるという現(xiàn)象も飛躍的に増加した。複數(shù)の文化が共存する世界を、より健全に発達(dá)させねばならない。そんな狀況にあって、真に歓迎すべきことは「文明の衝突」を論じることではい。多元文化主義こそが、人類の文明全體をさらに豊かにする力なのだ。（構(gòu)成 / 如月隼人）