1986年5月、中國(guó)四大石窟のひとつ、天山山脈南麓のクチヤ西方約70kmのキジル千仏洞を訪れた時(shí)の感動(dòng)は忘れられない。ラピスラズリの青で描かれた釈尊の前世物語には圧倒された。日が暮れて道に迷う旅人に自らの手を燃やす釈尊、飢えた虎の親子にわが身を差し出す釈尊…。約350の石窟に３～9世紀(jì)頃描かれた1萬平方メートルもの壁畫が殘っている。今なお色鮮やかに殘る人々の願(yuàn)い。「人類共通の文化遺産」と直感した。中國(guó)の辺境の辺境で生活も十分に賄えない中で、それらを保存しようと汗水を流す人たち。

感動(dòng)していると案內(nèi)してくれた王氏が「10萬元出してくれたら、専用窟を造ってあげる」と冗談（まだ僧侶でなかったが短髪だったので、そう言ったようだ）。當(dāng)時(shí)の10萬元は約450萬円。感動(dòng)から「分った、出します?？撙悉い椁胜ぁ工燃创?。彼は驚いた。私たちが大金のことを「1億円！」と表現(xiàn)するのと同じ感覚で、10萬元と言ったのだ。ウルムチへの帰途2日間「冗談です。忘れてください」、「冗談は分かっている。保護(hù)に使って」の繰り返し。彼はついに筆者の文化財(cái)保護(hù)精神を理解?！阜证辘蓼筏?。政府を紹介します」と。

紹介された新疆文化庁文物処の韓翔処長(zhǎng)も「なぜ？本當(dāng)？真の目的は？」を繰り返した。簡(jiǎn)単なメモにサインして帰國(guó)、しかし、振込先が中々來ない。新疆では外國(guó)からの初寄付申し出で、半信半疑、別の目的があるのではと、許可が得られなかったのだ。協(xié)力金を振り込んだのは10月末。新疆の最高実力者である王恩茂前新疆黨書記が承認(rèn)したと後日聞いた。

その後も新疆を訪れると、外國(guó)人も重視するほどであればと、中國(guó)政府が2000萬元で本格的修復(fù)を行うことになったという。筆者はそれなら10萬元では足りないから、日本で浄財(cái)を募り1億円寄付すると申し出た。當(dāng)時(shí)の物価などを考えると、現(xiàn)在の1億元（約18億円）にも匹敵する巨費(fèi)である。新疆文化庁の庁長(zhǎng)はじめ皆が「エーッ！」と聲をあげ驚いた?；膸沃鳏试颏祥L(zhǎng)年の自然崩壊、現(xiàn)地人による金箔剝がし、異教徒による破壊、日本の大谷探検隊(duì)や獨(dú)?露?仏?英などの探検隊(duì)による壁畫の持ち出しである。

キジル千仏洞はシルクロードに咲いた仏教蕓術(shù)の名花であり、中國(guó)だけでなく人類共通の文化遺産であり、次世代に引き継ぐ責(zé)任があると協(xié)力を申し出たのだ。1987年5月、新疆迎賓館での調(diào)印式には、王恩茂氏も列席。協(xié)議書は筆者と王成文新疆文化庁書記がサインした。

1987年11月、筆者は塩川正十郎文部大臣の示唆を受けつつ「日中友好キジル千仏洞修復(fù)保存協(xié)力會(huì)」（上村晃史上村工業(yè)社長(zhǎng)）を設(shè)立し、事務(wù)局は筆者が社長(zhǎng)を務(wù)めるツルカメコーポレーションに置いた。名譽(yù)顧問は元総務(wù)長(zhǎng)官の中山太郎議員、副會(huì)長(zhǎng)や顧問は水谷幸正佛教大學(xué)長(zhǎng)?五百木茂三菱商事副社長(zhǎng)?須賀武野村證券副社長(zhǎng)?神田延祐三和銀行副頭取など宗教界?経済界?學(xué)界の著名人にお願(yuàn)いし、筆者が専務(wù)理事を務(wù)めた。

12月、「人類共通の文化遺産を後世へ」をスローガンとした募金パンフレットや宣伝ハガキ?テレカなどを作成し募金活動(dòng)を開始したが、敦煌莫高窟と違って殆どの方がキジル千仏洞をご存知ない?！嘎劋い郡长趣猡胜な弑４妞藚f(xié)力なんて！」と言われるなど募金は難渋した。諸氏と奔走した。多くの皆さんの盡力を得て募金は少しずつ積み上がった。

1988年89年と二次わたり3000人（企業(yè)）を超える方々の浄財(cái)計(jì)1億544萬円余（工事用車両含む）を新疆政府へ贈(zèng)呈した。新疆人民會(huì)堂での贈(zèng)呈式には松原哲明副會(huì)長(zhǎng)や筆者が代表団を率いて參加し、新疆側(cè)は王恩茂氏や黃寶璋新疆政府副主席が列席。その後キジル千仏洞を參観した。新疆側(cè)が中心となり本格的工事を開始した。石窟補(bǔ)強(qiáng)や壁畫保護(hù)には敦煌などから専門家を招いた。キジルは輝きを取り戻した。本連載2の寫真をご覧ください。

その後も世界的文化遺産保護(hù)の重要性を理解いただくため參観団を度々派遣。また職員通勤用バスや飲料水浄化裝置贈(zèng)呈なども行ってきた?！竵栒h阿彌陀経」や「妙法蓮華経」を訳出した鳩摩羅什三蔵の銅像も建立。王恩茂氏筆「修復(fù)資金寄贈(zèng)記念碑」も建立された。參観時(shí)にはこの記念碑も是非ご覧ください。募金協(xié)力者に貴方の知人名を発見されるかも?，F(xiàn)在も中國(guó)政府により保護(hù)研究が行われている。日本人研究者や観光客も多數(shù)訪れている。

2014年6月、キジル千仏洞は世界文化遺産となった。協(xié)力開始して28年後のことだった。2015?16年に寫真集『新疆世界文化遺産図鑑』中文?日文版を出版。17年筆者が仲介し出演もしたNHK「シルクロード?壁畫の道をゆく」が放送された。ドイツ隊(duì)が殆どの壁畫を持ち出した第212窟も撮影、その寫真などを活用した東京蕓術(shù)大學(xué)「素心伝心」展も取り上げられた。好評(píng)でそれ以降も度々再放送されている?！窾-NEXT」でも視聴できる。18年にも參観団を案內(nèi)。同年中國(guó)「天津テレビ」と19年「環(huán)球時(shí)報(bào)」が筆者のキジル千仏洞など文化遺産保護(hù)協(xié)力を報(bào)じた。文化遺産保護(hù)の重要性を訴え続けている。

ご參考：小島編『中國(guó)新疆36年國(guó)際協(xié)力実録』（日中英文?東方出版2018）では美しい壁畫など大量の寫真でキジル千仏洞の修復(fù)保存協(xié)力を紹介している。

■筆者プロフィール：小島康譽(yù)

浄土宗僧侶?佛教大學(xué)內(nèi)ニヤ遺跡學(xué)術(shù)研究機(jī)構(gòu)代表?新疆ウイグル自治區(qū)政府文化顧問。1982年から新疆を150回以上訪問し、多民族諸氏と各種國(guó)際協(xié)力を?qū)g施中の日中理解実踐家。
ブログ「國(guó)獻(xiàn)男子ほんわか日記」
＜新疆は良いところ＞小島康譽(yù) 挨拶―＜新疆是個(gè)好地方＞
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小島康譽(yù)氏コラム