<日中100人 生の聲>音楽の力―松田亜有子 クラシック音楽プロデューサー

和華    2022年3月1日(火) 9時20分

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2003年の中日平和友好條約締結25周年記念東京フィルハーモニー交響楽団の公演で、初めて中國を訪れました。寫真は北京童之越夢想童聲合唱団(北京少年少女合唱団)との交流講座。

2003年の中日平和友好條約締結25周年記念東京フィルハーモニー交響楽団の公演で、初めて中國を訪れました。政治的に両國の関係があまり良い狀況でない時期で、多くの日本人アーティストたちの公演が取りやめになる中、東京フィルハーモニー交響楽団は上海へ向かいました。當時、私は國際渉外擔當として中國の方と衝突するようなことがあってはならないと、非常に緊張して中國へ入ったことを今でもよく覚えています。しかし、その心配や不安は杞憂に終わりました。東京フィルが最後の音を奏でた後、會場全體がまるでロックコンサートのように、中國の観客の皆様の熱烈な拍手が響き渡りました。メディアで報じられている日中の難しい関係なんて、ぶっ飛びました。

この時の中國との出會いをきっかけに、中國が大好きになり、中國との音楽交流が続いています。2017年には日中國交正常化45周年記念東京?上海公演に関わり、その後、2018年に東京フィルを退職し、クラシック音楽プロデューサーとして起業(yè)。最初の大きなプロジェクトとして、深セン交響楽団の初來日公演を進めていました。

2019年の年末は北京で北京童之越夢想童聲合唱団(北京少年少女合唱団)と交流をし、深センへ渡り、深セン交響楽団の演奏を聴きながら年を越しました。元旦にはピアニスト、ラン?ランとお會いして深セン交響楽団の日本ツアーについて話をし、希望に満ちた幕開けとなるはずだった2020年。

狀況が一変します。コンサート自粛要請です。それ以降すべての音楽コンサートが消えました!深セン交響楽団の初來日公演は延期、緊急事態(tài)宣言、劇場閉鎖、海外への往來禁止、不要不急の外出禁止。その後、どうなったか。

深セン交響楽団2020 幻となったホ?スター

クラシック音楽は死にませんでした。むしろもっとクラシック音楽が必要とされる時となりました。2019年末に北京で交流をした北京童之越夢想童聲合唱団の子供たちから「私たちはいつも一緒」という心溫まる歌のメッセージが屆きました。深セン交響楽団とは「一緒にこの困難な時期を乗り越えよう」というメッセージ付きの演奏動畫をつくり、多くの死者が出たイタリアのベルガモ市へ送りました。世界共通言語である「音楽」は、世界中の一人ひとりの心を守り、生きる勇気や希望を與える役目を果たしました。

コロナ禍において、世界中が一つになり、この困難な時期に立ち向かわなければならない時、世界共通言語の「音楽」がいかに國境を超え一人ひとりの心を繋ぐ力があるか、あらためて感じました。そして、今秋、コロナ禍で故郷に帰れなかった中國人の留學生らを中心に、ロシア、ドイツ、アメリカ、イタリア人の若者らの演奏會を軽井沢大賀ホールで予定しています。故郷に帰ることができない彼らを支えたのは楽器に向かうことでした。「何か目標があった方が希望を持てるのではないか?」と、元SONY中國にいらした遅澤さんより連絡が入り、共に企畫し「軽井沢國際青年交流音楽會」を開催する運びとなり、チラシポスターは中國人留學生が先頭に立って作成しました。先の見えない不安に包まれ沈んでいた彼らの眼差しは、今、きらきらと輝いています。

軽井沢大賀ホールは「軽井沢をザルツブルクのような音楽のあふれる街にしたい」という思いから元ソニー名譽會長、前東京フィルハーモニー交響楽団理事長の故?大賀典雄氏が私財を投じて建設したホールです。

今秋、軽井沢大賀ホールには異なる國籍、異なる宗教、様々な年代の、音楽を愛する者たちが集まります。一人ひとりが練習を積み重ねてきた新しい技術発表の場であり、學術研究の場となる軽井沢國際青年交流音楽會です。軽井沢の美しい紅葉のように、一人ひとりの心が明るく彩られることを願っています。

軽井沢國際青年交流音楽會ホ?スター

私は、今後もクラシック音楽を軸とした人間交流を進め、日本や中國に限らず、アジアの才能ある音楽家たちを集め、「アジアフィル」を結成し、世界中を演奏巡業(yè)したいという大きな夢を抱いています。

演奏會の最後の奏者はお客様。演奏會は必ずお客様の拍手で幕を閉じます。演奏を聴いている時は、隣で聴いている人がどこの國の人か忘れ、目の前で生み出されている音楽を一緒に聴いています。そして最後は皆の拍手でハーモニーを創(chuàng)り一つになる。これこそが奇跡であり、「音楽の力」です。資源や物流の流れだけが、國と國をつなぐ絆ではありません。演奏會場で音楽が奏でられる時間は、たった2時間かもしれませんが、その2時間の積み重ねが優(yōu)しい未來を創(chuàng)っていくのではないのか。私は、そう思わずにいられません。

※本記事は、『和華』第31號「日中100人 生の聲」から転載したものです。また掲載內容は発刊當時のものとなります。

■筆者プロフィール:松田亜有子(まつだあゆこ)


クラシック音楽プロデューサー。東京フィルハーモニー交響楽団広報渉外部部長として「日?中?韓未來へのフレンドシップツアー」「日中國交正?;?5周年記念公演」の広報統括を務める。2018年東京フィルを退職後、起業(yè)。クラシック音楽の演奏會を企畫プロデュースするアーモンド株式會社を設立。2023年深セン交響楽団初來日公演企畫進行中。

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