2022年2月24日、中國メディアの中國経済週刊は「羽生結(jié)弦と、彼がすべてを賭けて挑んだクワッドアクセル」と題した文章を掲載した。以下はその概要。

前向きで滑走して踏み切り、空中で4回転半して著氷するクワッドアクセルの難しさについて、マラソンで言えば「サブ2」達(dá)成、100メートル走で言えば9秒58の世界記録更新だという人がいる。まだ、正式な試合の中でクワッドアクセルを成功した選手はおらず、昨年12月23日の日本選手権前の公開練習(xí)で羽生結(jié)弦が一度成功しただけだ。これまで理論上にとどまっていた超高難度の技を現(xiàn)実に持ち込んだ羽生はフィギュアスケート界の新たな歴史を切り開いた。そして、北京冬季五輪ではクワッドアクセルの成功を目標(biāo)に據(jù)えたのである。

小さい頃から喘息に打ち勝つべく人一倍の練習(xí)を重ねてきた羽生は、特にクワッドアクセルの成功に向けて一層厳しいトレーニングを自らに課した。試合前日も変わらずクワッドアクセルの練習(xí)を行った。以前本人が「頭打って脳震とうで死ぬんじゃないかって思いながら練習(xí)していた」と語っていたように、まさに命懸けでクワッドアクセルに挑んでいたのだ。

非常に難しい技術(shù)が要求され、ケガのリスクもあるクワッドアクセルだが、仮に完璧に成功させたとしても基礎(chǔ)點(diǎn)は4回転ルッツと1點(diǎn)しか差がない。つまりは、割に合わない。それゆえ、この技に挑戦する者はほとんどいないのである。

誰もやろうとしない大技に挑み続けた羽生だったが、北京冬季五輪では結(jié)局完璧なクワッドアクセルは跳べず、表彰臺(tái)にも立てなかった。これが熱血漫畫の設(shè)定であれば、表彰臺(tái)に立てなかったとしても悲願(yuàn)だったジャンプを完成させて終わることだろう。理想と現(xiàn)実とのギャップを多くの人が殘念がっているかもしれない。しかし羽生はすでに伝説を作り上げた。

オリンポス山の聖火が燃えているのは、誰かが誰かを打ち負(fù)かすためではなく、諸神に人類の不屈の精神を見せるため―。羽生結(jié)弦は中國の作家?史鉄生（シー?ティエ?ション）氏の言葉を完璧なまでに體現(xiàn)した。彼のクワッドアクセルへの執(zhí)念は全くもって試合の勝ち負(fù)けを超越した自らの限界に対する挑戦だった。そしてこれこそ、五輪精神の真髄なのかもしれない。（翻訳?編集/川尻）