6月4日には天安門事件25周年記念を迎える。1989年から四半世紀(jì)という節(jié)目に當(dāng)たり、4月26日に香港で「六四紀(jì)念館(天安門事件記念館)」が開設(shè)された。中國政府がどうしても公開しない事実を殘すためだ。

【その他の寫真】

なぜ「4月26日」に開館したかというと、89年4月26日に中國共産黨の機(jī)関紙「人民日報(bào)」が、天安門に集まる學(xué)生たちの動(dòng)きを「政府転覆」を目的とした「陰謀」あるいは「動(dòng)亂」と位置付けた社説を載せたからである。

「天安門事件」は、この聲明に激怒した學(xué)生たちから始まっている。それまで學(xué)生たちは、失腳に追い込まれた胡耀邦元國家主席の死を悼み、靜かに集まっていただけだった。

だから天安門事件は「6月4日」に、中國人民解放軍が丸腰の若者たちに銃を向け、民主への叫びと渇望を銃口でふさいだという意味では「6月4日」が節(jié)目ではあるが、中國の民主活動(dòng)家の中では、この「4月26日」が、もう一つの大きな節(jié)目になっている。

◆記念館主催者側(cè)と筆者の共有點(diǎn)

香港の天安門事件記念館の開設(shè)は「香港市民支援愛國民主運(yùn)動(dòng)聯(lián)合會(huì)(愛國民主運(yùn)動(dòng)を支援する香港市民の聯(lián)合會(huì))」(支聯(lián)會(huì))が2013年12月17日に香港の九龍尖沙咀柯士甸路3號にある富好中心(センター)5階フロアーを購入したことにより可能となった。

実は筆者は、天安門事件記念館の主催者側(cè)と頻繁に電話で話し合ってきた。

なぜなら筆者自身もまた、「中國がどうしても公けにしない歴史的事実」を抱えながら生きてきたからだ。

本コラムでも何度か書かせて頂いたように、中華人民共和國(現(xiàn)在の中國)が誕生するための革命戦爭(解放戦爭とも言う)において、筆者が住んでいた長春市は中國共産黨軍(のちの中國人民解放軍)に丸ごと食糧封鎖された。それにより數(shù)十萬に及ぶ無辜の民が餓死している。しかし中國はこの事実を、ありのままに公開することを認(rèn)めない?！弗隶悌`ズ」という包囲網(wǎng)の門を中國共産黨軍が開けないことによって、多くの市民が餓死していったことを認(rèn)めないのだ。

なぜなら中國人民解放軍は「人民のための軍隊(duì)」であるとしながら、鉄條網(wǎng)の柵の目の前で「人民」が餓死していくのを見殺しにしたからである。

1983年、筆者はこの事実を自分の経験として著して以來、中國語版を中國大陸で出版することを目指して生きてきた。しかし中國が言論の自由を認(rèn)める日は遠(yuǎn)のくばかりだ。それを悟ったため、遂に臺灣で出版することを決意した。

その本を香港の天安門事件記念館に寄贈(zèng)して、大陸から參観に來る人々に配ってもらうことになっている。今のところ毎日百名ほどの參観客が大陸から來るという。

支聯(lián)會(huì)が発足したのは89年5月21日だ。その年の4月26日以降、デモが激しく燃え上がった中で設(shè)立した。

あれから25年間、香港の民主活動(dòng)家は耐え抜いてきた。

一つの事実を、ありのままにこの世に殘すことが、こんなにまで阻害されるのか――。

筆者と彼らの思いは同じだ。

天安門事件もまた、「人民の味方であるはずの中國人民解放軍」が、「人民」に銃を向け、戦車で踏み潰して、「人民」の若い命を奪っている。

その意味では筆者が経験した「チャーズ」と、同じ構(gòu)造を持っている。

◆真実を追及する「民の力」を恐れる中國政府

中國政府が天安門事件を若者に教えず、歴史の風(fēng)化を待っているのは、今もなお、その火種がくすぶっているからだ。それが再燃するのを恐れている。

そして習(xí)近平政権になってから、「西側(cè)の価値観を中國內(nèi)に輸入させてはならない」という強(qiáng)い指示に基づいて、ネット空間における多くのオピニオンリーダーが逮捕されている。

天安門事件記念館があるビル(富好センター)のオーナーも、「使用目的に異議あり」として、記念館主催者側(cè)を告訴するそうだ。オーナーは北京政府側(cè)と連攜しているのだろうと、主催者側(cè)は考えている。

そのためネットでは、6月11日には閉館に追い込まれるだろうという情報(bào)が流れている。

本當(dāng)にそのようなことになるのかと主催者側(cè)に聞いたところ、「ならないだろう」と言っていたが、「記念館のウェブサイトがハッカーにやられた」と、その聲は何とも弱弱しかった。

事実、主催者側(cè)の公式ウェブサイトは開けなくなっており、また筆者が送ったメールも検閲を受け、屆かない。きっと電話まで盜聴されていることだろう。

言論の自由、事実を公開する自由は、ますます厳しく制限され、取締りは強(qiáng)化されるばかりだ。言論弾圧にめげずに初志を貫くことは並大抵のことではない。命を賭けた覚悟と、時(shí)には折れそうになる心を思い留まらせる、堅(jiān)固な意志力が求められる。

「西側(cè)の価値観」は「民主的思考の価値観」であり、「人命を尊重し、尊厳を守り、無辜(むこ）の民の命にも、同等の命の価値がある」とする考え方だと言ってもいい。

このような、當(dāng)たり前のことを、命がけでないと主張できない國家が、人類の中で長続きするのだろうか。

＜遠(yuǎn)藤譽(yù)が斬る＞第37回

遠(yuǎn)藤譽(yù)（えんどう?ほまれ）

筑波大學(xué)名譽(yù)教授、東京福祉大學(xué)國際交流センター長。1941年に中國で生まれ、53年、日本帰國。著書に『ネット大國中國―言論をめぐる攻防』『チャイナ?ナイン―中國を動(dòng) かす9人の男たち』『チャイナ?ジャッジ毛沢東になれなかった男』『チャイナ?ギャップ―噛み合わない日中の歯車』、『●（上下を縦に重ねる）子（チャーズ）―中國建國の殘火』『完全解読「中國外交戦略」の狙い』、『中國人が選んだワースト中國人番付』など多數(shù)。