今我が國(guó)は、昨年初から顕現(xiàn)化した「新型コロナ禍」がデルタ株に置き換わった感染拡大第5波のピークアウトが見えず、地域的には対応醫(yī)療がし「醫(yī)療崩壊」も懸念される中で、東京オリンピック?パラリンピックの安全開催という國(guó)際的な責(zé)務(wù)も課されており、歴史的に見ても複雑な「國(guó)難」を抱える形となっている。

この「新型コロナパンデミック禍」に対応する國(guó)民に必要な覚悟は、1：コロナウイルスが人-人感染である以上、一人一人が感染の媒體になる機(jī)會(huì)を厳密に回避する努力をすること（「三密回避」策は無(wú)論）、2：政府?行政當(dāng)局のコロナ禍対応策には平常心をもって接し、対策実施に対する秩序ある受け入れ（例えば、コロナ接種の順番）と市民同士の「思いやりの精神」の持続が大切だと考えている。

この1年半の間、筆者の関係するアジア域を中心とする國(guó)際セミナーや大學(xué)?大學(xué)院での講義はすべてオンラインシステムへ移行してしまった。國(guó)際セミナーは聞きっぱなしでも済むが、大學(xué)の講義の方は多くの　學(xué)生を相手に全く対面の機(jī)會(huì)がないまま一方的な講義になりがちである。教育には雙方向性が必要であることからすればリモート方式には限界を感じる。

筆者は、渋沢栄一翁が発起人?設(shè)立した120年以上の歴史を持つ「日本倶楽部」の役員もしている。ここでは、「コロナ感染防止策」を採(cǎi)ったうえで「対面方式による講演會(huì)」を継続している。筆者は講演委員としてこの１年間「中國(guó)事情」について、舊知の王敏女史、高原明生氏、川島真氏、柯隆氏等を招聘して講演會(huì)の內(nèi)容拡充に努めてきている。

一方で、自宅にしている時(shí)間が圧倒的に増えていることは事実。筆者はこれまで中國(guó)?ソ連研究を通じて、ユーラシア大陸から日本を見る視線の重要性を主張してきたが、この余裕時(shí)間に、講談社學(xué)術(shù)文庫(kù)『興亡の世界史』全21巻のうちユーラシア地域を扱った10巻を読破し、改めて「目から鱗の思い」を深くしている。

結(jié)果的にいま最も注力していることは、文字ベースの各種の論説寄稿要請(qǐng)に極力応じて、これまでの経験から生じる見解を発信していくことであり、それも中國(guó)との深い縁を認(rèn)識(shí)する一文を必ず入れることにしている。以下、2編の例を挙げる。

『巖槻市にある唐の高僧「玄奘三蔵」の仏舎利』?。ㄈ厚R県太田高校「金山同窓會(huì)」會(huì)報(bào)、2020年10月）

17年間に及ぶインドへの求法の旅の後、長(zhǎng)安の「大慈恩寺」でサンスクリット仏教典『大般若経』600巻を含む1300巻余の翻訳を終えた「玄奘三蔵」は西暦664年に遷化、長(zhǎng)安郊外の「白鹿原」に埋葬された後、何回かの改葬を経た後、「頂骨」のみが南京の「天満寺」付近に再埋葬された。

1942年12月、南京に駐屯した日本軍工兵隊(duì)が神社建設(shè)のための整地中にこれを偶然発見し、中國(guó)側(cè)に引き渡した。中國(guó)側(cè)はこの「仏舎利」を納めるための「新堂塔」の落成式で、招聘した日本仏教會(huì)の會(huì)長(zhǎng)にその半分を贈(zèng)與。

日本に渡った「仏舎利」は米軍の空襲による焼失を回避するために、芝の増上寺、上野の寛永寺、埼玉?蕨の三學(xué)院を転々として最後に當(dāng)時(shí)の日本仏教會(huì)の事業(yè)部長(zhǎng)の寺であった埼玉?巖槻の「慈恩寺」に落ち著いて現(xiàn)在に至ったもの。

昭和18年初と言えば、「日中戦爭(zhēng)」が行き詰まり、日中関係が最も険悪な狀況にあったわけだが、中國(guó)仏教會(huì)は、平和への協(xié)調(diào)行動(dòng)の証として大切な「玄奘三蔵」の「頂骨」を日本側(cè)に送ったのである。

我々は「慈恩寺」の「十三重の石塔（この下に玄奘頂骨）」を見る度にこのことに思いを馳せなければならない。

「渋沢栄一翁の國(guó)際的評(píng)価」（「埼玉往來(lái)」埼玉県人會(huì)會(huì)報(bào)、２０２１年8月）

2021年度NHK大河ドラマ「青天を衝け」の放映開始と、2024年上半期に発行される「新一萬(wàn)円日銀券肖像」に決定したことにより、「日本資本主義の父」としての渋沢翁の日本國(guó)內(nèi)での評(píng)価は頂點(diǎn)に達(dá)した感がある。

20世紀(jì)後半の世界的経営學(xué)者Ｐ?Ｆ?ドラッカーが「渋沢はビジネスに儒教の道徳を注入してこれを飼いならした」と評(píng)している。私は國(guó)際化の進(jìn)んだ現(xiàn)代においては、むしろ渋沢翁の海外での評(píng)価により注目すべきだと考えてきた。國(guó)內(nèi)ではあまり知られていないが、渋沢翁は昭和元年と2年（1926?1927年）と連続で「ノーベル平和賞」に最終ノミネートされている。日露戦爭(zhēng)後に険悪な狀況が出現(xiàn)しつつあった日米関係（日経移民排斥運(yùn)動(dòng)等）を打開すべく、晩年に民間外交ベースで「日米関係委員會(huì)」（1916年）を立ち上げ、4回にわたり渡米実業(yè)団を引率して経済?文化交流を促進(jìn)したほか、「日米人形交換事業(yè)（青い目の人形?市松人形）」や、オスマントルコに圧迫された「アルメニア難民」に対する義捐金の募集?寄贈(zèng)等幅広い國(guó)際レベルの平和促進(jìn)運(yùn)動(dòng)が評(píng)価されている。

一般に海外の學(xué)會(huì)では、渋沢翁は「経済?経営思想家」としては「儒商（中江藤樹等陽(yáng)明學(xué)を奉じその行動(dòng)を律する商業(yè)者）」の一人として位置付けられている。講演録『論語(yǔ)と算盤』等で示される「道徳経済合一説」は、早くから資本主義の不平等化を予想?懸念していた、アダム?スミス（英）の「道徳情操論」やサン?シモン學(xué)派（仏）の「新キリスト教経済論」に匹敵するものがある。

このように「道徳を伴った秩序ある資本主義」論に行き著いた渋沢経済?経営學(xué)の基本理念は、幼児?青年期に北武蔵の寺子屋?私塾で習(xí)得した中國(guó)に発する儒學(xué)（それも、日本文化と親和性のあった「陽(yáng)明學(xué)」）の教える実業(yè)家の在り方と道徳にその出発點(diǎn)があることを改めて認(rèn)識(shí)することも必要である。因みに、小生の実家は、渋沢翁の生家の利根川沿いの數(shù)キロメートル下流の「男沼村（現(xiàn)熊谷市）」の渋沢家と同様な文化的背景を持った養(yǎng)蠶地主であった。

※本記事は、『和華』第31號(hào)「日中100人 生の聲」から転載したものです。また掲載內(nèi)容は発刊當(dāng)時(shí)のものとなります。

■筆者プロフィール：田中哲二（たなかてつじ）

元日銀マン?大學(xué)教授。1942 年埼玉県生れ。1967年日本銀行入行、約30年間勤務(wù)。1993年日銀參事?考査役からIMF?日銀の派遣でキルギス中央銀行最高顧問(wèn)、同大統(tǒng)領(lǐng)経済顧問(wèn)およびカザフスタン経済予算大臣?文部科學(xué)大臣顧問(wèn)を務(wù)める。帰國(guó)後、東芝?常勤顧問(wèn)、三井化學(xué)?社外取締役の傍ら、國(guó)連大學(xué)學(xué)長(zhǎng)上級(jí)顧問(wèn)?，F(xiàn)在、( 一社 ) 中國(guó)研究所會(huì)長(zhǎng)、(NPO) 中央アジア?コーカサス研究所所長(zhǎng)、 國(guó)士館大學(xué)大學(xué)院客員教授、日本倶楽部評(píng)議員?講演委員など多彩な活動(dòng)を続ける。著書として『お金の履歴書』、『キルギス大統(tǒng)領(lǐng)顧問(wèn)日記』など。