今年11月に開幕する男子サッカーのワールドカップ（W杯）カタール大會(huì)のアジア最終予選がこのほど終了し、日本代表は7大會(huì)連続の出場(chǎng)を決めた。最終予選で日本と同じB組に入った中國(guó)代表は、日本に連敗するなど１勝６?。撤证堡?カ國(guó)中5位に終わり、サッカー好きの習(xí)近平主席の悲願(yuàn)と言われる本大會(huì)出場(chǎng)は今回も果たせなかった。政治?経済大國(guó)であるだけでなく、昨年の東京オリンピックで米國(guó)に次ぐ38個(gè)の金メダルを獲得するなどスポーツ大國(guó)でもある中國(guó)だが、なぜ世界で最もポピュラーな種目であるサッカーでは低迷が続くのか。50年以上サッカーを見続けている私にとっても謎の一つだが、改めてその理由を考えてみた。

◆2000年以降、日本に1勝もできず

中國(guó)がこれまで予選を勝ち抜いてW杯に參加したのは、日本と韓國(guó)が予選を免除された2002年の日韓大會(huì)だけ（3戦全敗、得點(diǎn)０失點(diǎn)９でグループリーグ敗退）。それ以外はことごとくアジア予選で敗退していた。日本との対戦成績(jī)を見ても、2000年以降は日本の７勝5分けで、中國(guó)は1勝もできていない。しかも、引き分けに終わった試合の多くは、親善試合（大會(huì)）のため日本は歐州でプレーする主力選手を招集していなかった。両國(guó)がほぼベストメンバーを揃えた公式戦（W杯予選、アジアカップ）に限れば、日本の4戦全勝だ。

以前には、両國(guó)の力関係が今とは違う時(shí)代もあった。1987年秋のソウル五輪最終予選、日本は東京?國(guó)立競(jìng)技場(chǎng)で行われた最終戦で中國(guó)に０－２で完敗し、本大會(huì)出場(chǎng)を譲った(現(xiàn)在は五輪の男子サッカーには年齢制限があるが、當(dāng)時(shí)は制限なしのため、A代表が対戦)。私はこの試合をスタンドで観戦したが、悔しいながら中國(guó)の方が一枚上手と認(rèn)めざるを得ない內(nèi)容だった。しかし93年のJリーグ発足以降、力関係は逆転した。

中國(guó)は、クラブレベルでは一定の成功を収めている。アジアのクラブナンバーワンを決めるAFCチャンピオンズリーグでは、莫大な資金でブラジルなどの一流選手を揃えた広州恒大（現(xiàn)広州FC）が、2013、15年に優(yōu)勝した。しかし、そうした良い流れは中國(guó)代表チームの戦績(jī)に反映されていないのが実情だ。

◆サッカー強(qiáng)化は國(guó)家目標(biāo)なのに…

なぜ代表レベルで中國(guó)サッカーは低迷を続けているのか?？激à椁欷肜碛嗓?、それに対する反論をまとめてみた。

1、そもそも中國(guó)でサッカーはそれほど人気がないので、強(qiáng)化のインセンティブが乏しいのではないか？

コロナ前の2019年の中國(guó)スーパーリーグの平均観客數(shù)は2萬(wàn)3000人で、Jリーグをしのぐ。それ以上に、習(xí)主席は「中國(guó)が再びW杯に出場(chǎng)すること、自國(guó)でW杯を開催すること、そして優(yōu)勝すること」を夢(mèng)見ていると言われる（J?モンタギュー著「億萬(wàn)長(zhǎng)者サッカークラブ」）。サッカー強(qiáng)化は事実上の國(guó)家目標(biāo)であり、これ以上のインセンティブがあるだろうか？

2、卓球や體操など、國(guó)際的に成功している他競(jìng)技に優(yōu)秀な人材が流れているのではないか？

そうした側(cè)面が100％ないとは言えないが、なんといっても中國(guó)は14億人の人口を抱える超大國(guó)。人材はいくらでもいるはずだ。ちなみに、W杯や歐州選手権の優(yōu)勝経験を持つウルグアイ、デンマークは、ともに人口1000萬(wàn)人に満たない小國(guó)だが、継続的に好選手を輩出している。

3、クラブレベルで外國(guó)人に依存しているため、中國(guó)人選手が育たないのではないか？

Jリーグでも、特に発足當(dāng)初にジーコなど優(yōu)秀な外國(guó)人選手が多數(shù)プレーし、日本人選手は彼らを手本として成長(zhǎng)した。外國(guó)人選手がいるために自國(guó)選手が育たないというのはおかしい。

4、日本と違って中國(guó)人選手はほとんど本場(chǎng)歐州のクラブに所屬しておらず、”井の中の蛙“狀態(tài)なのではないか？

一つの理由だと思うが、日本とともにW杯出場(chǎng)を決めたサウジアラビアはほとんどの選手が國(guó)內(nèi)組。日本も、2000年代初めまでは歐州組はごく少數(shù)だった。代表チームが弱い決定的な理由とは言えない。

5、代表チームの監(jiān)督が無(wú)能なのではないか？

現(xiàn)在の監(jiān)督は中國(guó)人だが、過(guò)去にはW杯優(yōu)勝経験のあるイタリア人監(jiān)督や、スペイン代表監(jiān)督経験者らを招聘しており、監(jiān)督の資質(zhì)に問(wèn)題があったとは考えにくい。

◆サッカーは中國(guó)人に向いていない？

このように、中國(guó)サッカーが浮上しない理由を、一つの要因で説明するのは難しい。上記1～５のいくつかが複合した結(jié)果かもしれない。あるいは、サッカーという競(jìng)技―フィールドプレーヤーが手を使えない點(diǎn)を除けば、制約の少ない自由なチームゲーム―が、中國(guó)人の國(guó)民性にフィットしていないのではないか、とさえ思えてくる。そうなると中國(guó)の専門家ではない私には手の負(fù)えない話だ。

明快な回答を期待していた読者の皆様には申し訳ないが、中國(guó)サッカー低迷の理由は依然として謎のままだ。中國(guó)のサッカー界にとって、次の大目標(biāo)は來(lái)年6月から7月にかけて自國(guó)で開催予定のアジアカップだろう。アジアの代表チームのトップを決める重要な大會(huì)だ。地元ファンと習(xí)主席の前で、低迷の理由をあげつらうこの記事のような言説を吹き飛ばす活躍を見せられるか、注目したい。

■筆者プロフィール：長(zhǎng)田浩一

1979年時(shí)事通信社入社。チューリヒ、フランクフルト特派員、経済部長(zhǎng)などを歴任。現(xiàn)在は文章を寄稿したり、地元自治體の市民大學(xué)で講師を務(wù)めたりの毎日。趣味はサッカー観戦、60歳で始めたジャズピアノ。中國(guó)との縁は深くはないが、初めて足を踏み入れた外國(guó)の地は北京空港でした。