華為技術(shù)（ファーウェイ）は28日、広東省深セン市內(nèi)で2021年の決算発表會を行った。同発表會では、ファーウェイの現(xiàn)狀認(rèn)識と今後のビジョンが、明確に示された。そこで、これまでの動きと合わせてファーウェイの動きを追ってみることにしよう。

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なお、28日の発表會では孟晩舟?副會長兼最高財務(wù)責(zé)任者（CFO）も登壇した。孟氏は2018年12月1日に立ち寄り先のカナダで身柄を拘束され、2019年9月24日までカナダを出國して帰國することができなかった。孟氏は帰國した際に記者會見に応じて以來、公の場に姿を現(xiàn)さなかった。孟氏はファーウェイの創(chuàng)業(yè)者で最高経営責(zé)任者（CEO）の任正非氏の娘だ。今回の発表會で財務(wù)関連を中心に説明したことは、孟氏が任氏の後継者であることを示す布石との見方が出ている。

発表會で帰國してからの狀況を質(zhì)問された孟氏は、中國は変化があまりにも速いので、離れていた期間を埋め合わせるための勉強を続けていると説明した。

孟氏の父である任正非氏は1987年、仲間と共に攜帯電話関連の通信機器を開発する會社としてファーウェイを立ち上げた。ファーウェイは急成長し、2019年には攜帯電話出荷臺數(shù)でアップルを抜いて世界第2位になった。手掛ける範(fàn)囲もICT関連全般と、大きく広がった。しかし同年に始まった米國による「制裁」で、大きな打撃を受けることになった。

28日の決算発表會で郭平輪番會長は、2021年の狀況を「生き殘れた」と表現(xiàn)し、2022年のテーマは「生き殘りと成長」と述べた。一方で、孟CFOは、「ファーウェイの（売上高の）規(guī)模は小さくなったが、収益性とキャッシュフローの獲得能力は高まっており、不確実性への対応能力も向上し続けている」と述べた。

ファーウェイにとって、厳しい狀況である最大の原因は米國による圧力だが、2020年に始まった新型コロナウイルス感染癥の世界規(guī)模の流行も痛手だった。ファーウェイは世界の主要企業(yè)の中でも最も強く「將來には何が起こるか分からない」と痛感したのではないだろうか。そのようなファーウェイは、あらゆる逆風(fēng)に耐えられる會社づくりを目指している。つまりファーウェイの「生き殘り戦略」は単純な守りではなく、「企業(yè)體質(zhì)の再構(gòu)築」という「攻め」の色彩も濃厚だ。

■會社存続のために技術(shù)力強化と人材獲得は「死守」

ファーウェイが「存続と成長」のために特に重視しているのが技術(shù)力の強化と、そのための人材の確保だ。同社は売上高の10％以上を研究開発に投じることを「憲法」にしているという。2021年の場合には、売上高の22．4％に相當(dāng)する1427億元（約2兆7400億円）を研究開発費として投じた。実際には、同年の売上高が前年比28．6％減の6368億元（約12兆2200億円）だったことが影響して研究開発費の対売上高比が急上昇したわけだが、金額そのものも前年比0．5％増?7億7300萬元（約148億円）増と、わずかではあるが上積みしている。

ちなみに、トヨタ自動車は2月9日に発表した2022年3月期の連結(jié)業(yè)績予想で、売上高（営業(yè)収益）を前期比8．4％増の29兆5000億円とした。また、2021年5月時點で2022年3月期の研究開発費は過去最高の1兆1600億円と見込んだ。業(yè)種が違うので単純には比較できないが、ファーウェイは売上高がトヨタの半分以下であるにもかかわらず、研究開発にはトヨタの約2．4倍の資金を投じた計算になる。

研究開発に欠かせない存在が、優(yōu)秀な技術(shù)者や科學(xué)者だ。ファーウェイは中國國內(nèi)だけでなく、世界全體で優(yōu)秀な人材の獲得に注力している。代表的な例が、2012年にフィールズ賞受賞者であるフランス人數(shù)學(xué)者のローラン?ラフォルグ氏を招き入れたことだ。フィールズ賞は「數(shù)學(xué)のノーベル賞」などと言われるが、4年に1度しか選考がないことなどで「受賞はノーベル賞より難しい」とも言われる、最高の數(shù)學(xué)頭脳の持ち主だけに與えられる賞だ。

ファーウェイはまた、2022年になり前年開催された國際大學(xué)対抗プログラミングコンテスト（ICPC）優(yōu)勝チームの一員だったロシア人のバレリア?リャブチコワさんらも正式雇用した。

世界的に優(yōu)秀な人材ともなれば、先進(jìn)國企業(yè)も加わっての「獲得競爭」になる。ファーウェイは、特に優(yōu)秀な人材には極めて高額の報酬を用意することで知られるが、同社の郭平輪番會長（任期は2022年3月31日まで）によると、トップレベルの人材にとって「魅力的な企業(yè)でありつづける」努力をしている。例えば、オープンな環(huán)境で、同社に正式には所屬していない研究者も交えてのコミュニケーションの場にもなる施設(shè)を設(shè)けるなどだ。

■ファーウェイが実踐する「三方よし」の事業(yè)展開

ファーウェイはその一方で、世界各地で若い技術(shù)者を育成する事業(yè)に取り組んでいる。中學(xué)高校の生徒に授業(yè)を行ったり、すでに技術(shù)者として仕事をしている人に研修を行うなどだ。例えばファーウェイの日本法人であるファーウェイ?ジャパンは2021年に、日本國內(nèi)で中學(xué)高校生1700人を?qū)澫螭耸跇I(yè)を行った。ファーウェイは日本のような先進(jìn)國だけでなく、自國及びその他の開発途上國でも、人材育成事業(yè)を展開している。

ファーウェイが目指しているのは、「デジタル技術(shù)によってすべてが結(jié)ばれる社會」だ。そのためには、高度な研究開発に攜わる技術(shù)者だけでなく、システムを運営維持する技術(shù)者も大量に必要だ。

技術(shù)者の層が厚くなれば、「社會全體のデジタル化」は推進(jìn)しやすくなる。巡り巡って、ファーウェイのビジネス展開に有利な環(huán)境も出現(xiàn)しやすくなる。また、特に発展途上國での人材育成は、現(xiàn)地政府に歓迎されるはずだ。

ファーウェイは、日本で理想的な商道徳とされてきた「三方よし」（自らにとってよし、相手にとってよし、社會にとってよし）を、長期的視野に立って実踐していると言ってよい。

■ファーウェイにとってスマートフォンはすでに「前世代型商品」か

ファーウェイの2021年決算で?売上高の落ち込みが最も大きかったのは?前年比49．6％減の2434億元(約4兆6800億円)の消費者向け事業(yè)だった?ただし?大きく落ち込んだのはスマートフォンなど、これまでに実績を重ねてきた商品だ。一方で新ジャンルの商品として力を入れたウエアラブル製品やスマートモニターでは?売上高が前年比30%増だったという?

ファーウェイが消費者向け商品として力を入れているのは?いわゆるIoT（モノのインターネット）絡(luò)みの製品だ。例えばスマートホームなどにも力を入れている。であれば、情報の授受に特化されたスマートフォンなどはファーウェイにとって「古いジャンル」ということになる。ファーウェイ社內(nèi)ではスマートフォンをはじめとするスマートデバイスを今後どのように扱っていくかが議論されているという。

■大戦略の根底にある「守備範(fàn)囲」の見極め

大型製造業(yè)企業(yè)の業(yè)態(tài)は「垂直統(tǒng)合型」と「水平分業(yè)型」に大別することができる。製品の全てを自社または系列會社で製造するのが「垂直統(tǒng)合型」で、多くを他社で製造してもらい、最終製品を自社ブランドで売り出すのが「水平分業(yè)型」だ。かつての日本企業(yè)は「垂直統(tǒng)合型」で成功した。しかしこのところは、アップルに代表されるような「水平分業(yè)型」の方が有利という意見が強まった。

ファーウェイは「垂直統(tǒng)合型」的なメーカーと言える。そして現(xiàn)在は米國からの輸出禁止の圧力を受け、最も基礎(chǔ)的な部品である半導(dǎo)體の開発にも力を入れている。とすれば、ますます「垂直統(tǒng)合型」に近づく。

しかしファーウェイは、例えば自動車分野に力を入れているが、「自動車そのものをつくることはない」と斷言している。自動運転などで高度な技術(shù)の必要性がますます高まる狀況の中で、自らの技術(shù)を自動車メーカーに提供する戦略だ。炭鉱事業(yè)や太陽光発電についても同じだ。

つまりファーウェイはICT分野の範(fàn)囲內(nèi)では「垂直統(tǒng)合型」だが、それ以外の分野については「ソリューション提供」という役割りに徹している。大きな目でみれば「水平分業(yè)型」だ。

ファーウェイはさまざまな業(yè)界において「ICT技術(shù)を用いて抜本的な刷新を?qū)g現(xiàn)したい」との需要が発生した場合、「ファーウェイに協(xié)力してもらえれば、よりよく実現(xiàn)できる」という狀況を構(gòu)築しつつある。

■ファーウェイにとっての「今後の有望市場」とは

ファーウェイにとって米國をはじめとする先進(jìn)國市場は「極めて難しい市場」あるいは「特別なリスクがある市場」になった。臺頭してきた中國と西側(cè)先進(jìn)國との間では摩擦や対立が発生せざるをえず、そうなれば中國を代表する企業(yè)の一つになったファーウェイは真っ先に矢面に立たされると考えねばならないからだ。

そんなファーウェイにとって自國である中國の巨大市場は頼りになる存在だ。しかしいくら中國市場が巨大と言っても、１國だけでは限界がある?，F(xiàn)に、ファーウェイが強みを発揮してきた5G基地局の建設(shè)も、中國國內(nèi)ではほぼ一巡したとされる。

ファーウェイの最近の動きを見ると、中近東のトルコやクウェート、アフリカ、東南アジアでの契約獲得が目立つ。その契約內(nèi)容には、5Gネットワーク以外にも太陽光発電プロジェクトなどがある。太陽光発電プロジェクトでファーウェイが擔(dān)當(dāng)するのはスマート蓄電などだ。

郭平輪番會長によると、數(shù)年前に中東のある國のトップから、將來の発電量の構(gòu)成比について10％から15％を原子力、70％から80％を太陽光、この2種の補助として、殘りの部分を天然ガス火力発電で補うという構(gòu)想を聞いたことなどで、ファーウェイとして中東地域の太陽光発電の事業(yè)に強い関心を持っているという。

中東地域で太陽光発電が期待されているのは、世界的な脫炭素の流れに対応せねばならない一方で、日照時間が長いからだ。

世界各國の狀況はそれぞれ異なる。しかし、経済や産業(yè)、社會の変革に追いつくための取り組みには、いずれも高度なデジタル技術(shù)が不可欠だ。ごく一部の先進(jìn)國を除けば、高度なデジタル技術(shù)は他國の企業(yè)に頼らざるをえない。そこで、「さまざまな分野に高度な技術(shù)を提供する」というファーウェイの方針が生きることになる。

もちろん、発展途上國からの受注競爭では歐米など先進(jìn)國の企業(yè)がライバルになる。しかしこの方面でも、ファーウェイの競爭力は相當(dāng)に強いと考えてよい。

■筆者プロフィール：如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大學(xué)教養(yǎng)學(xué)部基礎(chǔ)科學(xué)科卒。日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強し、その後は北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿?。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業(yè)とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する?！钢袊慰諝荨工蛘i者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。中國については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結(jié)局は得」が信條。硬軟取り混ぜて幅広く情報を発信。

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