新型コロナウイルスが蔓延してからの大きな変化として、インターネットの「マイナス情報(bào)」が無(wú)限に大きくなっていることを感じる。それは無(wú)闇に人の目を引かせ、無(wú)責(zé)任な発信によって稼ぐことで金儲(chǔ)けをするネットビジネスの醜い目的に合致し、多くの人々の心を蝕む。人々に事実を伝えず、マイナス面によって関心を惹くことは、セルフメディアのみならず多くのマスメディアにおいても行われている。正確な情報(bào)や客観的な統(tǒng)計(jì)であることが明らかなものでさえも、メディアによって否定され、批判される。なぜなら、そうすればトラフィックにとって価値があるからである。メディアの良心を失ったこうした操作は、多くの人に疑いを抱かせ、それにより恐怖は急速に伝播することとなった。

メディアがコロナの変異と死亡データの上昇に熱中しすぎているからか、「情報(bào)恐怖癥」に罹患する人はかなり増えた。大衆(zhòng)のネット情報(bào)に対する依存を利用し、政治家たちは善良な庶民の脳と生活を操っている。

つまり、斷片化した情報(bào)が肥大していくに伴い、恐怖癥の高発癥率は人間社會(huì)の新たな問(wèn)題となってきているのだ。

確かに、発達(dá)したネット情報(bào)は、あらゆる人を瞬時(shí)にて情報(bào)環(huán)境下に置き、あらゆる規(guī)模の事柄を瞬時(shí)に俯瞰することを可能にした。たとえば、洪水が起きれば私たちは中継で水位上昇を追うことができ、火災(zāi)が起きれば爆発を目の當(dāng)たりにすることができるし、交通事故が起きれば遠(yuǎn)くからやってくる救急車の音を聞いてまるで怪我人が隣にいるように感じることができる。ゆえに、最近の私たちには地球上の災(zāi)難の數(shù)が膨れ上がっているように感じられるが、それは単に注目され、報(bào)道される災(zāi)難の數(shù)が多すぎるというだけであり、災(zāi)難の數(shù)が実際に増えたわけではない。しかし報(bào)道の數(shù)が増えれば、真実が伝わりにくくなるという問(wèn)題も起こる。

昨年、ヨーロッパの友人から、なぜ高齢のコロナ患者の意見(jiàn)を聞かずに醫(yī)療救助するのか？それは人権?zé)o視ではないか？という質(zhì)問(wèn)があった。一瞬、理解できなかった?！干毪韦馑坤踏韦馊摔螛乩坤趣いΔ长趣扦工俊工缺摔寺劋?、「違う！　勝手な救助は高額な負(fù)擔(dān)になり、醫(yī)療資源の無(wú)駄でもある」、と彼は言った。なるほど、考えればそれは人権問(wèn)題かもしれない。すぐに武漢にいる醫(yī)者の友人にも同じ質(zhì)問(wèn)をした。彼女が答えて言うには、「命を救うのは醫(yī)者の使命であり、そんな聞き方はおかしい。今回の新型肺炎の醫(yī)療費(fèi)は國(guó)の負(fù)擔(dān)で、別に個(gè)人や家族の負(fù)擔(dān)にはならない」とのことであった。しかし、ヨーロッパの友人はそんなことはあり得ないと納得してくれなかった。歪んだネット情報(bào)や文化と國(guó)家體制の違いに起因する意見(jiàn)の食い違いで、中國(guó)の現(xiàn)狀を説明する難しさを痛感した。

また、太湖のほとりでお茶を飲んでいた時(shí)のことも思い出す。ある友人が「太湖の岸がホテルの3階まで洪水で水沒(méi)してしまった」と寫真とテキストを送ってきたのだが、私はただちに自分がお茶を飲んでいる寫真を送り返した?！杆饯?階でお茶を飲んでいるけど、まだ溺れ死んでいないよ」。もし現(xiàn)場(chǎng)にいなければ、私も合成寫真を信じて、恐怖のどん底に陥っていたかもしれない。

もし私たちがインターネットを見(jiàn)ず、自分の生活圏內(nèi)にだけ注意を向けていれば、さほど大きな問(wèn)題は起きてないことがわかる。私は異なる國(guó)家?地域の友人たちに「あなたの家や家の付近の狀況はひどくなっていますか？」という同じ質(zhì)問(wèn)をしたことがある。中國(guó)以外の友人たちはふつう「少し問(wèn)題はあるが、あなたが想像するほどではなく、全く生活していけないほどではない」と答える。これは非常に面白いことで、武漢の人も海外の多くの報(bào)道を軽蔑しており、「あなたたちが報(bào)道しているほど感染者は多くないよ」と見(jiàn)下している。明らかに、真実は自分の目や耳、感性と理性で判斷するのが一番正しい。私の経験では、伝聞や推測(cè)、噂話の類は、基本的には噓やほら話を含んでいる。もしこれらを簡(jiǎn)単に信じれば、脳の免疫力を低下させてしまうことだろう。

「新型コロナウイルスの発端を徹底的に調(diào)査する」などといった、政治化された情報(bào)に注目する人々は、日々の「情報(bào)テロ」を感じているだろう。ある醫(yī)學(xué)専門家が言っていたのを思い出す?！袱ⅳ椁妞肟植腊Yの病因は非常に定義が難しいが、環(huán)境や情報(bào)による過(guò)剰な心配が恐怖癥の基盤となっているはずだ」。私が思うに、スマホを見(jiàn)ると得體も知れない恐怖に襲われるのは、多くの人が誇大化したマイナス情報(bào)を気にしすぎているからである。しかし一部のトラフィックを得ようとしているだけの良くないメディアこそが、情報(bào)恐怖癥の伝染を引き起こす原因のひとつなのだ。

人間は前へと進(jìn)む足取りを止めない。國(guó)と國(guó)の間のコミュニケーションが途絶えることもあり得ない。まさに東京オリンピックが難局に直面してなお予定通り開(kāi)催されたように、交流?協(xié)力?前進(jìn)への努力は、友好?理解?寛容といった美しい人間関係につながる。マイナス感情を膨らませて人間の純樸な友情を壊すべきではない。國(guó)際協(xié)力しあって感染対策を行い、経済?貿(mào)易をスムーズにし、平和な生活を保つことに盡力し、お互いの信頼感を高めることこそ情報(bào)恐怖癥の解毒薬なのだ。

※本記事は、『和華』第31號(hào)「日中100人 生の聲」から転載したものです。また掲載內(nèi)容は発刊當(dāng)時(shí)のものとなります。

■筆者プロフィール：王超鷹（おうちょうよう）

文化研究者、工蕓士。上海生まれ。武蔵野美術(shù)大學(xué)大學(xué)院修士卒。14歳で上海工蕓美術(shù)公司に入社。篆刻、切り絵、絵畫の職人の道に進(jìn)む。美術(shù)作品や工蕓品などを世界各國(guó)に出展。1997年、デザイン事務(wù)所PAOSNETを設(shè)立。これまでアリババグループ、中國(guó)銀行、資生堂、ダイキン、キヤノン、キリンなど100社以上にのぼる企業(yè)に対するCI（コーポレートアイデンティティ）や企業(yè)文化構(gòu)築、デザインなどのコンサルティング実績(jī)を持つ。著書に『トンパ文字』、『篆刻文字』、『殉情物語(yǔ)』、『CIを超えよう』など多數(shù)。