ウクライナ戦爭(zhēng)が激しさを増す中、トルコがロシアとウクライナの仲介役を買って出たことが世界中の耳目を集めた。その背景には、地域大國(guó)としてのバランス外交と中東での影響力拡大という野望があるようだ。

◆ロシアとウクライナ雙方と緊密な関係

トルコがさまざまな面でロシアとウクライナのいずれとも強(qiáng)いつながりがあることは、すでに多くの識(shí)者が指摘している通りである。例えば、トルコは天然ガスの約４割をロシアから輸入しているし、トルコの原発開発にはロシアが積極的に協(xié)力している。トルコは小麥の約６割をロシアからの輸入に依存する一方、トルコ産の野菜や果物の大口輸出先はロシアだ。トルコの観光業(yè)に占めるロシア人旅行者の割合は一位を占める。

一方、トルコはウクライナとも経済?貿(mào)易面で関係を強(qiáng)めており、今年2月には自由貿(mào)易協(xié)定を締結(jié)した。農(nóng)業(yè)や観光分野でもウクライナはトルコにとって欠かせない存在になっている。トルコは今、インフレ高騰などで未曾有の経済困難に見舞われており、「ウクライナ戦爭(zhēng)が長(zhǎng)期化し、ロシアやウクライナとの経済関係に重大な支障が出ることは、経済苦境からの脫出を図るトルコにとって絶対避けねばならないシナリオ」（在イスタンブール貿(mào)易商社幹部）との見方は的を得ている。

経済的実利面から、トルコがウクライナ戦爭(zhēng)の仲介に乗り出したことは確かだろう。ロシアのウクライナ侵攻直前、トルコのエルドアン大統(tǒng)領(lǐng)が「（ロシアもウクライナも）どちらの國(guó)をもあきらめない」と語ったことが、こうした事情を物語る。

◆トルコの微妙な立ち位置

さらに重要なのは、外交面でのトルコの微妙な立ち位置である。トルコの対ロシア関係は複雑だ。シリア內(nèi)戦をめぐり両國(guó)はそれぞれの利害から対立しながらも、內(nèi)戦終結(jié)に向けた和平実現(xiàn)への取り組みでは足並みをそろえた。エルドアン大統(tǒng)領(lǐng)は2014年のロシアによるクリミア半島併合に対し、同半島にトルコ系住民が居住していることもあって強(qiáng)く反発した。その一方、トルコは北大西洋條約機(jī)構(gòu)（NATO）加盟國(guó)でありながら、ロシアから地対空ミサイル「S400」を?qū)搿?a target='_blank' href='http://www.wenhuatang.com/search.php?filter=米國(guó)'>米國(guó)はじめNATO諸國(guó)の反発を招いた。

このようなトルコの外交姿勢(shì)に関し中東問題専門家の間では「ロシアと米國(guó)との間でバランスを取りながら、地域大國(guó)として発言力の強(qiáng)化を図るのがエルドアン大統(tǒng)領(lǐng)の胸の內(nèi)」（米CNNの中東問題コメンテーター）といった見方が有力である。ロシアのウクライナ侵攻を非難しながらも、歐米各國(guó)の対露制裁には加わらず、ウクライナに対してはドローン供與など軍事支援を行い、NATO寄りの行動(dòng)を取るトルコのやり方はこの見方を裏付ける。

◆中東パワーゲーム參入の意図も

中東の大使を務(wù)めた日本の元外交官は「トルコは國(guó)際社會(huì)での存在感を高めることによって、中東地域での影響力拡大も畫策している」と分析する。実際、エルドアン大統(tǒng)領(lǐng)はロシアのウクライナ侵攻後の3月初め、イスラエルのヘルツォグ大統(tǒng)領(lǐng)を首都アンカラに招き、首脳會(huì)談を行った。イスラエル大統(tǒng)領(lǐng)のトルコ訪問は15年ぶり。トルコがパレスチナ問題などをめぐって対立していたイスラエルとの関係改善に本格的に動(dòng)きだしたのは確実。トルコは長(zhǎng)年対立してきたエジプトやアラブ首長(zhǎng)國(guó)連邦（UAE）とも関係改善を急ぐ構(gòu)えだ。

◆サウジ、イランと並ぶ重要ファクターに

このトルコの動(dòng)きは、イスラエルが2020年後半、UAEやバーレーンなどアラブ諸國(guó)と國(guó)交を樹立するなど、中東情勢(shì)が急激に変化していることと密接な関係がある。イスラエルとアラブ諸國(guó)の接近の背景にはイランの脅威があるのは間違いない。イスラム教シーア派のイランはスンニ派のサウジアラビアと中東の盟主爭(zhēng)いを演じてきたが、最近ではサウジは押され気味。サウジと同じスンニ派のトルコが以前から中東での影響力拡大を狙っているのは中東関係者の間ではよく知られた話だ?！弗去毳长Ε楗ぅ蕬闋?zhēng)の仲介をテコに國(guó)際的プレゼンスを拡大し、中東地域でサウジ、イランと並んでパワーゲームの一角に加わる野望を抱くのは當(dāng)然」（前述の元外交官）という見方は説得力がある。トルコ外交は國(guó)際情勢(shì)の流れを占う上で重要なファクターになりそうだ。

■筆者プロフィール：山崎真二

山形大客員教授（元教授）、時(shí)事総合研究所客員研究員、元時(shí)事通信社外信部長(zhǎng)、リマ（ペルー）特派員、ニューデリー支局長(zhǎng)、ニューヨーク支局長(zhǎng)。