ソフトパワーにもなる軍事力=人民保護(hù)?災(zāi)害支援など「力」の活用、「自國(guó)への吸引力」に有効

池上萬(wàn)奈    2022年4月28日(木) 5時(shí)20分

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軍事力はハードパワー、経済力はソフトパワーとして使われている場(chǎng)面を見るたびに、いやそうではない、ソフトパワーの意味を勘違いしていると思ってしまう。

軍事力はハードパワー、経済力はソフトパワーとして使われている場(chǎng)面を見るたびに、いやそうではない、ソフトパワーの意味を勘違いしていると思ってしまう。そこでソフトパワーの名前の生みの親である米國(guó)の國(guó)際政治學(xué)者、ハーバード大學(xué)特別功労教授ジョセフ?ナイ(Joseph S.Nye, Jr.)の「力(パワー)」の解釈を披露しよう。

國(guó)際政治では、パワーと言えば「國(guó)力」のことである。代表的な「國(guó)力」の資源と言えば軍事力?経済力があげられるが、その力を使って相手が望まないことに対して、その意思を変えさせ自分の望む結(jié)果に導(dǎo)く、いわゆる強(qiáng)制力を用いることがハードパワーの行使となる。

相手の意思を変えさせる力の行使には、物理的破壊、威嚇、報(bào)酬等がある。こちらが要望していることを受け入れなければ軍事侵攻して街を破壊する。まさしく現(xiàn)狀のロシアウクライナへの侵攻である。自分の意見に従わないならば軍事力を使って占領(lǐng)するぞと威嚇する行為や、経済支援を取りやめると威嚇する行為もある。こちらの要求に従えば経済支援をするという報(bào)酬をちらつかせることも経済力を使った強(qiáng)制的な行為となる。それらの行為によって自分の望む結(jié)果を得られるのならば、その力の行使は成功したことになる。

◆軍事力を使った人命救助、人民の保護(hù)、災(zāi)害支援

しかし、強(qiáng)制的な力の行使(破壊?威嚇?報(bào)酬等)ではない方法で、自分の望む結(jié)果に導(dǎo)く方法はないのだろうか。自分の望む結(jié)果を得られるよう相手を仕向けさせる力というのも存在するのではないかとして、ソフトパワーという概念が生まれたのである。ソフトパワーという言葉が生まれたことによって、それまで使っていたパワーをハードパワーと稱するようになった経緯がある。他國(guó)に強(qiáng)制的な力を行使するのとは逆方向、要するに自國(guó)への吸引力がソフトパワーなのである。

例えば、東日本大震災(zāi)後、海外から日本に多大な支援や協(xié)力があった。これは日本の持つソフトパワーの成果であろう。日本人に親切にしてもらった、日本人は禮儀正しい、日本は治安が良い、日本製品は優(yōu)れている、日本のアニメによって日本文化に興味を持った等々、親日家を増やすためのソフトパワーの資源は、日本には數(shù)多く存在している。

では、軍事力がどのようにして吸引力となりうるのか。軍事力を使った人命救助、人民の保護(hù)、災(zāi)害支援等である。大災(zāi)害にあった場(chǎng)所に即座に駆けつける。頼りになるなあと思ってくれれば、何かの折には恩返しをしたいと思うかもしれない。それが、軍事力を使ったソフトパワーとなる。強(qiáng)大な軍事力を持つアメリカと同盟を組んでいる國(guó)にとっては、アメリカの軍事力は頼りになる存在であり、アメリカの持つソフトパワーなのである。

◆他國(guó)の人々が憧れるソフトパワーを生み出せ

「力」の資源は行使方法によってハードにもソフトにもなるということである。ただし、軍事力や経済力は數(shù)値化して他國(guó)と比較することができ、その強(qiáng)制力の行使の成果も數(shù)値に表すことができるが、ソフトパワーの成果は數(shù)値化することができないという難點(diǎn)がある。

日本の持つ資源をどのように行使すればどの位のソフトパワーが得られるかは明確ではない。しかし効果があることは確かである。日本では、避難民となったウクライナ人を受け入れている周辺國(guó)に自衛(wèi)隊(duì)機(jī)で救援物資を?qū)盲堡毪长趣摔胜盲?。自衛(wèi)隊(duì)員?自衛(wèi)隊(duì)機(jī)?救援物資という資源を使ったこの行為は、いずれ日本のソフトパワーを効果的に生み出すことになるであろう。

やがて中國(guó)が経済力のみならず軍事力までも米國(guó)を追い越すことになると言われている。しかし、米國(guó)は自由で開かれた民主主義國(guó)家という魅力を有し、他國(guó)の多くの人々が憧れる多大なソフトパワーの資源を有している。自國(guó)の持つ資源を有効に使うこと、要するにハードパワーとソフトパワーをうまく組み合わせることで最大限の力を引き出す(それをスマートパワーとジョセフ?ナイは名付けている)、それによって米國(guó)の國(guó)力は優(yōu)位を維持することができるとジョセフ?ナイは語(yǔ)っている。

■筆者プロフィール:池上萬(wàn)奈

慶應(yīng)義塾大學(xué)大學(xué)院後期博士課程修了、博士(法學(xué))、前?慶應(yīng)義塾大學(xué)法學(xué)部非常勤講師 現(xiàn)?立正大學(xué)法學(xué)部非常勤講師。著書に『エネルギー資源と日本外交—化石燃料政策の変容を通して 1945-2021』(芙蓉書房)等。

※本コラムは筆者の個(gè)人的見解であり、RecordChinaの立場(chǎng)を代表するものではありません。

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