日中の“得意技”は異なる…スマートシティー建設(shè)で「協(xié)力と補完が有効」の指摘

Record China    2022年4月27日(水) 10時20分

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野村総合研究所と中國國立の中國情報通信研究院は「デジタル社會資本とスマートシティの國際共同研究」を進めており、このほど中間報告の発表を行った。

野村総合研究所と中國國立の中國信息通信研究院(中國情報通信研究院)は3月23日、2021年6月に始めた「デジタル社會資本とスマートシティの國際共同研究」の中間報告を発表した。同研究は現(xiàn)在も進行中だ。そこで、中國信息通信研究院への取材なども交えて、日中両國のスマートシティーへの取り組みの現(xiàn)狀と課題、両國における違いや共通點、さらにデジタル関連全般で日中の協(xié)力が実現(xiàn)すれば、どのような「ウィンウィン」がもたらされるかを探ってみた。

このところ目にすることが増えて來たスマートシティーの語だが、「都市の抱える諸課題に対して情報通信などの新技術(shù)を活用した計畫、整備、管理、運営が行われ、全體最適化が図られる持続な都市または地區(qū)」などと定義されている。

そこでは生活や仕事が効率化され、人々は効率化されることでより大きなゆとりを得ることができる。エネルギーの浪費も抑えられるので「地球環(huán)境に優(yōu)しい都市」が実現(xiàn)する。また、自動運転などの新技術(shù)も単獨ではなく、その他の技術(shù)と結(jié)び付けられる。例えば、自動運転車が「スマート道路」から情報を受け取ることで、安全性がより向上するなどだ。そして日本も中國も、スマートシティーの建設(shè)を進めている。

■スマートシティー建設(shè)で発揮される日中それぞれの“得意技”は異なる

中國には重要な政策について「長期的な大戦略」を構(gòu)築した上で個別の取り組みを計畫的に推進する伝統(tǒng)がある。中國情報通信研究院によると、中國におけるスマートシティーの建設(shè)は「デジタル中國」や「ネット強國」を目指す取り組みを背景しにしており、21年3月に発表した「國國民経済と社會の発展の第14次5カ年計畫と35年までの長期目標(biāo)の綱要」には、スマートシティーの建設(shè)について「デジタル化により都市部と農(nóng)村部の発展と、管理モデルの革新を推進し、運用効率と居住性を全面的に高める」と明記されている。

同研究院によると、中國ではスマートシティー500カ所以上が建設(shè)されたとの統(tǒng)計がある。また、中國のスマートシティーには、最上層部から底辺に至るまでの全體の設(shè)計を重視することや、デジタルプラットフォームが都市の公共サービスや都市の管理や産業(yè)を発展させる役割りを果たす特徴がある。モノのインターネット(IoT)技術(shù)などを使って現(xiàn)実空間をサイバー上で再現(xiàn)することを「デジタルツイン」というが、中國では目下、各地の狀況に適した形で「デジタルツイン?スマートシティーの模索」が進められているという。

一方の日本は、內(nèi)閣府によると「サイバー空間と現(xiàn)実社會を高度に融合させて経済発展と社會的課題の解決を両立する人間中心の社會」である「Society 5.0(ソサイエティー5.0)」を目指しており、スマートシティーは「Society 5.0」の先行的な実現(xiàn)の場との位置付けだ。

中國情報通信研究院によると、日本のスマートシティー建設(shè)には、多くの民間企業(yè)が積極的に參加する官民共同による推進の傾向が強く、高齢化や防災(zāi)などでの豊富な経験の蓄積という特徴も感じるという。また日本の場合には、デジタル田園都市構(gòu)想やデジタル庁の設(shè)立などもあり、今後は各種法律の積極的な改正を行い、デジタルプラットフォームの建設(shè)と整備に力を入れる姿勢が見られるという。

■日中雙方はスマートシティー建設(shè)で何を達成できたのか、何が課題なのか

中國情報通信研究院によると、中國の強みは計畫的な推進や汎用プラットフォームの構(gòu)築だ。北京、上海、広州深セン、杭州などの大都市では、公共データ資源システムがかなり整えられており、都市運営管理プラットフォームなどがデータの臨機応変な利用を支えている。

また、中國ではデジタル産業(yè)を支える華為技術(shù)(ファーウェイ)、アリババテンセント、百度、さらに通信事業(yè)者などの技術(shù)力とその応用力、イノベーション、システマティックな集約、プラットフォーム構(gòu)築などの能力が強大という特徴もある。

中國の課題としては、データの利用と取り扱いにおける安全性の向上が必要なことがある?,F(xiàn)在は、データを最大限に活用するためにも、取り扱いの規(guī)則を模索している狀況だ。また、辺境地域の農(nóng)村住人や高齢者などのデジタルデバイド(情報格差)の問題もある。身體障害者が利用できるデジタル関連のサービスが少ないことも課題だ。中國は、全ての人がデジタル化の恩恵を享受できる社會を目指しているという。

一方の日本は、構(gòu)築モデルの柔軟性と個人データの活用の仕組みに強みがある。日本の場合にはスマートシティーの建設(shè)で、高齢化対策と地方経済の活性化が強く意識されている。民間企業(yè)だけでなく、住民の果たす役割りもかなり大きい。そしてこれまでに、交通や観光、醫(yī)療、教育などの分野で良好な応用事例が出現(xiàn)している。また、個人情報の利用や管理などの制度は相対的に整備されている。

日本のスマートシティー建設(shè)の問題點は、デジタル技術(shù)の応用の進展が比較的遅いことや、支えとなるデジタル関連のインフラやデジタル環(huán)境が少ないことだ。日本の科學(xué)技術(shù)の水準(zhǔn)は高いが、人工知能(AI)やブロックチェーンなどの応用は遅れている。中國で「都市の大脳」などと呼ばれる分野の境界を越えて作動するデジタルプラットフォームも欠落している。

■日中両國の協(xié)力により、どのようなウィンウィンを期待できるのか

中國情報通信研究院は、中國が強いデジタル分野は例えば、5G関連技術(shù)とネットワークの構(gòu)築などで、日本が強みを持つのは、スマートセンサーやロボットと説明。特にスマートセンサーは、デジタル化された産業(yè)の中では、極めて重要な部品という。

さらに基礎(chǔ)分野で日本が強みを持つのはチップ関連技術(shù)などで、中國はAIや量子コンピューティングが進んでいる。

日中両國の経済には相互補完的な面がある。だからこそ雙方が互いに相手を極めて重要な貿(mào)易相手としてきた。中國情報通信研究院は、デジタル分野でも雙方は相互補完的な狀況であり、日中の協(xié)力は2カ國の利益に合致するだけでなく、全世界の産業(yè)チェーンの健全な発展に資すると説明。また、地域的な包括的経済連攜協(xié)定(RCEP)が発効したことも、両國の協(xié)力に追い風(fēng)と指摘した。

デジタル分野における日中の協(xié)力では、すでにスマート観光やスマート醫(yī)療、スマート文化?娯楽で先行事例がある。

中國情報通信研究院は、日中両國には共通の課題も多いと指摘。デジタル技術(shù)の応用で成果を期待できる分野として、デジタルインフラの構(gòu)築、高齢者対策、感染癥対策、地球溫暖化対策を挙げた。これらはいずれも、スマートシティー建設(shè)にも直結(jié)する分野だ。

中國情報通信研究院はさらに、日中がその強みを持ち寄って補完することで、日中以外の「第3の市場」を開拓する可能性も出てくるとの考えを示した。

■日本側(cè)が持つ課題と、中國との提攜による「賢い解決法」とは

中國では、地方政府とAIベンチャーあるいは大手IT関連企業(yè)の提攜が盛んに行われている。企業(yè)側(cè)にとっては「大競爭時代」とも言える狀況だ。日本ではそもそもAIベンチャーがあまり育っておらず、中國のように「パワフル」なITも見當(dāng)たらない。

しかし中國側(cè)は日本市場を重視している。また、デジタル技術(shù)関連でハードなどを手掛ける企業(yè)が、日本企業(yè)が開発した優(yōu)秀な部品を調(diào)達することを、強く希望している場合もある。

スマートシティーだけでなく、日中のデジタル関連技術(shù)は「相互補完的」であるだけに、互いの協(xié)力や提攜で実現(xiàn)できることは多いはずだ。日本の中小企業(yè)や地方自治體はまず、中國の大手IT企業(yè)などからの情報収集に力を入れるべきではなかろうか。

テンセント、アリババ、ファーウェイなど中國IT大手は、日本法人も設(shè)けるなどで日本向けの情報発信に力を入れている。また、提供できる商品やソリューションのラインアップを充実させて、顧客ニーズに対する「最適解」の提供に力を入れている中國企業(yè)もある。日本では求めにくいものを中國側(cè)から入手することは十分に可能だ。

大は本格的なスマートシティーの構(gòu)築から小は規(guī)模がさほど大きくない企業(yè)のソリューションまで、日中の提攜による「ウィンウィン」の実現(xiàn)には、さまざまな狀況があるはずだ。(取材?構(gòu)成/高野悠介?如月隼人

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