映畫『戦爭と人間』=山本圭と吉永小百合―時代の流れに逆らい翻弄される「戀人同士」

アジアの窓    2022年4月29日(金) 10時40分

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俳優(yōu)の山本圭氏(81)の訃報が伝えられ、吉永小百合さんの追悼の辭がネット上に出ておりまして、<圭さんと「戦爭と人間」で共演したことは深く私の胸の中に殘っています>。

俳優(yōu)の山本圭氏(81)の訃報が伝えられ、吉永小百合さんの追悼の辭がネット上に出ておりまして、<圭さんと「戦爭と人間」で共演したことは深く私の胸の中に殘っています>。あのころ、真面目に映畫館に行って「戦爭と人間」三部作すべて見た記憶があります。

確かおぼろげな記憶でしたが、二人は時代の流れに逆らい翻弄される戀人同士。そういえば DVDに3部作とも録畫してあったねと思い出し、この二人はどうなってどうしたんだっけと、引っ張り出して、トータル9時間半弱の映畫を見ている余裕もないので早送りして二人が登場する、ないしそれぞれが登場する場面を見ました。

吉永小百合は満州事変を足がかりに満州で戦爭に全面協(xié)力して財を成す実業(yè)家伍代家の末娘、姉に淺丘ルリ子、兄に北大路欣也。當主は滝沢修。他の兄蘆田伸介、高橋悅史。豪華ですね。

さて學(xué)生の北大路欣也の友人で左翼思想を信奉する學(xué)生が山本圭。東京にある伍代家に北大路欣也を訪ねているうちに、妹の吉永小百合と知り合いになり、山本圭が、いろいろ社會情勢を教えているうちにいつしか二人の間に戀がめざめます。伍代家の戦爭成金としての生き方やり方に批判的なのが北大路欣也と吉永小百合。

北大路欣也の手引きで、ふたりは結(jié)婚。結(jié)婚屆は北大路欣也が役場に提出。二人は北大路欣也の計らいで雪の溫泉宿に新婚旅行に出かけます。父親の滝沢修には友達と旅行と偽りの申告。新婚旅行ですから、その必然性のままに、二人のそういうシーンがあったはずと思っていましたが、DVD で確認、やっぱりあった。小百合さんも小百合基準ながら、頑張っています。

帰宅後、実家に戻った吉永小百合は、お父さん、お話があります。滝沢修?北大路欣也?吉永小百合3人の息づまるシーン。親のまったく知らない結(jié)婚の報告。北大路欣也は私が世話をしました。クラスメートと旅に出ると言ったのは噓だったのだね。親を騙してでも圭君の妻になりたかったんだね。他のことはともかく圭君はこの社會の體制を破壊しようとしている立場の人間だ。こんばんは泊まって明日この家を出て行きなさい。小百合さんは、今日まで育てていただいたことに感謝はしておりますが、自分の幸せは自分で摑みたい。

戦爭を材料にしてのし上がる新興財閥の令嬢と左翼青年の戀??鄿iに満ちた新興財閥當主の顔。

さて今回は、映畫「戦爭と人間」の解説をしているわけではありません。皆さん、こういう話は映畫とか小説の作りごとというふうにお考えかもしれません。ところがですね。これは國籍もあいまいにしますよ、某國の話です。その某國は共産主義?社會主義ではありません。一応資本主義體制ですが、古典的な資本家というのはほとんどいなくて、たいていはサラリーマン経営者がマネージすると言う體制ではあります。しかしそれぞれの企業(yè)は株式を相互に持ち合うというネットワークをこしらえ上げ、大きな目で見れば相互にスクラムを組み鉄壁の資本家集団を形成するという形になっています。そしてその資本家集団の牙城とでもいうべき組織をこしらえ、そのトップに立つひとを資本界総理とか言って、內(nèi)閣制度の総理大臣に並ぶ存在とかいつしかいわれるようになっているのであります。

もちろん労働者とか働く人たちにも睨みを利かせます。一方これに対し、労働者は常に資本家集団により様々にいじめられている、それを大きく改善しなければならないと主張する政黨もあるわけで、それはそれで一定の支持を集めているとお考えください。その政黨は機関紙を発行し、編集取材に當たる記者も存在しています。

さてその某國のある時期、資本界総理に就任していた方の娘さんが、お父さん、結(jié)婚したい人ができたんです。娘さんの話を聞けば、お相手はその政黨の機関紙の記者さん。資本界総理、ブたまげたなぁの心境だったろうと思います。

映畫と重ね合わせれば、資本界総理?滝沢修、資本界総理の娘さん?吉永小百合、反資本界政黨機関紙の記者?山本圭となりますかしらね。

もちろん某國では婚姻は両性の合意に基づくとされておりますもので、資本界総理は結(jié)婚を認める、あるいは認めざるを得なかった。しかし結(jié)婚生活を某國で行なっていると、週刊誌に大騒ぎされかねない。海外特派員ではどうか。しかし赤の國の大ドコロでも目立つ、白の國大ドコロでも目立つ。赤でもない白でもないピンクの國ならばどうか。資本界総理と反資本界政黨がそれぞれ知恵を絞ったんでしょうな。ピンクの國に赴任、男の子も生まれ、某國の吉永小百合?山本圭、マスコミに知られることもなく幸せに過ごしましたとさ。その男の子は大きくなり、いまは某國できちんとお仕事をされておられます。

さて、映畫のほうの吉永小百合と山本圭はどうなったか。山本圭、兵隊に取られますので、あのトレードマークのたっぷりの黒髪を額やや斜め方向にバッサリ落とす髪型から、兵隊さんらしいクリクリ頭になっておりますので、これも見どころでしょう、とご案內(nèi)。

山本薩夫監(jiān)督、社會派とか言われておりますが、映畫を約9時間半、お客さんを惹きつけておくには何と言っても男女関係。ツボを心得ておられます。吉永小百合?山本圭ばかりではありません。北大路欣也も山本圭に負けてはなるものかの見せ場を作っています、とだけ予告して、見逃した方、あるいは若い世代にもぜひとも見ていただければ。

■著者プロフィール:高谷尚志「アジアの窓」編集委員

1946年中國?大連生まれ。早稲田大理工學(xué)部工業(yè)経営學(xué)科卒。毎日新聞入社、靜岡支局、経済部記者、「週刊エコノミスト」編集長などを歴任。2004年千葉科學(xué)大學(xué)危機管理學(xué)部危機管理システム學(xué)科教授。2015年4月よりフリー。

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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