中國の古典醫(yī)學(xué)書の翻訳、訳出先言語により異なる狀況―イラン人専門家が経験踏まえ解説

中國新聞社    2022年5月8日(日) 14時0分

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今、中國の伝統(tǒng)醫(yī)學(xué)に対する関心が世界的に高まっているという。しかし、そこに立ちはだかるのが「言葉の壁」だ。寫真は伝統(tǒng)的な生薬を処理する工程。

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中國の伝統(tǒng)醫(yī)學(xué)(以下、中國醫(yī)學(xué))に対する関心が世界的に高まっているという。しかし、そこに立ちはだかるのが「言葉の壁」だ。日本とは狀況が異なる非漢字圏の國の場合には、狀況がさらに困難だ。

その他の寫真

中國西南大學(xué)歴史文化學(xué)院に外國人専門家として在籍するイラン人のイーサン?ドーストムハンマド氏は、醫(yī)學(xué)書である「黃帝內(nèi)経(こうていだいきょう)」、「金匱要略(きんきようりゃく)」を含め、數(shù)多くの中國の古典をペルシャ語に翻訳してきた。同氏はこのほど、中國メディアである中國新聞社の取材に応じて、中國の古典的醫(yī)學(xué)書のペルシャ語への翻訳事情を説明した。英語圏などとは違った問題も発生しているという。以下はドーストムハンマド氏の言葉に若干の説明內(nèi)容を追加するなどで再構(gòu)成したものだ。

■中國の古典的醫(yī)學(xué)書を外國語に翻訳するには「複數(shù)の資質(zhì)」が必要

中國國外では今、中國の文學(xué)や歴史、哲學(xué)思想への関心が高まっており、翻訳のペースも加速している。しかし中國醫(yī)學(xué)の外國への紹介は、まだ初期段階だ。

ほとんどの醫(yī)學(xué)書は専門性が高く、一般の読者が理解するのは困難だ。そこで訳出の際には、外國人読者の文化的背景などを考慮して工夫せねばならない。陰陽五行や気血などの用語は、中國人ならばまだ理解しやすいが、外國人読者にとっては「ちんぷんかんぷん」だ。文化的背景の違いは本質(zhì)的な問題だ。

イランなどペルシャ語圏での中國醫(yī)學(xué)の普及は鍼灸が中心だ。生薬やその調(diào)合の仕方、中國醫(yī)學(xué)による診察法や治療法、健康維持などについては普及していない。

中國醫(yī)學(xué)の書物を翻訳する場合、翻訳者には複數(shù)の資質(zhì)が求められる。まず、中國語に堪能なだけでなく、中國文化や漢方醫(yī)薬文化についてある程度以上の理解がなければ、內(nèi)容を正確に伝えることはできない。語學(xué)の専門家であるだけでは、漢方醫(yī)薬の専門知識の翻訳の正確性が保障されない。かといって、中國醫(yī)學(xué)の専門家が翻訳したとしても、その言語表現(xiàn)のレベルが満足なものになるとは限らない。

■「翻訳を翻訳」することで生じる問題點(diǎn)とは

言語人口がそれほど大きくないペルシャ語などの場合には、別の問題も発生している。人口が少ないことで必然的に、翻訳作業(yè)に適格な人は少なくなる。イランでは近年、中國醫(yī)學(xué)の訳書の出版數(shù)が増加しているが、中國語を扱える人が少ないために、多くの場合は英語版を原本としている。この方法は、短期間に中國醫(yī)學(xué)をイランに広めるには役立つかもしれないが、中國語を英語に翻訳する時點(diǎn)で、翻訳者の理解の不一致などによる混亂が生じている。さらにイランのペルシャ文化と英語などを使う國の文化にも違いがあるため、ペルシャ語訳の質(zhì)もまちまちだ。

中國語の古典書がより良く海外の人々に理解され、受け入れられるようにするためには、扱う専門分野、中國語、訳出する言葉のいずれにおいても能力がある複合型人材が必要だ。私は、中國語書籍の內(nèi)容を言語人口が少ない言語を母語とする読者に正確に伝えるために、中國側(cè)としてそれぞれの言語についての専門家チームを結(jié)成し、例えば用語などの翻訳基準(zhǔn)を確立することを提案している。

■相手國の狀況を考慮しつつ翻訳の「最適解」を模索する

中國醫(yī)學(xué)を海外で広めようとしたら、相手國が中國の醫(yī)學(xué)文化をどの程度理解しているかも考えねばならない。例えば、中國醫(yī)學(xué)の実踐経験や基礎(chǔ)知識がない國の場合には、基礎(chǔ)的な理論や知識を優(yōu)先して広めることが有効だろう。

また、中國醫(yī)學(xué)には奧深い理論があるが、理屈の組み合わせは比較的シンプルだ。翻訳者は単純な理屈を複雑で難解な文章にしてはならない。専門用語も簡潔な訳語に翻訳し、しっかりとした注釈を加えることも必要だ。

ただし、中國醫(yī)學(xué)の専門用語には、中國文化の深い內(nèi)容が込められている。どのように訳出して中國の伝統(tǒng)文化の神髄を伝えるかは、翻訳者にとって最大の課題だ。西洋醫(yī)學(xué)の用語を機(jī)械的に當(dāng)てはめてはならない。中國醫(yī)學(xué)の専門用語は薬理の本質(zhì)や特色のある治療法を反映しているのだから、よりよい訳出法を考案して、より多くの人が漢方醫(yī)薬に興味を持ち、漢方醫(yī)薬文化を受け入れていくようにする必要がある。

中國もイランも歴史の長い國だ。シルクロードを通じて中國からイランにもたらされた薬材もあり、逆にイランや中央アジアから中國に伝えられた薬材もある。またペルシャの伝統(tǒng)醫(yī)學(xué)と中國醫(yī)學(xué)は互いに、相手が説く薬材の効用などを參考にしてきた。例えば生薬として使われる肉桂(シナモン)はペルシャ語でダルチンと言うが、これは「中國の木」の意味だ。逆に中國の古典的醫(yī)學(xué)書にはペルシャから伝わった薬材の記録があり、その使用法もペルシャ醫(yī)學(xué)と同様だ。

要するに、ペルシャ伝統(tǒng)醫(yī)學(xué)と漢方醫(yī)薬は基礎(chǔ)理論、診斷學(xué)、治療學(xué)などの面で多くの共通點(diǎn)がある。このことは、イランと中國が伝統(tǒng)醫(yī)薬分野で協(xié)力を展開するために基盤なるはずだ。

一帯一路」構(gòu)想の展開に伴い、中國醫(yī)學(xué)は「一帯一路」沿線國?地域で新たな発展段階に入った。特に新型コロナウイルス感染癥が拡大すると、中國醫(yī)薬は「一帯一路」沿線國?地域の感染拡大抑制の重要な手段の一つとなった。世界保健機(jī)関(WHO)も、新型コロナウイルス感染癥の治療における中國醫(yī)薬の安全性と有効性を認(rèn)め、中國が提唱した中國醫(yī)學(xué)と西洋醫(yī)學(xué)の結(jié)合モデルを積極的に取り入れるよう加盟國に呼びかけた。

このような狀況にあって、中國醫(yī)學(xué)の書籍や文獻(xiàn)を翻訳する人材に対する世界各國の需要は、これまでよりも差し迫っている。(構(gòu)成 / 如月隼人

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