岸田首相の東南アジア?歐州歴訪、真の狙いは「ロシア-ウクライナ問題」ではなかった―香港誌

亜洲週刊    2022年5月16日(月) 14時20分

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岸田首相の5カ國歴訪には「ロシア-ウクライナ問題」への対応とは別の真の狙いがあった。寫真は日EU定期首脳協(xié)議時での歐州理事會のミシェル議長(左)、歐州委員會のライエン委員長(右)と並んだ岸田首相。

香港メディアの亜洲週刊はこのほど、岸田文雄首相の4月29日から5月6日までの東南アジアと歐州の5カ國歴訪の旅を評する毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。以下は、その要約だ。

■岸田首相は「ロシアウクライナ」問題より、もっと“身近な危機(jī)”を重視

岸田首相は6日、インドネシア、ベトナム、タイ、イタリア、英國への歴訪の旅を終え、東京に戻った。岸田首相が東南アジア3カ國を訪問したのは、ロシア制裁の急先鋒として、訪問先の國をロシア制裁に加わらせることが目的と見られているが、実際には違う。

首相官邸の勤務(wù)経験があるベテラン外交官は亜洲週刊の取材に対して、東南アジア3カ國での首脳外交の狙いはロシアとウクライナの紛爭を利用して、「一方的に武力行使によって現(xiàn)狀を変更する行為に対するインド太平洋地區(qū)共通の憂慮」を強(qiáng)化し、経済と安全保障の協(xié)力により日本のインド太平洋地區(qū)での政治的影響力を強(qiáng)めることであり、さらにその目的はインド太平洋地區(qū)での「共同戦線」の構(gòu)築を進(jìn)めて中國をけん制することと説明した。

最初の訪問國のインドネシアでジョコ大統(tǒng)領(lǐng)と會談した際にもウクライナ危機(jī)に言及はしたが、対談の焦點は東シナ海と南シナ海の問題であり、アジアにおいて現(xiàn)狀の変更が認(rèn)められないことが確認(rèn)された。インドネシアは今年の20カ國?地域首脳會合(G20)の開催國であり議長國だが、ジョコ大統(tǒng)領(lǐng)はプーチン大統(tǒng)領(lǐng)のG20出席を宣言した。また、共同記者會見ではロシア-ウクライナ問題への言及がなかった。

岸田首相はインドネシアの港灣建設(shè)に約700億円の追加融資を行うことを表明し、また巡視船を提供してインドネシアの海上保安能力の向上を支援することを明らかにした。

■ベトナムには「南シナ海における日本の拠點」になることを期待

岸田首相は次のベトナムでは、ファム?ミン?チン首相と會談した。ベトナムとロシアは舊ソ連時代から友好関係にあり、ベトナムは國連でのロシア非難決議では棄権した。このような背景もあり、両首脳の會談では、東シナ海や南シナ海で海洋進(jìn)出を進(jìn)める中國への対応とけん制に重點が置かれた。雙方は、海上保安能力などの安全分野で両國が協(xié)力を強(qiáng)化することや、サイバーセキュリティー関係で、日本がベトナムの能力向上を支援することで合意した。

日本とベトナムはすでに、國防裝備や技術(shù)での協(xié)定を結(jié)んでいる。昨年末にはサイバーセキュリティーについて両國が防衛(wèi)協(xié)力を推進(jìn)する覚書を交わした。日本にとって南シナ海周辺國と軍事協(xié)力を結(jié)ぶ相手國はベトナムが初めてだ。日本には、南シナ海地域の重要な軍港であるベトナムのカムラン灣に拠點を置いて南シナ海で影響力を増す中國をけん制し、「南シナ海有事」が発生した場合に深く関與する下地を作る狙いがある。

日本は來年の國交正?;?0周年を利用して、経済支援や安全支援の「友好カード」を切ることにより、日本にとっての「南シナ海での拠點」とのベトナムの位置付けを強(qiáng)化した。日本はベトナムに対する5億5000萬円の無償援助と180億円の低利子融資を?qū)g施した。岸田首相はファム首相と共に、ベトナム工業(yè)貿(mào)易省と日本貿(mào)易振興機(jī)構(gòu)JETRO)が共催したシンポジウムにも出席した。シンポジウムのテーマは技術(shù)革新やデジタル転換、サプライチェーンの多様化における日本とベトナムの協(xié)力だった。

外務(wù)省の小野道子報道官は、日本とベトナムの関係について「これまでで最も良好」と述べ、國交正?;?0周年は両國の協(xié)力をさらに深める契機(jī)になると説明した。

■タイとも「軍事関連での協(xié)力」を強(qiáng)化、英國とは「価値観外交」でも一致

岸田首相はタイのプラユット首相兼國防相の會談では、軍事力を背景として東シナ海や南シナ海の現(xiàn)狀を一方的に変更しようとする試みや経済を利用した脅迫的行為について、日本は強(qiáng)く反対していることを強(qiáng)調(diào)した。雙方は、自由で開かれたインド太平洋の実現(xiàn)に向けて協(xié)力していくことを確認(rèn)した。

日本はまた、タイと「防衛(wèi)裝備品?技術(shù)移転協(xié)定」を締結(jié)した。タイは今年のアジア太平洋経済協(xié)力(APEC)の議長國だ。岸田首相は、日タイ安全保障協(xié)力を推進(jìn)することで、アジア太平洋地域における日本の政治的影響力を拡大し、より広範(fàn)なインド太平洋統(tǒng)一戦線を構(gòu)築するすることを狙っている。首相官邸の四方敬之報道官によると、日本は500億円を拠出してタイの新型コロナウイルス感染癥対策を支援する。

岸田首相は英國のジョンション首相との會談でも、「今日のウクライナ、あるいは明日の東アジア、臺灣海峽の平和は極めて重要だ」と、東アジアの問題に言及した。両首相は「世界各地の民主主義國は一致団結(jié)して、専制主義國に対抗せねばならない」と強(qiáng)調(diào)した。

雙方はまた、「日英互恵アクセス協(xié)定」に締結(jié)すると発表した。同協(xié)定により日英はより緊密に軍事訓(xùn)練と協(xié)力を展開することができるようになる。昨年9月には、英空母クイーン?エリザベス打撃群が初めて南シナ海を航行して日本を訪れ、橫須賀に寄港した。英海軍のこの動きは、日英が共同でインド太平洋の戦略的軍事協(xié)力を強(qiáng)化?推進(jìn)している重要なシンボルと見なされている。岸田首相の訪英で日英雙方が互恵的に提攜できることが確認(rèn)されたことは、日英が軍事的準(zhǔn)同盟を結(jié)んでいることを改めて浮き彫りにした。(翻訳?編集/如月隼人

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