2019年ごろ、新経済勢(shì)力PKQ（拼多多、快手、趣頭條）という言葉がはやった。それから3年、2021年の決算において、PKQの明暗ははっきり分かれた。

BAT（百度、アリババ、テンセント）という呼び方は、中國(guó)IT巨頭の象徴として世界的に定著した。続いて2010年代初期創(chuàng)業(yè)のTMD（バイトダンス、美団、DiDi）が臺(tái)頭してきた。これら3社も時(shí)流に乗って、大きな存在感を示した。そこでメディアは先走り、2015年ごろに創(chuàng)業(yè)した企業(yè)を物色し始めた。そこで選ばれたのがPKQ、共同購(gòu)入型ネット通販の拼多多、ショートビデオの快手、ニュースメディアの趣頭條だった。上場(chǎng)スピードを競(jìng)い、地方市場(chǎng)の開拓に成功し、「下沉（地方市場(chǎng)）三巨頭」と稱され、數(shù)々の話題を振りまいた。それがここへ來(lái)て、市場(chǎng)による選別にさらされている。

■拼多多…共同購(gòu)入型ネット通販を確立

拼多多は2015年4月にスタートした。ネット通販界に獨(dú)特の共同購(gòu)入モデルを持ち込んだ。SNSを徹底的に利用して購(gòu)入者を募り、取り引きを成立させるC2Mスタイルだ。売り手側(cè)は在庫(kù)リスクを気にせず、思い切った値段をオファーする。それを低価格につなげ、地方のネット通販未経験者を引き付けた。2018年7月、米國(guó)ナスダックへ上場(chǎng)、設(shè)立3年3カ月というスピードだった。

拼多多の2021年決算は、売り上げ939億5000萬(wàn)元で前年同期比58％増、利益は77億7000萬(wàn)元、前年は71億8000萬(wàn)元の赤字だったため、大幅に好転した。GMV（成約総額）は前年比46％増の2兆4410億元だった。また、2021年末におけるユーザー數(shù)は前年比10％増の8億6870萬(wàn)人だった。

2020年末には、アクティブユーザー數(shù)でアリババを抜き、大きな話題となった。2021年下半期以降、成長(zhǎng)は鈍化し、四半期決算は市場(chǎng)予想を下回った。人口には限りがあり、今後どのIT巨頭もアクティブユーザー數(shù)の頭打ちに直面する。これはある程度仕方ない。しかし、ここで黒字転換を果たしたのは大きなステップだ。これからは1人當(dāng)たりの月間消費(fèi)額を増やせばよい。2021年、拼多多のそれは2810元、アリババは9200元と約3倍の開きがある。打つ手はいくらでもありそうだ。

■快手…抖音（TikTok）と並ぶショートビデオの雄

快手は2011年、GIF畫像のシェアサービスからスタートした。やがてショート動(dòng)畫、ライブ配信、Eコマースへ進(jìn)出、急成長(zhǎng)していった。若者と地方都市に強(qiáng)みを持つ獨(dú)自のコミュニティーを形成している?，F(xiàn)在では、バイトダンス（抖音?TikTokを運(yùn)営）と並ぶ業(yè)界の雄だ。

快手の2021年決算は、売り上げが前年比37．9％増の810億8000萬(wàn)元だった。利益は188億5000萬(wàn)元の赤字で、139．8％増と拡大した。営業(yè)コストは34．6％増の471億元。減益の原因は収益の分配コストと関連する稅金が膨らんだためという。注目はネット通販部門で、GMVは前年比78．5％増の6800億元だった。また、月間アクティブユーザー數(shù)の平均は21．5％増の5億7800萬(wàn)人で、史上最高を更新している。

ユーザー數(shù)やネット通販は増加しているが、赤字も拡大した。バイトダンスは、アルファベット、アリババ、テンセントなどを視野に入れている。この強(qiáng)力な相手とどう戦うか、コストコントロールも含め、課題は山積だ。新しい動(dòng)きはいろいろある。直近では、ライブコマースで不動(dòng)産仲介に進(jìn)出すると伝えられた。戦略ミスは許されない。

■趣頭條…自社コンテンツ作成を停止

趣頭條は、2016年6月にスタートしたニュースメディアだ。2012年8月にスタートしていたバイトダンスの「今日頭條」を追いかけ、2018年9月に米國(guó)ナスダックへ上場(chǎng)を果たす。わずか2年3カ月、拼多多を上回り、史上最速だった。

急成長(zhǎng)の要因は、やはり地方都市の市場(chǎng)を開拓したことだ。AIを活用し、生活とエンタメを中心に、それぞれのユーザーに特化したコンテンツを提供した。趣頭條の2021年決算は、売り上げは前年比17．8％減の43億4000萬(wàn)元、利益は11億9300萬(wàn)元の赤字で、前年比15．6％増だった。月間アクティブユーザー數(shù)の平均は前年比21．7％減の9670萬(wàn)人だった。

趣頭條はリリース直後から黒字を確保した。そのため、ユーザー獲得のための大掛かりな投資をしなかった。一方、拼多多、快手は赤字をいとわず資金をつぎ込み、ビジネスモデルを磨き、一～二線級(jí)の大都市へ逆侵攻した。趣頭條にはそのパワーがなかった。

趣頭條は決算とともに大きな政策変更を発表した。百度などの第三者プラットフォームとの提攜を深め、自らの創(chuàng)作コンテンツプラットフォームは6月30日をもって閉鎖する。この方がより豊富なコンテンツを低コストで提供できるという。しかし、オリジナル部門という掌中の寶を失って、果たして差別化が可能なのか、疑問(wèn)は殘る。この発表後、かつて最高15．97ドルを記録した株価は0．8ドル前後まで下落した。市場(chǎng)も評(píng)価していないようだ。

■IT企業(yè)…選別の年

拼多多は増収増益、快手は増収減益、趣頭條は減収減益と、決算は三者三様くっきりと分かれた。拼多多には獨(dú)自の強(qiáng)力なビジネスモデルがある?？焓证违鹰弗庭攻猊钎毪蠌?qiáng)力なライバルぞろいだが、固定ファンをつかんでいる上、ライブコマースという高成長(zhǎng)部門がある。これに対し趣頭條は、新たな成長(zhǎng)戦略を描けないまま、赤字に転落した。PKQに限らず、派手な成功を體験したIT企業(yè)も、現(xiàn)在、その多くは市場(chǎng)からの選別にさらされている。趣頭條はその典型例となった。

■筆者プロフィール：高野悠介

1956年生まれ、早稲田大學(xué)教育學(xué)部卒。ユニー株（現(xiàn)パンパシフィック）青島事務(wù)所長(zhǎng)、上海事務(wù)所長(zhǎng)を歴任、中國(guó)貿(mào)易の経験は四半世紀(jì)以上?，F(xiàn)在は中國(guó)人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購(gòu)入、ライブEコマースなど、中國(guó)最新のB2Cビジネスと中國(guó)人家族について、ディ－プな情報(bào)を提供。著書：2001年「繊維王國(guó)上海」東京図書出版會(huì)、2004年「新?繊維王國(guó)青島」東京図書出版會(huì)、2007年「中國(guó)の人々の中で」新風(fēng)舎、2014年「中國(guó)の一族の中で」Amazon Kindle。