八牧浩行 2022年6月18日(土) 7時0分
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米中関係筋によると、バイデン政権は中國製品に課す制裁関稅を引き下げる方針である。米中首脳會談も、7月にもリモートで開催されるという。
米中関係筋によると、バイデン政権は中國製品に課す制裁関稅を引き下げる方針である。物価の大幅上昇に米國民の不満が高まっていることも背景にある。トランプ前政権が課した制裁関稅を引き下げれば、米中対立の緩和や世界経済の発展にも寄與すると期待されている。バイデン大統(tǒng)領は習近平中國國家主席との首脳會談をリモートで7月中にも開催することで中國側と調(diào)整している。
バイデン大統(tǒng)領は、トランプ前大統(tǒng)領が2018年と2019年に數(shù)千億ドル相當の中國製品に課した関稅の一部撤廃を検討している。米業(yè)界団體から企業(yè)や消費者のコスト軽減に向けた対中制裁関稅の引き下げを要求されている。制裁関稅の引き下げが実現(xiàn)すれば、米中対立の緩和や世界経済の発展にも寄與すると期待されている。
米中首脳會談が実現(xiàn)すれば3月18日にテレビ會議方式で実施して以來。この時は2月24日にロシアがウクライナに侵攻した直後で、バイデン氏が習氏にロシアを支援しないよう求めた。
米中は6月に入って高官同士の対話を重ねている。6月10日にオースティン米國防長官と中國の魏鳳和國務委員兼國防相がシンガポールで會談。13日にはサリバン米大統(tǒng)領補佐官(國家安全保障擔當)と中國の外交擔當トップ、楊潔チ共産黨政治局員がルクセンブルクで會談。首脳會談開催について話し合われた模様だ。新たな懸念事項として臺頭している北朝鮮による核実験実施の可能性などについても意見交換したとみられる。
サリバン補佐官は16日開かれた米シンクタンクの會合で、楊氏との會談について、「臺灣海峽の平和と安定を維持する必要があるという米國の考えを伝え、中國の動向に懸念を表明した」と表明。ウクライナへ侵攻中のロシアとの関係について「中國は慎重な姿勢をとっている」と語った。
サリバン補佐官は「中國はロシアへの直接的な軍事支援をしておらず、(日米歐などによる)制裁や輸出規(guī)制を回避するための組織的な関與もしていない」と言明?!钢袊弦痪€を越える措置は取っていない」との認識を示した。
米バイデン政権の臺灣政策を巡っては「臺灣を防衛(wèi)する必要があるか迫られる日が來ないようにするのが目的であり、それが効果的に抑止していることになる」と指摘。「これは歴代政権と同じであり、臺灣海峽の平和と安定を維持する點で機能してきた」と分析した。
米政府は中國に軍事?経済面でロシアを支援しないよう要求してきたが、サリバン補佐官の発言はこの要求が受け入れられているとの認識を示したものとして注目される。
米通商代表部(USTR)は5月上旬、制裁関稅の発動開始から4年が経過するのに合わせて見直し作業(yè)を始めた。イエレン財務長官は約40年ぶりの高インフレを抑え込むため、対中関稅の引き下げの必要性を唱えている。
バイデン大統(tǒng)領は5月23日、東京での日米首脳會談後の記者會見で、対中関稅引き下げを「検討している」と明言。同大統(tǒng)領は関稅引き下げが物価抑制につながるか分析するよう政権內(nèi)の経済チームに指示し、既に詳細な報告書を受け取ったという。
対中関稅は2018年、中國の知的財産侵害に対する制裁という名目で発動された。全米小売業(yè)協(xié)會は5月18日、バイデン大統(tǒng)領への書簡で「対中関稅の削減はインフレ圧力を和らげる」と決斷を促した。米ピーターソン國際経済研究所の試算によると、対中関稅など前政権がかけた関稅をやめれば、消費者物価指數(shù)(CPI)を1.3ポイント引き下げる効果がある。特に米産業(yè)界ではコスト負擔となっている関稅の削減を求める聲が多い。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響もあり、5月のCPI上昇率は前年同月比8.6%と約40年ぶりの高水準が続く。資源高によるガソリン価格高騰や食品高などで消費者や企業(yè)経営者の不満は募る。米國の1~3月期実質國內(nèi)総生産(GDP)はマイナスに転じており、インフレの進行が企業(yè)業(yè)績にも波及しつつある。
米中間選挙が半年後に迫る中、バイデン政権は長引くインフレなどで支持率が低迷し、與黨?民主黨は上下両院での過半數(shù)維持が危うい狀況だ。インフレ抑止はバイデン政権にとって最優(yōu)先課題である。
トランプ前政権は中國の知的財産権の侵害を食いとめるため、2018年7、8月に、25%の制裁関稅をかけたが、この関稅引き上げが米國の物価高を招いている。早くから関稅引き下げを提唱するイエレン財務長官は、物価抑制に「望ましい効果がある」と指摘。前政権が課した関稅が「消費者や企業(yè)に損害を與えている。中國問題に対処する點でも戦略的ではない」と言明している。
中國商務省は「追加関稅の減免?廃止は米國の消費者や企業(yè)の根本的な利益と一致し、米中そして世界にとって有益だ」としている。中國の有力大學教授は「追加関稅の撤廃は輸出再加速のきっかけとなる。米中対立の象徴だった制裁関稅が減免されることの意義は大きい」と期待している。
米中関係筋によると、バイデン大統(tǒng)領は習主席とのリモート首脳會談の後、中國での膨大な貿(mào)易?投資権益を有する金融?産業(yè)界の意向を受け、中國との対面での首脳會談を志向している。対面による米中首脳會談は、11月15~16日にインドネシアのバリ島で開催されるG20(20カ國首脳會合)か、11月18~19日にタイで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協(xié)力)サミットでの開催が計畫されているという。
米國主導のインド太平洋経済枠組み(IPEF)に臺灣が含まれなかったことで、中國側に會談に応じる機運が醸成されたとみられる。
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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