赤阪清隆 2022年6月28日(火) 7時30分
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新型コロナの感染の初期段階では、女性が首相などの政治的リーダーを務める國のほうがコロナの感染拡大を防ぐのに成功していると言われた。
今年(2022年)のタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」には、女性では、フォン?デア?ライエン歐州委員會委員長、クリスティーヌ?ラガルド歐州中央銀行総裁、俳優(yōu)?司會者のオプラ?ウインフリーなどが選ばれ、全體の半數近くを女性が占めた。日本人では、2020年に、大坂なおみと伊藤詩織が、2021年には大坂なおみ、大谷翔平、隈研吾が選ばれたのだが、殘念ながら、今年は日本人は誰も選ばれなかった。
他方、フォーブズ誌の2021年の「世界の影響力のある女性」ランキングでは、55位に女性初の日本銀行理事となった清水季子氏、59位に小池百合子東京都知事が選ばれている。グーグル、マイクロソフト、ペプシコ、IBMグループなど、アメリカの巨大企業(yè)のCEOにはインド系の人物が多いが、ペプシコの前CEOなど、女性も頑張っている。
フランスの高級ブランド、シャネルは、今年1月からグローバル最高経営責任者(CEO)に、インド出身の女性を登用した。インド系の人たちは、英語に堪能であり、理數系に強く、チャレンジ精神豊かで、知的好奇心にあふれ、コスモポリタンで、適応能力が極めて高いと評価される。
◆女性リーダーの方が優(yōu)秀???
新型コロナの感染の初期段階では、ドイツ、ニュージーランド、臺灣、フィンランド、アイスランド、ノルウエー、デンマークなど、女性が首相などの政治的リーダーを務める國のほうが、コロナの感染拡大を防ぐのに成功していると言われた。2020年12月30日付の「ハーバード?ビジネス?レビュー」に載った記事によると、効果的なリーダーシップを示す19項目のうち、1項目(技術的、専門的知識)を除けば、女性のほうが男性よりも優(yōu)秀だという。特に、「イニシアチブをとる」、「他人を元気づける」、「経済よりも人命を大事にする」、「正直である」、「論理的に、上手に話す」「チームワークを大事にする」などの13の項目で、男性をはるかに引き離して優(yōu)秀であると結論づけている。
しかし、日本に目を向けると、日本女性の地位は、國際的にみて非常に低い。世界経済フォーラムが2021年3月に公表した男女平等ランキングでは、日本は156カ國中120位で、先進國の中で最低レベル、アジア諸國の中でも、韓國や中國、アセアン諸國よりも低いという結果だった。女性の國會議員の數が少ないのと、企業(yè)などの管理職の女性の比率の低さ、男女間の賃金格差などが原因のようである。
內閣府の男女共同參畫局のデータが、日本における女性の活躍の現狀と課題を分かりやすく説明している。衆(zhòng)議院の女性議員比率(2022年、9.9%)は、世界190カ國中166位。國家公務員の上級管理職(局長?審議官級)に占める日本の女性比率(2021年、4.2%)も、カナダ(44.6%)、英(42%)、米(37.1%)などと比べると著しく低い。日本企業(yè)の女性役員比率は最近上昇しているが(2021、12.6%)、それでもフランス(45.3%)、イタリア(38.8%)、スエーデン(37.7%)などと比較すると、まだまだ低い。
內閣府の男女共同參加局のサイトには、働き方改革や女性リーダー人材バンクなど、政府が推進する種々の政策が説明されている。推進本部や、會議や、専門調査會、研究會など、いろいろと努力がなされてはいるのは分かる。ただ、データが示すように、國際的な比較をすると、進展のスピードがあまりにも遅い。どうしたら、もっと早急に、女性の活躍の比率を上げられるだろうか?
◆「クオーター制」「ブラインド?オーディション」も一案
奇抜でも良い、いいアイデアが必要だ。例えば、ニューヨーク?フィルの演奏者の採用で有名になった「ブラインド?オーディション」というのがある。オーケストラのオーデイションの際に、審査員の前にカーテンがあり、審査員は演奏者が見えないようにしたら、女性やアジア系の人が選ばれる比率が上がったという。審査員には、白人、男性を優(yōu)先するバイアスがあったことを示す具體例として知られるようになった。
國會議員の候補者や議席の一定割合を女性に割り當てる「クオーター制」の日本への導入も、検討はされてきている。世界では、2011年の段階で、87カ國(議員割り當て制17カ國;候補者クオーター制34カ國;政黨による自発的クオーター制36カ國)がすでに導入している。「法の下の平等に反する」、「逆差別だ」という反対論もあるが、フランス、ドイツ、ノルウエー、フィンランド、メキシコ、ルワンダなどの導入國で、女性議員の數を大幅に増やす効果を発揮してきたのも事実だ。日本でも段階的に導入を図るべきだろう。
この點、國連など國際機関は頑張っている。國連は、2020年に、幹部レベル(事務次長および事務次長補)で、男女同數を達成した。現在のアントニオ?グテーレス事務総長や、前任のバン?キムン事務総長も、女性の登用には力を入れてきた。バン事務総長の際は、部長以上のポストの候補者は、事務総長自身が最終チェックをして決めたが、審査を擔當したパネルから事務総長に屆ける候補者リストは3名で、そのうち少なくとも1名は女性でなければならないとのルールが決められていた。女性が含まれていない候補者リストが屆いた際は、面接試験のやり直しが命じられた。やはり、トップの意気込みの有無がモノを言う。
◆夢ではない「日本人女性の國連トップ」
國連関係機関で働く日本人職員の數は、2020年末現在918名だが、そのうち女性が573名(62.4%)で、過半數を超えている。國連での仕事が魅力的であること以外に、なぜこんなにも多くの日本人女性を惹きつけるのか。一つには、女性が採用試験などで優(yōu)秀な成績を殘すこと。二つ目には、優(yōu)秀な女性を惹きつける要因として、ワーク?ライフ?バランスが魅力的なこと。過労死や長時間の超過勤務というのはめったにない。三つ目には、女性に対する差別がないことと、出産や病気の際の恵まれた待遇も、魅力であろう。この二つ目と三つ目の條件は、日本の役所や企業(yè)が、大いに改善する必要がある點だ。
女性の活躍を後押しする環(huán)境づくりにはまだまだ課題は殘っているが、今の若い日本人女性は、以前よりはずっと恵まれた條件のもとにあるのも事実だ。女性だからと言って差別が許されない時代になっているからだ。むしろ、もっと女性をという追い風が吹いている。これから20年~30年先には、アジアから國連事務総長を選ぶ時期がやってくるから、日本女性が國連のトップの座を狙うということもあながち夢ではない。ガールズ!ビー?アンビシャス!
■筆者プロフィール:赤阪清隆
公益財団法人ニッポンドットコム理事長。京都大學、ケンブリッジ大學卒。外務省國際社會協力部審議官ほか。経済協力開発機構(OECD)事務次長、國連事務次長、フォーリン?プレスセンター理事長等を歴任。2022年6月から現職。
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