気候変動(dòng)の抑制策として、溫室効果ガスの排出を減少させる取り組みが行われている。さらにもう一つ、大気中に存在する溫室効果ガス―主に二酸化炭素―を大気中から除去する取り組みも進(jìn)められている。陸上ならばその一つは、森林面積を増やしたり砂漠を緑化する「グリーンカーボン」と呼ばれる方法だ。植物は自らの體を作る際に空気中の二酸化炭素を吸収することを利用した方法だ。海洋でも生物に二酸化炭素を吸収させる方法を使うことができる。これをブルーカーボンという。自らが研究者である海南省環(huán)境科學(xué)院のケイ巧院長(zhǎng)（「ケイ」は「形」の「彡」をおおざとに替える）はこのほど、中國(guó)メディアの中國(guó)新聞社の取材に応じて、中國(guó)におけるブルーカーボンの取り組みについて説明した。以下はケイ院長(zhǎng)の言葉に若干の説明內(nèi)容を追加するなどで再構(gòu)成したものだ。

【その他の寫(xiě)真】

■海洋とその周辺の生態(tài)を利用して炭素を補(bǔ)足、中國(guó)そして海南省にはできることが多い

國(guó)連環(huán)境計(jì)畫(huà)（UNEP）、食糧農(nóng)業(yè)機(jī)関（FAO）、ユネスコ政府間海洋學(xué)委員會(huì)（UNESCO-IOC）は2009年、共同で「ブルーカーボンシンク：健康な海洋の炭素固定作用の評(píng)価報(bào)告書(shū)」を発表し、初めてブルーカーボンの概念、すなわち海洋生物により炭素を捕獲することを提唱した。広い意味でブルーカーボンとは、海洋に関連する生物を利用して大気中の二酸化炭素を吸収し固定するプロセスや活動(dòng)、メカニズムを指す。

ブルーカーボンはグリーンカーボンなどの方法と比べ、炭素固定量が多く、貯蔵時(shí)間が長(zhǎng)いなどの特徴がある。森林や草原などの陸上生態(tài)系による炭素貯蔵の期間は長(zhǎng)くても數(shù)十年しかないが、ブルーカーボンならば數(shù)百年、さらには數(shù)千年に達(dá)する場(chǎng)合がある。中國(guó)もこのブルーカーボンに積極的に取り組んでいる。

中國(guó)が権利を主張する海域は約300萬(wàn)平方キロで、大陸の海岸線は1萬(wàn)8000キロだ。さらに670萬(wàn)ヘクタール大陸部海岸および海岸濕地帯がある。マングローブ林、海草床、塩沼は國(guó)際的に三大浜海ブルーカーボン生態(tài)系と認(rèn)められているが、中國(guó)に存在するこれらの生態(tài)系は極めて広大であり、単位面積當(dāng)たりの炭素固定の潛在力はかなり大きい。

海南省は中國(guó)の海洋大省だ。海域が広いだけでなく、生態(tài)系は豊富だ。例えばサンゴ礁の分布面積は全國(guó)合計(jì)の約98%で、海藻の群生面積は64%だ。またマングローブ林の面積は全國(guó)の約14％で、狀態(tài)も比較的よい。つまり海南省の海洋生態(tài)系は炭素貯蔵能力が高い。海南省は約200萬(wàn)平方キロメートルの海域面積を所管しており、海洋微生物の炭素固定総量は非常に大きい。

■中國(guó)人科學(xué)者が初めて提唱した漁業(yè)カーボンシンク、さらに必要なデータの取得

中國(guó)人科學(xué)者が初めて提唱してブルーカーボンの手法もある。その一つは漁業(yè)カーボンシンク（炭素貯蔵庫(kù)）で、漁業(yè)活動(dòng)を通じて水生生物による水中の二酸化炭素の吸収を促すものだ。海洋の生態(tài)改善、漁業(yè)の経営モデルの転換なども含まれる。中國(guó)は2022年、福建省連江市で初の漁業(yè)炭素シンク取引を?qū)g施した。

サンゴ礁が形成される際にも二酸化炭素は固定される。われわれがイメージするサンゴは、海中で集団として生息するある種の小さな動(dòng)物が體を入れるために形成する骨格だ。この骨格の主成分は海水中のミネラルであるカルシウムと海水中の二酸化炭素が結(jié)合した物質(zhì)である炭酸カルシウムだ。サンゴが形成される際には海水中の二酸化炭素が吸収される。海水中の二酸化炭素濃度が減少すれば、それだけ空気中の二酸化炭素が海水中に溶ける。つまり大気中の二酸化炭素を減らす効果が発生する。

一口にブルーカーボンと言っても、具體的にはさまざまな分野がある。また、さまざまな事業(yè)を進(jìn)めていくためには、ブルーカーボン取引制度やブルーカーボン投融資基準(zhǔn)など、社會(huì)的な仕組みの構(gòu)築も必要だ。

話を科學(xué)的な取り組みに戻せば、これまでブルーカーボンのメカニズムや効果について、さまざまな研究が行われてきた。しかしこれまでの研究は対象地域が米大陸や東南アジアなどの熱帯地方に集中していた。

海南省は熱帯地域と亜熱帯地域の両方にまたがっている。これまでの研究対象地域とは植物の成長(zhǎng)狀況などが異なるため、海外での研究成果に基づくデータををそのまま適用して評(píng)価したのでは、誤差が生じる。したがって、海南省內(nèi)に特化した基礎(chǔ)的調(diào)査や関連実験が必要だ。

■さまざまな取り組みや研究が必要、海南省がブルーカーボンの中心になる可能性も

ブルーカーボンという発想を、地球溫暖化の抑止に役立てるためには、やらねばならないことがいくつかある。まず、海洋生態(tài)環(huán)境の保護(hù)を強(qiáng)化することだ。既存のマングローブ林や海藻の群生などなどの生態(tài)系の保護(hù)を強(qiáng)化することで、炭素吸収能力を強(qiáng)化せねばならない。そして、養(yǎng)殖池などを濕原に戻すことも必要だ。海草の群生もダメージを受けている場(chǎng)合があるので、生態(tài)修復(fù)などのプロジェクトを展開(kāi)して、ブルーカーボン生態(tài)系の面積を拡大する。沿岸海域の汚染防止などのプロジェクトを?qū)g施することで、海洋生態(tài)環(huán)境の質(zhì)を高め、海洋の炭素固定能力を高めることが望まれる。

ブルーカーボンについては、今後も理論研究が必要だ。海水中の微生物の働きも研究する必要がある。中國(guó)としては、海洋関連で大気中の二酸化炭素を減らすために何が活用でき、どのように気候変動(dòng)対策の體系に組み込んでいくかを模索せねばならない。

漁業(yè)カーボンシンクについても、どの程度の期待が持てるかの研究がさらに必要だ。もちろん、海洋に関連して炭素を補(bǔ)足する技術(shù)を研究し、「期待値」を向上させていかねばならない。

海南省は現(xiàn)在、中國(guó)獨(dú)自の特徴を持つ自由貿(mào)易港を建設(shè)中だ。自由貿(mào)易港の建設(shè)は、ブルーカーボンの発展のための人材や技術(shù)、資金などの調(diào)達(dá)に結(jié)びつく。例えば、中國(guó)內(nèi)外からブルーカーボン研究の専門(mén)家や研究者を誘致することが考えられる。自由貿(mào)易港のビザなし入國(guó)政策を利用すれば、國(guó)際的な専門(mén)家や組織のオフライン交流?検討に大きな便宜を提供でき、ブルーカーボン國(guó)際交流プラットフォームの構(gòu)築に役立つはずだ。（構(gòu)成 / 如月隼人）