中國(guó)の習(xí)近平國(guó)家主席は2021年2月、中國(guó)は「脫貧困」に成功したと宣言した?！肛毨Пh」や「貧困村」に指定されていた地域も、すべてその指定が解除された。中國(guó)では一方で、「農(nóng)村建設(shè)の手を緩めてはならない」と、繰り返し説かれるようになった。手を緩めれば「貧困狀態(tài)に逆戻り」ということもあり得るので、極めて妥當(dāng)な主張だろう。中國(guó)の西南大學(xué)農(nóng)村振興戦略研究院副院長(zhǎng)の潘家恩教授はこのほど、中國(guó)メディアの中國(guó)新聞社の取材に応じて、他國(guó)との比較も一部交えて、中國(guó)における農(nóng)村建設(shè)の歩みを紹介した。以下は潘教授言葉に若干の説明內(nèi)容を追加するなどで再構(gòu)成したものだ。

【その他の寫真】

■中國(guó)で始まった農(nóng)村建設(shè)の運(yùn)動(dòng)は日本の影響を受けていた

近代に始まった中國(guó)の農(nóng)村建設(shè)は3段階に分けることができる。第1段階は農(nóng)村外部の知識(shí)人、あるいは地元出身の篤志家が主導(dǎo)した農(nóng)村救済を目的とした建設(shè)運(yùn)動(dòng)だ。その端緒となった事例として、清代末期の張謇が江蘇省南通で始めた地方建設(shè)運(yùn)動(dòng)がある。

1904年になると、河北定県の大地主だった米春明らは同県內(nèi)の翟城村を模範(fàn)村として、新しいスタイルの教育を興し、村の規(guī)則を制定し、自治組織を設(shè)立するなどした。一般住民も大いに自発性を発揮した。この運(yùn)動(dòng)はその後の農(nóng)村建設(shè)に大きな影響を與えた。

米春明が農(nóng)村建設(shè)を始めるきっかけは、日本に留學(xué)したことだった。彼は、日本の農(nóng)村の大きな変化を見(jiàn)て刺激を受けたのだった。

日本では20世紀(jì)になると、文學(xué)者の武者小路実篤らが「新しき村」の思想を提唱し、実際に村の建設(shè)も行った。中國(guó)でも「新しき村」の運(yùn)動(dòng)は広く知られるようになった。中國(guó)で農(nóng)村建設(shè)を?qū)g際に行った人物の中には、日本での留學(xué)経験を持つ者が多い。中國(guó)での農(nóng)村建設(shè)は、程度の差こそあれいずれも日本の狀況の影響を受けていた。

■試行錯(cuò)誤はあったが「農(nóng)村建設(shè)」の方針は不変

中國(guó)における農(nóng)村建設(shè)の第2段階は、中國(guó)共産黨が主導(dǎo)したものだった。1950年代の土地改革は、それまで社會(huì)の最下層とされていた人々を全面的に動(dòng)員した。読み書きの普及や水利施設(shè)の建設(shè)、生産のための組織づくりなどの運(yùn)動(dòng)を通して、農(nóng)村建設(shè)の理念と作業(yè)が推進(jìn)された。それ以前との大きな違いは、個(gè)別の有志による運(yùn)動(dòng)ではなくて、國(guó)家建設(shè)の一環(huán)として全國(guó)規(guī)模で実施されたことだ。

一時(shí)は人民公社の設(shè)立など、極端な集団制が導(dǎo)入されたが、改めて生産請(qǐng)負(fù)制度が導(dǎo)入されると農(nóng)民の生産性は大いに向上した。しかし1980年代に産業(yè)資本の拡大とグローバル化が進(jìn)むと、生産請(qǐng)負(fù)制度だけでは限界があることが明白になった。

そこで政府は1987年から94年にかけて、トップダウン式で農(nóng)村改革試験區(qū)を設(shè)置した。中國(guó)では大きな改革を行う際に、まずはその改革を特定地域で試してみることが一般的だ。その経験と教訓(xùn)に基づいて、改革をより広い地域に導(dǎo)入するにはどうすべきか考えるわけだ。よく知られる例が経済特區(qū)の設(shè)置だが、この農(nóng)村改革試験區(qū)も、新たな農(nóng)村建設(shè)を進(jìn)める上での「探り」の意味があった。

農(nóng)村建設(shè)の第3期は2000年に始まり、現(xiàn)在も続いている?！溉r(nóng)」という概念が定著したのも2000年以降だ?！溉r(nóng)」とは農(nóng)村、農(nóng)業(yè)、農(nóng)民を指す。つまり地域と産業(yè)、住人についてのそれぞれの問(wèn)題を具體的に認(rèn)識(shí)し、総合的に解決していくわけだ。

2020年10月に行われた中國(guó)共産黨第19期中央委員會(huì)第5回全體會(huì)議で「農(nóng)村建設(shè)行動(dòng)の実施」が明確に打ち出されことは、新時(shí)代の中國(guó)の農(nóng)村経済?社會(huì)の発展に対する現(xiàn)実的な対応であるだけでなく、100年に及ぶ農(nóng)村建設(shè)の歴史的経験を踏まえた上で農(nóng)村建設(shè)をさらに引き継いでいくことを意味する。

■各國(guó)の狀況は異なるが、危機(jī)に見(jiàn)舞われた國(guó)家を救えるのは農(nóng)村だ

近代になり始まった中國(guó)の農(nóng)村建設(shè)は、當(dāng)初は日本など外國(guó)の影響を受けたわけだが、中國(guó)人が外國(guó)における農(nóng)村建設(shè)に參加したこともある。例えば晏陽(yáng)初は1950年以降、世界各地を転々としながら発展途上國(guó)の農(nóng)村改造実験を展開(kāi)した。1952年にはフィリピンで農(nóng)村建設(shè)運(yùn)動(dòng)（PRRM）の創(chuàng)設(shè)に協(xié)力し、農(nóng)村會(huì)の設(shè)立を提唱し、村民の村役場(chǎng)設(shè)立に協(xié)力した。今もPRRMはフィリピンの重要な民間組織の一だ。。晏陽(yáng)初はアフリカや中南米でも農(nóng)村建設(shè)の活動(dòng)を展開(kāi)した。

アジアと中南米の農(nóng)村建設(shè)運(yùn)動(dòng)は現(xiàn)在、二つの大きな問(wèn)題に直面している。一つは食糧やバイオ燃料、各種の原料を得るために、土地の収奪が発生していることだ。世界銀行が2010年に発表したリポートによると、2008年以降は世界の多くの場(chǎng)所で「土地紛爭(zhēng)」が発生している。

もう一つの問(wèn)題は、都市化の進(jìn)行に伴い、農(nóng)民が自國(guó)あるいは海外の都市に出稼ぎに出ていることだ。2010年の人口統(tǒng)計(jì)によると、ブラジルの都市人口は84．35%に達(dá)し、農(nóng)村人口はわずか15．65%だ。フィリピンは國(guó)策として労働者の輸出を行っており、インドネシアはそれに追隨して農(nóng)村部の若年層や壯年層が大量に流出している。

また、多くの発展途上國(guó)は長(zhǎng)い植民地の歴史がある。植民地では多くの場(chǎng)合、プランテーションという大規(guī)模土地所有に基づく生産が行われた。大土地所有は現(xiàn)在も続いており、土地や財(cái)産がごくわずかな人々に獨(dú)占されていることが、貧富の差をもたらす大きな根源になっている。

このような狀態(tài)を打破するため、例えばブラジルで1984年に設(shè)立された「土地なし農(nóng)民運(yùn)動(dòng)（MST）」は政府、教會(huì)、労働組合、さらには政黨の力を?qū)毪筏?、共同で土地と?cái)産の関係を調(diào)整している。インドネシアの農(nóng)民連盟（SPI）は持続可能な農(nóng)業(yè)の発展を推進(jìn)し、抑圧的で生物多様性を破壊する近代的な農(nóng)業(yè)に反対する學(xué)習(xí)訓(xùn)練センターを設(shè)立している。

中國(guó)は農(nóng)村建設(shè)について、相対的に特殊であるように思える。まず、建國(guó)初期の土地改革で、地主と小作人という古くからの農(nóng)村構(gòu)造は消滅した。また中國(guó)は工業(yè)化に成功した。さらにこれだけ人口の多い発展途上國(guó)はほとんどないからだ。

そして中華人民共和國(guó)は成立以來(lái)、しばしば経済危機(jī)を経験してきた。そこから學(xué)んだことは、中國(guó)は危機(jī)に見(jiàn)舞われても、「三農(nóng)」が力をうまく発揮できるようにすればソフトランディングできるということだ。都市部だけを考えていたのでは、ハードランディングすることになる。中國(guó)の経験の參考になる面は、國(guó)家が外部からもたらされた危機(jī)に直面した場(chǎng)合には、それまで農(nóng)村をしっかりケアしていれば、農(nóng)村社會(huì)が解決策の引き受け手になってくれることだ。（構(gòu)成 / 如月隼人）