BRICS拡大にインドが“待った”=中國(guó)の影響力増大を懸念―中印國(guó)境紛爭(zhēng)が影

山崎真二    2022年7月18日(月) 9時(shí)0分

拡大

中國(guó)、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカの新興5カ國(guó)(BRICS)グループにイランとアルゼンチンが加盟を申請(qǐng)したと伝えられる。

中國(guó)、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカの新興5カ國(guó)(BRICS)グループにイランとアルゼンチンが加盟を申請(qǐng)したと伝えられる。果たしてBRICS拡大は実現(xiàn)するのだろうか。

◆G7に対抗する枠組みを畫策-中露

中國(guó)とロシアがBRICSを拡大し、主要7カ國(guó)(G7)などに対抗するためのより強(qiáng)力な連攜枠組みづくりを畫策しているのは確かだろう。実際、BRICSの今年の議長(zhǎng)國(guó)である中國(guó)はロシアの協(xié)力を得て加盟國(guó)拡大に向け積極的に動(dòng)いてきたふしがある。

中國(guó)は5月のBRICS外相會(huì)議に続き、6月下旬からBRICSビジネスフォーラム、第14回首脳會(huì)議、さらに途上國(guó)を招いた拡大會(huì)合と、いずれもオンライン形式で立て続けに主催した。首脳會(huì)議閉幕に當(dāng)たり発表された「北京宣言」では「BRICSメカニズム拡大に関する加盟國(guó)間の協(xié)議を促進(jìn)する」とうたっており、中國(guó)外交部報(bào)道官はイランとアルゼンチンの加盟申請(qǐng)に関し、歓迎すると表明した。

こうしてみると、両國(guó)の加盟が認(rèn)められBRICS拡大が早期に実現(xiàn)するような印象を受けるかもしれない。しかし、そうはならない可能性が強(qiáng)い。なぜならBRICSの一角、インドが加盟國(guó)を増やす動(dòng)きに事実上“待った”をかけているからだ?!窧RICSが西側(cè)に敵対する枠組みになることには反対」というのが、インドの公式立場(chǎng)とされている。日本の外務(wù)省関係者は「インドは日本、米國(guó)オーストラリアとともに外交安全保障の枠組み『クワッド』の一員である以上、そうやすやすと中國(guó)の思惑に乗ることはあり得ない」と指摘する。

◇中印國(guó)境紛爭(zhēng)が両國(guó)関係の妨げに

インドがBRICS拡大の動(dòng)きに“待った”をかける最大の理由について、筆者が取材した複數(shù)のインド専門家は「中國(guó)の影響力増大に対しインドが強(qiáng)い不信感や警戒心を抱いているから」と口を揃える。最近、インドが経済面で中國(guó)との関係を緊密化させているのは事実。インドのモディ首相と中國(guó)の習(xí)近平主席は「これまでに対面での會(huì)談だけでも15回以上話し合っている」(インド有力紙)ほど近しい関係にある。

それでも、「インドと中國(guó)の関係を見る上で絶対に無(wú)視できないのは、両國(guó)間には深刻な國(guó)境紛爭(zhēng)があるということだ」とインド専門家は強(qiáng)調(diào)する。1962年に両軍の大規(guī)模な衝突「中印戦爭(zhēng)」が勃発。最近でも2020年6月にインド北部の係爭(zhēng)地で両軍がぶつかり、多數(shù)の死傷者を出すなど軍事的緊張が続いた。

しかも、今回のBRICS首脳會(huì)議直前には、再びインド北部の係爭(zhēng)地で中國(guó)側(cè)が巨大な橋を建設(shè)しているとインド各紙が報(bào)じ、中國(guó)が大規(guī)模な部隊(duì)を展開するためのインフラ整備との疑いが浮上した。インドのジャイシャンカル外相は中國(guó)側(cè)の動(dòng)きに関し「中國(guó)との関係は正常でない」と述べ、両國(guó)間関係の根本的進(jìn)展のためには國(guó)境紛爭(zhēng)が妨げになっていることを示唆している。

◆アルゼンチンに「中國(guó)は不可欠な存在」

実はインドの懸念はこれだけではない。加盟申請(qǐng)したアルゼンチンへの中國(guó)の影響力増強(qiáng)にも神経をとがらせているようだ。近年、アルゼンチンと中國(guó)との貿(mào)易?経済関係が急速に発展。フェルナンデス大統(tǒng)領(lǐng)は今年2月の北京五輪開會(huì)式に招待され訪中、習(xí)近平國(guó)家主席の「一帯一路」への正式參加を表明した。両首脳は「包括的?戦略的パートナーシップの深化に関する共同聲明」を発表。アルゼンチンの10件の重要インフラ?プロジェクト支援のため、中國(guó)が230億ドルを超える融資を行う方針が明らかにされた。加えて両政府は、農(nóng)業(yè)開発、デジタル経済、宇宙開発、原子力、イノベーション、地球科學(xué)といった分野での協(xié)力に関する文書も調(diào)印している。

また、中國(guó)はアルゼンチンの財(cái)政の安定性を維持するため、1300億元(約200億ドル)の通貨スワップ協(xié)定の更新についても原則合意したといわれる?!附U済苦境にあえぐアルゼンチンにとって今や、中國(guó)は不可欠な存在」(ブエノスアイレスの有力経済紙)との聲が飛び交う。

中國(guó)の影響力が増しているアルゼンチンがBRICSに加わろうとすることにインドが警戒心を強(qiáng)めるのはもっともなところ。もう一つ、インドが懸念するのは、宿敵パキスタンの動(dòng)き。パキスタンがBRICSへの関與を模索しているとの憶測(cè)が流れている。イスラマバードの有力紙の報(bào)道によれば、今回の首脳會(huì)議を前にパキスタンは中國(guó)に対し、BRICS拡大會(huì)合への參加の希望を伝え、中國(guó)はその可能性を探ったものの、インドの強(qiáng)い反対で実現(xiàn)しなかったという。

習(xí)近平政権は「一帯一路」の重要プロジェクトである「中國(guó)パキスタン経済回廊」を軸にパキスタンとの関係を一段と強(qiáng)めており、同國(guó)をBRICSに引き入れたいと考えていることは想像に難くない。在ニューデリ外交筋は「中國(guó)がパキスタンのBRICS関與を強(qiáng)引に後押しなら、インドの対中関係は新たな緊張局面を迎え、BRICSの拡大どころではなくなるだろう」と予想している。

■筆者プロフィール:山崎真二

山形大客員教授(元教授)、時(shí)事総合研究所客員研究員、元時(shí)事通信社外信部長(zhǎng)、リマ(ペルー)特派員、ニューデリー支局長(zhǎng)、ニューヨーク支局長(zhǎng)。

※本コラムは筆者の個(gè)人的見解であり、RecordChinaの立場(chǎng)を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問(wèn)い合わせ

Record China?記事へのご意見?お問(wèn)い合わせはこちら

お問(wèn)い合わせ

業(yè)務(wù)提攜

Record Chinaへの業(yè)務(wù)提攜に関するお問(wèn)い合わせはこちら

業(yè)務(wù)提攜