日本人の生活にも「茶」は溶け込んでいる。なにしろ「日常茶飯事」と言うぐらいだ。その喫茶の習(xí)慣が確立されたのは中國(guó)だ。中國(guó)は「茶文化古國(guó)」であり、「茶葉生産大國(guó)」であり「喫茶大國(guó)」でもある。國(guó)家一級(jí)茶評(píng)価師の稱號(hào)を持つ浙江大學(xué)茶葉研究所所長(zhǎng)の王岳飛教授はこのほど、中國(guó)メディアの中國(guó)新聞社の取材に応じて「茶とはどのような存在か」について語(yǔ)った。以下は王教授の言葉に若干の説明內(nèi)容を追加するなどで再構(gòu)成したものだ。

■中國(guó)では、肉體の維持にも精神生活にも必要と考えられた

中國(guó)人が茶の利用を始めたのは5000年あるいは6000年前とされている。最初は薬として生で食べ、次に加熱して食用にした。さらに煮出して飲用し、熱水で浸出させる方法も出現(xiàn)した。

茶には700以上の成分があり、健康維持にも役立つために多くの民族の生活必需品になっている。モンゴル民族など遊牧民は新鮮な果物や野菜が不足するために、茶を飲むことでビタミンを補(bǔ)充した。

中國(guó)には「柴?米?油?塩?醤?酢?茶」の言い方がある。また「琴?棋?書(shū)?畫(huà)?詩(shī)?酒?茶」と並べられることもある。前者は、火を起こして食べ物を作るために必要なものであり、締めくくりとして茶が登場(chǎng)する。後者は文化面のたしなみを並べたものだ。つまり茶は、肉體の維持のためにも高尚な精神生活を営むためにも必要なものと考えられた。

商品経済が形成されると、人々の生活條件は改善される。そうすると、文化面での欲求も強(qiáng)まる。中國(guó)では茶器が発達(dá)するなどで茶文化がさらに発達(dá)した。茶文化は民衆(zhòng)の日常生活に溶け込み、人と人のコミュニケーションを促進(jìn)する役割も果たした。

■中國(guó)から世界各地に拡散、醫(yī)學(xué)的効果の科學(xué)的解明も進(jìn)む

中國(guó)では茶葉の生産が極めて盛んだ。茶の栽培できる地域のほとんどに「良茶」が存在する。茶は経済作物として非常に重要だ。中國(guó)では3000萬(wàn)人以上の農(nóng)家世帯が、茶葉に頼って生計(jì)を立てている。

世界に目を向けても、茶は64カ國(guó)で生産されており、うち30の國(guó)と地域が安定的に茶葉を輸出している。輸入しているのは150以上の國(guó)と地域だ。そして160以上の國(guó)と地域で、茶を飲む習(xí)慣が定著した。

その中でも中國(guó)はやはり「世界に冠たる茶大國(guó)」だ。2020年時(shí)點(diǎn)の全世界の茶葉の生産量は626萬(wàn)9000トン、うち中國(guó)は298萬(wàn)6000トンで世界第1位だった。全世界の茶葉の作付面積は約509萬(wàn)8000ヘクタールで、うち中國(guó)は世界第1位の316萬(wàn)5000ヘクタールだ。中國(guó)における茶葉の生産量は全世界の約47．6％、消費(fèi)量は約41．7％、輸出量は約19．1％だ。

中國(guó)は最も古い茶の輸出國(guó)でもある。輸出が始まったのは5世紀(jì)で、東アジア、南アジア、中央アジア、西アジアに販路は拡大した。

世界各地で茶葉が歓迎された理由は、まずは薬効だった。茶葉の眠気を除去する作用や、精神を明晰にしたり気力を高める効果などが注目された。

7世紀(jì)には、中國(guó)で修行した日本と韓國(guó)の僧侶が「薬用品」として茶の木を母國(guó)に持ち帰った。栄西禪師は日本で茶を広めた先駆者の一人だ。1925年には栄西が茶を獻(xiàn)上した源実朝將軍の熱病が快癒したことで、日本では喫茶の風(fēng)潮がますます盛んになった

15世紀(jì)には大航海時(shí)代が始まり、世界各國(guó)はより密接に結(jié)びつけられるようになった。茶葉の不思議な薬効もさらに広く知られるようになった。オランダ東インド會(huì)社は、緑茶の茶葉をマカオからインドネシアのジャワへ運(yùn)び、さらに歐州に運(yùn)んだ。このことで、歐州でも喫茶の風(fēng)習(xí)が定著しはじめた。

英國(guó)は、歐州でも特に茶が好まれる國(guó)だ。王室が率先して茶を飲んだので、喫茶は貴族が追求するファッションになった。喫茶は更に、社會(huì)の各階層に広まった。英國(guó)人は眠気を覚まし、疲れを取り、酒の酔いを覚まし、消化を助けるなどの効果を知り、長(zhǎng)期にわたって飲用しても副作用がないことも発見(jiàn)した。中英間の茶貿(mào)易は17世紀(jì)から18世紀(jì)初めにかけて徐々に発展した。

世界で最も進(jìn)んだ國(guó)だった英國(guó)は、歐州の流行をけん引した。中國(guó)茶の人気はさらに高まった。17世紀(jì)末當(dāng)時(shí)は、中國(guó)からの茶葉輸出は磁器や陶器を上回り、輸出貨物の約9割を占めていた。

時(shí)代が下ると科學(xué)的な研究も進(jìn)んだ。1987年には、日本人研究者の冨田勲氏が、茶ポリフェノールに人のがん細(xì)胞の活性を抑制する作用があると報(bào)告して、世界中から注目された。米タイム誌は2002年に発表した十大健康食品の一つに緑茶を選んだ。

■人類は茶を通じてよりよい生活を共有できる

中國(guó)では喫茶の方法や関連文化が高度に発達(dá)したが、世界各地に中國(guó)の茶文化がそのまま伝わったわけではない。中國(guó)の茶文化は、世界各地の茶文化の言わば「ゆりかご」になった。英國(guó)、日本、韓國(guó)、ロシア、モロッコなど世界各地で、現(xiàn)地文化と融合する形で、それぞれの茶文化が形成された。

日本を例にしよう。中國(guó)と日本は歴史を通じて交流が極めて盛んだった。唐代（608－907年）、宋代（960－1279年）、明代と、中國(guó)の茶文化は日本に影響を及ぼし続けた。日本に特に大きな影響を與えたのは、南宋時(shí)代（1127－1279年）の「點(diǎn)茶」だった。

「點(diǎn)茶」とは、當(dāng)時(shí)の文人が好んだ茶の作法で、まずは茶葉を大きく固めた「茶餅」と呼ばれるものを用意する。この「茶餅」の一部を細(xì)かく砕き、熱湯を注いで練り、素早くかき回して細(xì)かく濃密な泡を立てる。

この「點(diǎn)茶」が日本に伝わった。日本では「點(diǎn)茶」にさらに工夫が加えられ、最終的に「抹茶道」として完成された?！改ú璧馈工?、相手に対する「禮」を示す純?nèi)毡撅L(fēng)の文化と考えられるようになり、國(guó)賓を接待する際などにも用いられるようになった。

世界は茶を通じて共通するものを味わい、共通するものを楽しむことができる。國(guó)連が2019年に、5月21日を「國(guó)際お茶の日」に定めたのはよい流れと思う。

この日は、世界各國(guó)における茶に関する長(zhǎng)い歴史と深い文化的?経済的意義を認(rèn)識(shí)することを目的として設(shè)けられた。また、茶の生産加工が特に開(kāi)発途上國(guó)では、何百萬(wàn)もの家族の主要な生計(jì)手段となっていることにも著目して「茶の持続可能な生産、消費(fèi)、貿(mào)易を促進(jìn)し、産業(yè)分野としての茶が極度の貧困の削減、飢餓の撲滅、自然資源の保護(hù)に役割を果たせるよう、世界、地域、國(guó)レベルの各関係者への機(jī)會(huì)を提供する」ことも念頭に置く、意義深い日だ。

現(xiàn)在では全世界の半數(shù)近くの30億人以上が毎日茶を飲んでいる。茶は、文化の融合と相互學(xué)習(xí)をもたらすものであり、産業(yè)としては貧困撲滅を推進(jìn)する手段にもなる。世界の人は茶の香りと風(fēng)味を楽しむことで、よりすばらしい生活を共有することができる。（構(gòu)成 / 如月隼人）