8月初旬に米國のペロシ下院議長が臺(tái)灣を訪問したことで、中國大陸側(cè)と臺(tái)灣の緊張は一段と上昇した。それ以來、大陸側(cè)から臺(tái)灣が支配する金門島上空にドローンが飛來することが多発するようになった。

金門島は福建省アモイ（廈門）市や泉州市の沖合にある大金門島や小金門島などで構(gòu)成される諸島の総稱だ。大陸部との距離は最短部分で2．1キロしかない。大陸部からのドローン飛來が多発するようになり、臺(tái)灣軍側(cè)は8月30日に、大陸部から飛來したドローン1機(jī)に対して同日午後6時(shí)ごろ、実弾警告射撃を?qū)g施したと発表した。さらに9月1日には、「手続きに従って警告したが実効はなかった。ドローンは防御射撃で撃墜された」などと発表した。

9月2日には中國大陸側(cè)のSNSに、「泉州機(jī)長」と名乗る人物が「同胞に愛情を送る」と稱する1分21秒の動(dòng)畫を投稿した。同動(dòng)畫にはまず、「泉州機(jī)長」が泉州市內(nèi)から自動(dòng)車でアモイに向かい、途中の道路脇の海岸でドローンを組み立てる様子が撮影されている。

「泉州機(jī)長」は、ペットボトルを利用した投下裝置を用意し、中に滷蛋（ルーダン）と呼ばれる味つけ煮卵や重慶市涪陵區(qū)の特産品である涪陵ザーサイを入れた。さらに、「最も誠実な贈(zèng)り物」などと書いた手紙もセットした。動(dòng)畫には、これらを積み込んだドローンが飛翔していく様子も寫されている。

■臺(tái)灣軍側(cè)も「卵」と「ザーサイ」の投下を確認(rèn)

臺(tái)灣側(cè)の金門防衛(wèi)指揮部は2日、海岸地帯をパトロールしていたところ、追い払われたドローンが投下したとみられる食品が発見されたと発表した。臺(tái)灣軍當(dāng)局は「大陸部の無人機(jī)が挑発や嫌がらせをしており、物の投下までしている。國軍は軍民の安全に危害を加えている行為に対して、自己防衛(wèi)の原則に基づき、必要で強(qiáng)力な対抗措置を適切に行う」と発表した。

臺(tái)灣軍側(cè)が発表した投下物の寫真は、滷蛋やザーサイなどで、大陸側(cè)の「泉州機(jī)長」が動(dòng)畫公開したものと包裝が一致している。ただし「泉州機(jī)長」は滷蛋やザーサイについて「軍用地內(nèi)に投下したのであり、海岸で投下したのではない」と主張した。

滷蛋やザーサイを投下した理由としては、2011年に発生した「茶葉蛋事件」と19年の「涪陵ザーサイ事件」を念頭に、臺(tái)灣人をあざけるためとの見方が出た。なお、「茶葉蛋」も味つけ煮卵であり、外観は滷蛋によく似ている。

「茶葉蛋事件」とは、臺(tái)灣側(cè)の政府機(jī)関の外部評(píng)議員などを務(wù)めた高志斌氏が11年に、出演したテレビ番組で、大陸人は貧乏で「茶葉蛋」を食べることもできないと発言したことに端を発した臺(tái)灣海峽両岸の論爭(zhēng)で、「涪陵ザーサイ事件」とは、臺(tái)灣人ジャーナリストの黃暐瀚氏が、やはり出演したテレビ番組で、涪陵ザーサイを製造販売する重慶市涪陵榨菜集団の株価が下落したことについて、「業(yè)績悪化は大陸人がザーサイさえも食べることができないからだ」と発言したことで始まった騒動(dòng)だ。

■真意は「ザーサイ事件」などでなく、「爆弾投下」をアピールする挑発か

中國大陸部において「涪陵ザーサイ」は、08年にその製法が國家級(jí)非物質(zhì)文化遺産（無形文化遺産）に登録されるなどで、知名度はかなり高い。また、騒動(dòng)の発端になった黃暐瀚氏は「涪陵ザーサイ」の「涪」の読み方を間違えた。そのため中國大陸側(cè)では「涪陵ザーサイ」が臺(tái)灣で知られていないことについて「臺(tái)灣における教育の脫中國化と密接に関係している」などの主張も出た。

黃暐瀚氏は、大陸から飛來したドローンの投下物について、「茶葉蛋事件」と「涪陵ザーサイ事件」を皮肉ったものだが、さらに挑発的な意味があるとの考えを示した。ザーサイ（搾菜）の「搾」と「滷蛋」や「茶葉蛋」の「蛋」を結(jié)び付けて、「搾蛋」の言葉を連想するのは、中國語を母語とする人ならば、極めて自然だ。そして「搾蛋」の読み方は「ジャーダン」で、爆弾を意味する「炸弾」と同じ発音だ。つまり、「卵」と「ザーサイ」を投下したことには、「爆弾だって投下してやる」という挑発の意を込めたと理解できるという。（翻訳?編集/如月隼人）