日本は世界に冠たるアニメ王國だ。だが、日本アニメが創(chuàng)成期から中國アニメの多大な影響を受けたことをご存じだろうか。中國はかつて「東洋一のアニメ強(qiáng)國」だったのだ。中國のアニメ作品はその後の一時(shí)期、日本アニメなどの後塵（こうじん）を拝したが、現(xiàn)在は「第二の出発期」だという。中國メディアの中國新聞社はこのほど、中國アニメの歴史的推移と現(xiàn)狀を紹介する記事を発表した。以下は、記事に若干の説明內(nèi)容を追加するなどで再構(gòu)成したものだ。

■手塚治蟲少年も感激、中國アニメの古典的傑作「鉄扇公主」

中國アニメの父とされるのは萬籟鳴（1900年1月18日－97年10月7日）、萬古蟾、萬超塵、萬滌寰らの萬氏兄弟だ。出身地は江蘇省南京市だが、仕事を開始したのは上海市內(nèi)の小さな小屋だった。彼らは22年に広告目的の短編アニメを制作した。そして26年に中國にとって初の本格的アニメと言える「大閙畫室（アトリエは大騒ぎ）」を完成させた。

萬氏兄弟は30年代になると、左翼文蕓思想の影響を受けて社會(huì)の現(xiàn)実を反映する作品を作り始めた。31年に九一八事変（満州事変）が、37年には七七事変（盧溝橋事変）が発生した時(shí)期だ。萬氏兄弟の作品の重要なテーマに「抗日」がある。

萬氏兄弟は米ディズニーの「白雪姫」に觸発された上演時(shí)間80分の「鉄扇公主（鉄扇姫）」を創(chuàng)作した。土臺(tái)となったのは「西遊記」の物語だ?！糕熒葕工说菆訾工肱Ｄ酩稀⑷毡兢吻致哉撙虬祮嗓筏皮い?。民衆(zhòng)はこの作品に鼓舞された?！糕熒葕工稀赴籽工胜嗓司Aく、世界で4番目の長編アニメドラマだった。

「鉄扇姫」の公開は41年だったが、１カ月半ほどで東南アジアや日本を席巻した。日本ではある少年がこの作品に魅了された。手塚治蟲だ。數(shù)十年後の81年、手塚は上海に來て念願(yuàn)の萬籟鳴との面會(huì)を果たした。手塚は萬の手を握って「私はあなたの作品を見て、アニメをやることになったのです」と言った。

萬氏兄弟は54年に、間もなく設(shè)立される上海美術(shù)電影製片廠（上海美術(shù)映畫製作所の意、略稱は「上美影」）に加わることなった。上美影は57年に正式に発足した。名稱に「美術(shù)」があることが象徴するように、當(dāng)時(shí)のアニメーターは、自らの「美」を作品にどう反映させるかに腐心した。自らの民族の言葉で物語を語ろうとしたのだ。上美のスローガンは「民族の形を探る道」だった。

その後數(shù)年して、上美影はアニメ作品「誇り高き將軍」、人形アニメ作品「神筆」、カラー切り絵作品「八戒がスイカを食べる」、水墨畫アニメ「オタマジャクシが母を探す」などを次々に完成させた。

西遊記を題材にした59年作品の「大閙天宮（天宮大騒ぎ）」の制作では、チームを結(jié)成して民族蕓術(shù)の多くの分野から“栄養(yǎng)”をくみ上げた。しかし、伝統(tǒng)的な蕓術(shù)をそのまま踏襲したのではない。背景畫にはチベット絵畫の濃厚な畫風(fēng)を主とし、メキシコの壁畫も參考にした。人物の動(dòng)作デザインは京劇を參考にした。つまり制作関係者は再創(chuàng)造を行った。

■「大閙天宮」に世界が仰天、「ディズーニーも到達(dá)できない」の評価も

「大閙天宮」は78年のロンドン國際映畫祭で作品賞を受賞した。世界のアニメーション界は仰天した。仏「ル?モンド」紙は、「『大閙天宮』は米ディズニー作品の普遍的な美しさを備えているだけでなく、ディズニーの方法では到達(dá)できない中國の伝統(tǒng)的な蕓術(shù)スタイルを完璧に表現(xiàn)している」と評した。

「大閙天宮」に続いて制作された作品の多くは今も人々をうならせている。代表的な作品には79年の「哪吒閙海（ナーザの大暴れ）」、83年の「天書奇譚」などがある。

北京電影學(xué)院動(dòng)畫學(xué)院の陳廖宇準(zhǔn)教授は中國新聞社がかつて取材した際に、最初期の「鉄扇公主」は“他人の言葉”を使った作品だったと論じた上で、「『大閙天宮』は中國の美的感覚、技巧、アニメ視聴言語で全體が完全に形成された象徴的作品」などと語った。

中國のアニメ作品は、國際的な賞を次々に受賞した。中國的な美學(xué)の香りを濃厚に取り込んだ中國のアニメ作品は、國際的に「チャイナスクール」と呼ばれるようになった。

蕓術(shù)的な作風(fēng)で知られる日本の宮崎駿監(jiān)督は、「チャイナスクール」の影響を強(qiáng)く受けた。宮崎監(jiān)督は84年に上海を訪れ、上美影と交流し、上美影の作品を?qū)W習(xí)した。上美影に足を運(yùn)んだ際には「聖地巡禮」のような気持だったとも伝えられている。宮崎監(jiān)督は後に、余白が多い作風(fēng)は水墨畫アニメ「オタマジャクシが母を探す」にヒントを得たと回想している。

■外國アニメに押され中國アニメ衰退、しかし「復(fù)活の種」も獲得していた

80年を過ぎると、外國製アニメの最盛期が到來した。日米アニメ界はすでに産業(yè)化に成功していた。産業(yè)化モデルを利用して制作された外國アニメが安い価格で中國市場に提供された。代表的作品としては日本の「ドラえもん」、「スラムダンク」、米國の「ミッキーマウス」、「スマーフ」などがあった。

80年代半ば以降の中國では、外國のアニメ制作の「下請け加工」をする企業(yè)が大量に設(shè)立された。深セン、珠海、広州では、電子工場やアパレル工場のすぐ隣にアニメーション加工工場があり、描線、彩色、背景など、極端に高度な技術(shù)を必要としない分野を擔(dān)當(dāng)した。人件費(fèi)の安さを“武器”にしてアイフォンの組み立てを行うフォックスコンの工場と同じ構(gòu)造だった。

中國アニメは「自分の言葉」を忘れていった。90年代に出現(xiàn)した観客の記憶に殘る作品は、上美影が手掛けた初の“大型商業(yè)作品”の「寶蓮比」ぐらいだった。2000年代に出現(xiàn)した中國のアニメ作品は低年齢層向けの「喜羊羊與灰大狼（シーヤンヤンとホイタイラン）」と「熊出沒」、さらに全面的な西洋化で慘敗した「魔比斯環(huán)」ぐらいのものだ。

中國社會(huì)科學(xué)院新聞研究所の調(diào)査によると、1991年に北京で放映されたアニメのうち66.7%がアニメの輸入作品で、その半數(shù)がディズニー作品だった。2002年から03年にかけて、青少年に最も人気があったのは日本アニメで、次に米國アニメが続いた。

しかし15年のアニメ映畫作品の「西遊記之大聖帰來」（西遊記 ヒーロー?イズ?バック）」の興行収入は上映からから16日間でハリウッドの「カンフー?パンダ2」を抜いて中國映畫史上最高の興行収入を記録した。

中國アニメの創(chuàng)成期から大活躍した孫悟空と共に復(fù)活したのは、観客の國産アニメへの興味と期待だった。19年には、もう一つの記念碑的な作品が登場した?！改倪钢凳溃ē圣俊蹬R～）」だ。同作品は社會(huì)現(xiàn)象とも言える大ヒットを?qū)g現(xiàn)し、興行収入では中國映畫史上の総興行収入第2位を達(dá)成した。

中國の國産アニメは、真の再復(fù)活を果たしつつあるのかもしれない。つまり現(xiàn)在は「第二の出発期」だ。自國による創(chuàng)作が不振だった20年間を振り返ってみれば、確かにかつての「チャイナスクール」は中斷してしまったが、下請け作業(yè)を行うことで、中國ではアニメ産業(yè)の形成に必要な巨大な制作能力の基礎(chǔ)が確立された。彼らは外國の先進(jìn)的なアニメの生産管理経験と技術(shù)に觸れた。つまり「復(fù)活のための種」を獲得したわけだ。

そして04年からは、中國のアニメ加工業(yè)務(wù)にとって、労働コストの安いインドやベトナムが強(qiáng)力な競爭相手となった。中國におけるアニメ加工業(yè)は調(diào)整期に入った。その結(jié)果、日本や米國向けの業(yè)務(wù)を行っていた中國企業(yè)の一部は、オリジナルプロジェクト開発の道を歩み始めた。

中國のアニメ産業(yè)にとって、歴史を通じて得られた學(xué)習(xí)內(nèi)容とは、先輩と同じように、自分自身の蕓術(shù)言語を獲得せねばならないということだ。アニメ監(jiān)督などは自らの生活経験や文化的土壌を反映した表現(xiàn)手段を創(chuàng)出していかねばならない。（構(gòu)成 / 如月隼人）