中國中央広播電視総臺（CMG／チャイナ?メディア?グループ）は10日午後8時から10時にかけて（日本時間同日午後9時－11時）、「中秋晩會」と題する大型蕓能番組を放送した。同番組は歌を主體とする番組として中國で規(guī)模が最も大きく、中國國內(nèi)向けに複數(shù)のチャンネルで放送されただけでなく、衛(wèi)星放送や動畫サイトを通じて全世界に屆けられた。日本人向けにも同時通訳付きでネット配信されるなどした。

中國では古くから、舊暦8月15日（2022年は9月10日）の中秋節(jié)の夜には、家族が集まって名月を鑑賞する習慣がある。その際に月餅と呼ばれる焼き菓子を食べる習慣もある。月餅とは満月の形を模したものであり、丸い形は家庭円満を象徴するとも言われる。また、中秋節(jié)が近づくと親しい人に月餅を贈る習慣もある。中秋節(jié)は中國人および海外で暮らす中國系住民にとって、家族に対する情愛や友人との感情を新たにする年中行事だ。

中國での「年中行事番組」としては、舊正月（春節(jié)）を迎える晩に放送される「春節(jié)聯(lián)歓晩會」（春晩）が有名だ?！复簳姟工细瑜溲葑啶坤堡扦胜?、踴りやコント、日本の漫才に相當する「相聲」などの多彩な演目が特徴な「総合娯楽番組」だが、「中秋晩會」は蕓術(shù)の秋にもふさわしく、歌などの音楽を中心とする特徴がある?！复簳姟工蔚?回放送が1983年だったのに対して、「中秋晩會」は1991年だった。「中秋晩會」は「春晩」に比べれば後発だが、それでも30年以上の歴史を持つ、「秋の風物詩番組」に、そして中國でも最大規(guī)模の歌番組に成長した。

2022年の「中秋晩會」では「思想と蕓術(shù)と技術(shù)の融合」が強調(diào)された。メーンの會場は江蘇省蘇州張家港市內(nèi)に設(shè)けられた。演目としてはは崑曲や評弾も披露された。崑曲は、現(xiàn)在は江蘇省蘇州市に屬する崑山地域で16世紀半ばまでに成立した伝統(tǒng)音楽劇で、京劇など中國各地の伝統(tǒng)劇の中でも格式が特に高いとされ、強い影響力を発揮しつづけた。ユネスコの無形文化遺産にも登録されている。

評弾は江蘇省などで盛んな伝統(tǒng)蕓能で、楽曲に合わせて物語を歌い語る。日本の「浪花節(jié)」と同系統(tǒng)の蕓能だが、旋律がより重視される特徴がある。

2022年の「中秋晩會」では、遠く離れていても故郷を思う気持ちなどが特に強調(diào)された。また、創(chuàng)作歌曲ではあるが歌詞に李白や蘇軾の作品を織り込んだ「遊仙吟」が披露されるなどで、中國の伝統(tǒng)文化に対する誇りも強調(diào)された。

演出面では「円」が強調(diào)された。例えば、直徑60メートルの円形の360度パノラマステージが設(shè)けられたなどだ?！竷覝骸工趣いρ匀~があることでも分かるように、中國文化において「欠けた部分がない円」は、「満ち足りた穏やかな狀態(tài)」のシンボルだ?！竷摇工驈娬{(diào)した演出は、天上で輝く丸い満月と、「円満な地上」が呼応する狀況も印象づけた。

2022年の「中秋晩會」は技術(shù)面では、8K高精細映像技術(shù)と3次元ビビッド?オーディオを初めて採用した。また、中國全國70都市に大型モニター270基余りを設(shè)置して、8K映像を提供した。また、番組中では実寫と仮想現(xiàn)実（VR）を融合させた高度な技術(shù)による映像も、ふんだんに紹介された。

今年の中秋節(jié)は、中國の宇宙飛行士3人が、自國の宇宙ステーション「天宮」に滯在中に迎えたことでも注目された。宇宙飛行士らは事前に撮影した映像を、「中秋晩會」に提供した。

中國では経済成長などに伴い自國や自國の文化に対する誇りを強める人が多いこともあり、伝統(tǒng)的な年中行事がますます重視される傾向がある。中秋節(jié)や清明節(jié)、端午節(jié)などの伝統(tǒng)的な年中行事の日は、2008年になってから法定休日に組み込まれた。また重要な行事の際の大型番組はネット配信の発達などもあり、海外でも大きな反響を呼ぶようになった。（翻訳?編集/如月隼人）