八牧浩行 2022年9月18日(日) 6時30分
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ロシアのウクライナ侵攻によりエネルギーの安定供給が揺らぎ、地球溫暖化を抑止する「脫炭素」政策が危機的な狀況に直面している。
ロシアのウクライナ侵攻によりエネルギーの安定供給が揺らぎ、地球溫暖化を抑止する「脫炭素」政策が危機的な狀況に直面している?;剂悉蚴褂盲工氚k電所の稼働が増え、3年後に気溫上昇を産業(yè)革命前から「1.5度以內(nèi)」に抑える「パリ協(xié)定」の目標達成に黃信號が點燈している。
歐州ではロシア産天然ガスの供給が大幅に縮減される懸念が高まり、世界のエネルギー事情が一変。英國やフランスは再生可能エネルギーや原子力発電所の導(dǎo)入拡大や前倒しを打ち出し、日本も稼働原発を増やす計畫を打ち出した。歐州では電力不足解消策として石炭火力活用の動きも広がる。
◆溫暖化危機、世界を覆う
特にエネルギー危機に直面しているのが、ロシアへのエネルギー依存が甚大なヨーロッパ諸國だ。ロシアが天然ガス供給を制限する中、価格は1年前の6倍強に跳ね上がっている。ロシアからの供給がさらに絞られれば、この冬を乗り切れないリスクもあるという。このためエネルギー源としてスポットが當たっているのが石炭。國際エネルギー機関(IEA)によると、2022年の石炭消費量は約80億トンに達する見込みで、ピークだった13年の水準に戻る。電力需要が拡大するインドに加え、環(huán)境政策で先行する歐州での利用も進んでいる。
英石油大手シェルのベン?ファンブールデン最高経営責(zé)任者(CEO)は、「冬を迎える歐州では高い電気代や計畫停電に見舞われる可能性がある」と警告。代替エネルギーの拡充強化などが急務(wù)と訴えた。
こうした中、地球規(guī)模で異常な高溫による干ばつや洪水が発生し、溫暖化の危機が世界中を覆っている。気候変動はエネルギー危機に直結(jié)、深刻な電力危機に繋がる。
◆岸田首相、「原発新増設(shè)」検討
日本でも岸田文雄首相が、原発の新増設(shè)や建て替えの検討を進める考えを示した。原則40年と定められている運転期間の延長も検討する方針で、「原発回帰」の姿勢が顕著だ。2011年3月11日の東日本大震災(zāi)に伴う東京電力福島第一原発事故以來の大きな政策転換になる。
2030年以降の課題として將來を見據(jù)えた次世代原発の開発や建設(shè)を主要な検討項目に據(jù)えた。経済産業(yè)省の審議會は次世代原発のうち既存の原発より安全性を高めた改良型の軽水爐について、30年代に商業(yè)運転すると盛り込んだ工程表案をまとめている。
岸田首相は原発の運転期間延長の検討も指示する。原子爐等規(guī)制法で原則40年、最長60年と定めており、運転期間を終えれば廃爐になる。北海道電力泊原発1~3號機など審査から10年近くかかっている原発もある。安全審査にかかった時間を運転期間から除外するなど実質(zhì)的に延ばす方策を探る。
日本國內(nèi)に原発は33基ある。電力會社が原子力規(guī)制委員會に再稼働を申請したのは25基で、17基が規(guī)制委の安全審査を通過した。このうち10基は地元の同意も得ていったんは再稼働したが、現(xiàn)時點で運転している原発は6基にとどまる。
一方、規(guī)制委の審査に合格したのに稼働に至っていない原発が7基にのぼる。來夏以降の再稼働をめざし、安全対策や地元の理解を得るための取り組みについて國が前面に立って対応する。
◆福島原発事故の教訓(xùn)生かせ
福島第一原発事故は、3基の爐心溶融という未曽有の事態(tài)に至り、甚大な被害をもたらした。周辺の住民は故郷を追われ、日本社會全體に深刻な不安が広がった。11年半が経過した現(xiàn)在も多くの人が避難を強いられ、廃爐などの事故処理は、終了のめども立っていない?!?/p>
事故を受けて原発の安全規(guī)制は強化されたが、地震や津波、噴火などが頻発する日本列島への立地は、他國と比べ高いリスクがつきまとう。高レベルの放射性廃棄物は、放射能が十分に下がるまでに數(shù)萬~10萬年という想像を絶する期間を要するにもかかわらず、最終処分地が決まっていない。
使用済み燃料中のプルトニウムは核兵器の材料になるため、國際的に厳しく管理される。日本は減量を國際公約しているが、利用の本命だった高速爐の開発は、巨費をつぎ込んだものの頓挫したままである。
◆原発依存リスク増大、コストも割高
新増設(shè)に當たっては新型原発を?qū)毪工毪趣いΔ?、技術(shù)的裏付けはまだない。高速爐はもとより、小型爐も開発途上である。既存爐の安全性を高めるという「次世代革新爐」の姿も明確ではない。コスト面でも、廃爐までの作業(yè)を考慮すると、他のエネルギー源に比べ高くつく。経産省の試算は、2030年に新設(shè)予定の原発は事業(yè)用の太陽光発電よりも割高になる。
リスクの高い「原発依存」に安易に逃げ、世界が力を入れる再生可能エネルギーの技術(shù)開発に後れをとれば、國際競爭力をさらに削ぐことになる。
今回の転換の名分にされたロシアのウクライナ侵略では、原発への武力攻撃のリスクも顕在化した。狹い國土で原発に依存し続ける危険性は減るどころか増えているのが現(xiàn)実である。
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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