中國(guó)メディアの極目新聞によると、安徽省北部の中崗鎮(zhèn)新筑村に住む若者が制作?配信する「動(dòng)畫?ドラマ三國(guó)志」が、ネットユーザーに受けている。これまで考えられなかった“ハチャメチャ”な手法を大膽に駆使しているからという。

動(dòng)畫制作の中心人物は鮑小光さんだ。中國(guó)でよく使われる言葉の「90後」の世代に屬するというから、年齢は年齢は20代から30代にかけてだ。

「三國(guó)志」は人気が特に高い歴史物語(yǔ)で、中國(guó)でもテレビの連続ドラマ版や映畫版が、繰り返し制作されてきた。出演者も豪華なら、莫大な予算を投じたセット、歴史を感じさせる登場(chǎng)人物の重厚な語(yǔ)り口まで、作品のどの要素についても「ベスト」を追求することが當(dāng)たり前だった。

しかし鮑さん版の「三國(guó)志」はまるで違う。例えば一騎打ちのシーンだ。それぞれの武將がまたがるのは馬ではなくて、自転車や電動(dòng)バイク。手に持つ武器は槍や青龍刀ではなくて、農(nóng)具のくわ、さらには肥やり用の長(zhǎng)い柄のついたひしゃくだ。よろいのように見えなくもないものを身につけてはいるが、どうみても「雰囲気だけは出るように作ってみました」といったシロモノだ。

特に話題になった城攻めのシーンでは、鮑さんの伯父の家の入口を城門として使った。樓閣にはわらのたばを使った。4、5日をかけて組み上げたという。多くのネットユーザーの「語(yǔ)り草」になったのは、攻防を繰り広げる兵士らが手にしていた盾が、すべて大きな鍋のふただったことだ。鮑さんによると、最初は木の板で作ろうと思ったが間に合わなかった。そこで、村人から鍋のふたを借りた。村內(nèi)のほとんど全ての家から鍋のふたをかき集めたという。

主要な人物には鮑さんの友人や親せきを配した。高齢の登場(chǎng)人物の一人は、鮑さんの向かいの家に住む、70歳近い男性に演じてもらった。ところが彼は、普通話（標(biāo)準(zhǔn)中國(guó)語(yǔ)）が苦手だ。結(jié)局動(dòng)畫では、全編を通じて「安徽省なまり」のせりふが飛び交うことになった。

プロの作った「三國(guó)志」ではありえない制作の手法が、ネットではかえって大受けした。多くのネットユーザーが「土の味の三國(guó)志」などと評(píng)するようになった。鮑さんによると、1話當(dāng)たりの制作費(fèi)用は200－300元ぐらいだ。日本円にして數(shù)千円ということになる。出演者のギャラは、基本的にゼロ。時(shí)おり「ほんの気持ち」の謝禮を渡したり、食事を御馳走するぐらいという。

鮑さんは、初級(jí)中學(xué)（日本の中學(xué)校に相當(dāng)）卒業(yè)の學(xué)歴しかない。15年前には、村のほとんどの若者と同様に村を出て街に行って働き始めた。レストランや工場(chǎng)での梱包作業(yè)員など、仕事を次々に替えた。ただ、鮑さんは子どものころから映畫やドラマが大好きで、特にお?dú)荬巳毪辘巫髌筏稀溉龂?guó)志」だった。

街で出稼ぎ生活をしていた時(shí)に、ドラマ制作スタッフ養(yǎng)成クラスがあることを知り、自分も「その業(yè)界」に入ってみようかと思ったこともあった。しかし、その「養(yǎng)成クラス」は詐欺と分かった。もう少しのところでだまされるところだったという。

鮑さんは結(jié)局、數(shù)年前に実家に戻って內(nèi)裝の仕事を始めた。そのうちに、ショートムービーの投稿サイトが注目されるようになった。そこで鮑さんは意を決して、自分も動(dòng)畫を撮影して投稿することにした。他の投稿者は多くの場(chǎng)合、自分の生活の周辺のことを題材にしていた。鮑さんは、他人とは少し違う動(dòng)畫を撮りたいと考えて、三國(guó)志の連続ドラマを作ることにした。

鮑さんは、それまでに制作されてきたドラマ版「三國(guó)志」を改めて考えてみた。すると、時(shí)代感を表す手法にも、表面的な場(chǎng)合があることに気づいた。例えば、現(xiàn)代中國(guó)語(yǔ)ならば「是（シー、＝はい）」と言うところを、古風(fēng)な「諾（ヌオ、＝はい）」に置き換えているだけなどだ。そこで、自分が作る「三國(guó)志」では、現(xiàn)代の生活感を思い切って取り入れてしまえば、もっと「伝わるもの」があると考えた。

鮑さんは、昔から「三國(guó)志」が好きだったといっても、特に知識(shí)があったわけではない。そこで、動(dòng)畫を作成するようになってからは、いろいろと資料を調(diào)べた。そのおかげで、物語(yǔ)の歴史的背景も少しずつ理解できるようになってきた。

腳本は鮑さんが書いている。友人によると、よい腳本を作ろうと思うあまりに、自宅に閉じこもってしまうこともある。そんな時(shí)には、鮑さんの思考の回路を斷ち切ってしまうことが怖くて、電話もできないという。作品は1カ月に2作か3作の割合で発表している。最初のころは、「制作の速度が速すぎて質(zhì)が落ちるのではないか」と感じていたが、現(xiàn)在は初期の作品と最近の作品を比較すると、作品の質(zhì)が確実に向上していることを?qū)g感できるので、今後もさらに作品の質(zhì)を向上させたいという。

鮑さんの両親は最初、息子の動(dòng)畫づくりに反対していた?，F(xiàn)金収入にならないからだ。しかしその後、動(dòng)畫配信で少しずつ収益が出るようになってきた。內(nèi)裝の仕事と動(dòng)畫制作の収入は、同じぐらいになったという。といっても、內(nèi)裝の仕事を減らしたので、収入全體が増えたわけではない。鮑さんは、「自分のしたいことができているので、とても楽しいです」と説明した。

また、鮑さんの「三國(guó)志」づくりにともなって、靜かだった村に活気が出てきた。村の幹部の一人は、「彼自身は達(dá)成感を得た。村人は楽しんでいる。今では、よそからわざわざ見學(xué)にくる人もいる」と、地元に“元?dú)荨堡訾皮郡长趣蛳菠螭扦い?。將?lái)は、鮑さんの動(dòng)畫配信が村の農(nóng)産物のアピールにつながり、村の発展が加速することを期待しているという。（翻訳?編集/如月隼人）