「セントラル地區(qū)占拠運(yùn)動(dòng)」とは香港中心部の官庁?金融?ビジネス街である「中環(huán)（セントラル）地區(qū)」を1萬人程度の市民で埋め盡くして、香港の行政や金融機(jī)能を麻痺させることだ。これによって、香港では3年後に迫っている2017年、香港のトップである行政長官の選挙に一般市民も立候補(bǔ)でき、議會(huì)選挙でも完全で民主的な自由選挙システムを?qū)毪工毪趣いγ褚猡颏悉盲辘丹弧⒈本─沃醒胝藞R力をかけ、香港の民主化を?qū)g現(xiàn)しようという奇抜なアイデアだ。

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これを発案したのが香港の名門、香港大學(xué)の戴耀廷副教授で、一昨年1月に「愛と平和によるセントラル占領(lǐng)運(yùn)動(dòng)」として公表。瞬く間にメディアの注目の的となり、急速に市民の支持を集めている。

香港最大の民主派団體「香港市民愛國民主運(yùn)動(dòng)支援聯(lián)合會(huì)」（支聯(lián)會(huì)）も戴氏の運(yùn)動(dòng)に支持を表明。支聯(lián)會(huì)は6月4日、ビクトリア公園での天安門事件25周年の追悼集會(huì)を主催し、18萬人の市民を結(jié)集しただけに、「両者が協(xié)力すれば、セントラル地區(qū)を市民で埋め盡くすのはたやすいのではないか」（香港の外交筋）との見方も出ている。

▼セントラル地區(qū)の占拠は可能か

香港特別行政區(qū)政府の內(nèi)部予測によると、運(yùn)動(dòng)參加者が2000人だけでも、セントラル地區(qū)の公共鉄道（MTR）の出入り口や主要道路をふさぐことができ、香港の行政?金融機(jī)能は麻痺し深刻な影響をもたらす。さらに、立法會(huì)庁舎は四方八方から出入りできるため、警備は極めて難しく、市民らが數(shù)百人でも押し寄せれば、すぐに內(nèi)部に入り込め、占拠は容易だと分析。

また、香港政府ビルや香港上海銀行、多數(shù)の外國銀行や企業(yè)の本社機(jī)能が集中するセントラル地區(qū)占拠が長期化すれば、治安が不安定になり、周辺の不動(dòng)産価格は暴落し、観光客も激減する可能性が大きい?！缸類櫎螆龊?、経済的損失は毎日100億香港ドル（約1600億円）にも達(dá)し、香港の失業(yè)者も急増する」と內(nèi)部予測は推定する。

「7月1日のデモ後、一部學(xué)生らのセントラル占拠の試みは失敗したが、民主派グループは年內(nèi)にも再度実行すると宣言しており、これが現(xiàn)実化すれば、『東洋の真珠』と讃えられた香港の自由貿(mào)易港や國際金融都市というアジア経済の中心としての機(jī)能は完全に麻痺し、真珠の輝きは消え、混亂が続く軍事管制下の現(xiàn)在のバンコクのような狀態(tài)に陥ることが予想される」と前出の外交筋は懸念する。

▼意外な人物に注目集まる

事態(tài)がまさに風(fēng)雲(yún)急を告げようとしているなか、立法會(huì)占拠事件翌日の7日、予想外の人物の発言が香港中を震撼させた。その人物は1990年1月から97年7月の香港返還までの7年半、香港における実質(zhì)的な中國政府トップを務(wù)めた周南元新華通信社香港支社長である。周氏は外務(wù)次官を経験した外務(wù)官僚出身で、當(dāng)時(shí)の香港の宗主國だった英國政府や、最後の香港総督を務(wù)め香港の民主化を主張したクリストファー?パッテン総督を相手に激しい論戦や外交戦を展開したことで知られる。

しかし、周氏はすでに香港返還後に引退生活に入り、17年間も公の場に姿を現(xiàn)していない。香港ですら、その存在を忘れかけていた“亡霊”のような人物が突如、姿を現(xiàn)し、中國系香港メディア「文匯報(bào)」などのインタビューに応じ、セントラル地區(qū)占拠運(yùn)動(dòng)を激しく批判したのだ。

周氏は「運(yùn)動(dòng)は香港の法治に危害を加え、反中勢力の意図を體して、香港政府の統(tǒng)治権を奪おうというものだ。これは『臺(tái)灣獨(dú)立』と同じ論理であり、絶対に許されない」と運(yùn)動(dòng)は非合法であり犯罪行為だと指弾する。

周氏は「北京の中央政府は香港の高度な自治に干渉はしないが、香港で動(dòng)亂が発生すれば、中央は一定の権利を保留する」と述べたうえで、香港返還當(dāng)時(shí)の最高実力者、トウ小平氏の発言を引用して、「香港駐留人民解放軍は國家主権の象徴のような存在だが、それは一つの効能がある。動(dòng)亂の発生を未然に阻止するばかりでなく、動(dòng)亂が発生すれば、即時(shí)に処理させることだ」と主張。さらに、周氏は「動(dòng)亂が発生すれば、中央政府は戒厳狀態(tài)を宣言する。もし、香港で國家の根本利益が損害を受け、大陸の社會(huì)主義政権を転覆するための基地と化したら、中央は必ず関與し、適切に処置しなければならない」と語り、香港のセントラル地區(qū)占拠が現(xiàn)実化すれば、デモ隊(duì)排除のため、北京の習(xí)近平指導(dǎo)部が軍を?qū)毪工毪长趣猡ⅳ甑盲毪趣我姺饯驈?qiáng)調(diào)した。

▼中國政府、「香港白書」発表

周氏の発言から3日後の6月10日、中國政府は初の「香港白書」を発表?！赶愀郅羌s束されている『高度の自治』は、完全な自治ではなく、地方分権的な権限でもない。それは中央指導(dǎo)部の承認(rèn)に基づき、地方を運(yùn)営する権限である。一部の市民はこの『一國家二制度』を十分理解していない」と述べて、「外部勢力」が香港を利用して中國の內(nèi)政に介入したり、一部の香港人が「外部勢力」と結(jié)託して一國二制度を破壊することを防がなければならないと強(qiáng)く警告を発した。

この「外部勢力」とは米國を指すとみられている。香港の民主派指導(dǎo)者で、民主黨を創(chuàng)設(shè)して初代代表を務(wù)めた李柱銘（マーチン?リー）氏や、香港特別行政區(qū)政府のナンバー2の政務(wù)官だった陳方安生（アンソン?チャン）氏が3月に訪米し、ホワイトハウスで會(huì)談。香港のトップである行政長官の次期選挙が3年後の2017年に行われるが、「中國共産黨が選んだ候補(bǔ)しか出馬できない懸念が強(qiáng)い」と訴えたからだ。

このような運(yùn)動(dòng)に対する中國によるあからさまな干渉に民主派勢力は強(qiáng)く反発。運(yùn)動(dòng)の提唱者である戴氏は「この時(shí)期に、周南氏の発言や白書が発表されたのは香港の人々を恐怖に陥れようという狙いがあるのは明らかだ。我々が呼びかけているのは香港を動(dòng)亂に巻き込むことではない。運(yùn)動(dòng)を通じて、公民が命をかけてでも、最終的に完全で自由な普通選挙を?qū)g施することだ。彼らが『罪を償え』と言うのならば、我々を逮捕し起訴すればよい。その結(jié)果、われわれには最初から政府を転覆する意図なぞないことが分かるだろう」と運(yùn)動(dòng)の正當(dāng)性を力説する。

李柱銘氏は「周南氏の発言は詭弁であり、こじつけで、運(yùn)動(dòng)參加者を減らそうという意図がみえみえだ。運(yùn)動(dòng)に対処するのは香港の現(xiàn)在の警察力で十分であり、習(xí)近平中國國家主席も軽々に駐留軍を出動(dòng)させるわけにはいかないだろう。軍を?qū)毪工毪韦暇炝Δ强工筏欷胜胜盲郡趣扦ⅳ?、二の次、三の次の策だ」と中國政府の軍?dǎo)入に否定的な見方を示した。

◆筆者プロフィール：相馬勝

1956年、青森県生まれ。東京外國語大學(xué)中國學(xué)科卒業(yè)。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大學(xué)東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大學(xué)でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現(xiàn)在ジャーナリスト。

著書に「中國共産黨に消された人々」（小學(xué)館刊＝小學(xué)館ノンフィクション大賞優(yōu)秀賞受賞作品）、「中國軍300萬人次の戦爭」（講談社）、「ハーバード大學(xué)で日本はこう教えられている」（新潮社刊）など多數(shù)。