香港の民主派指導(dǎo)者で支聯(lián)會(huì)主席や香港立法會(huì)（議會(huì)）議員を務(wù)める李卓人氏は「習(xí)近平政権になって香港や中國(guó)で言論の自由が一層阻害され、香港に対する中國(guó)共産黨政権の圧力はますます強(qiáng)まっている。われわれは香港から運(yùn)動(dòng)を通じて、中國(guó)の一黨獨(dú)裁を終わらせる民主化と改革を進(jìn)展させたい」とコメントした。

【その他の寫(xiě)真】

香港の外交筋は「中國(guó)返還後の香港では、一般市民の生活はますます苦しくなっている。中國(guó)による香港の間接支配はますます露骨さを増しており、多くの民衆(zhòng)は中國(guó)に強(qiáng)く反発している。それは生活に根ざしたもので、運(yùn)動(dòng)の大きな原動(dòng)力になっているのも事実だ」と述べて、香港では返還後、中國(guó)による経済支配が強(qiáng)まっており、香港の反中気運(yùn)の高まりが運(yùn)動(dòng)支援のネットワーク強(qiáng)化の一因になっていることを明らかにした。

▼高騰する不動(dòng)産

例えば、香港の平均的なマンション価格は2005年時(shí)點(diǎn)では1平方メートルが4萬(wàn)4000香港ドル（約70萬(wàn)円）だったものが、今年に入って2倍以上の11萬(wàn)香港ドル（176萬(wàn)円）に上がっており、約60平方メートルのマンションでも日本円で“億ション”となる。豪華マンションはその2倍は軽くする。

いま香港ではセントラル地區(qū)から地下鉄で5駅から10駅の地區(qū)ではマンションの建て替え工事が頻繁に行われている?！袱饯谓Y(jié)果、ある程度安かったマンションが高層の高級(jí)マンションになり価格が大幅に上昇。元々の香港住民は手が出ず、遠(yuǎn)隔地域に引っ越しを余儀なくされるなど、香港の端っこに追いやられる現(xiàn)象が起こっている。さらに、資産がない青年層はマンションを買えず、結(jié)婚できない現(xiàn)象も深刻だ。おまけに、建て替えられた高級(jí)マンションを大陸の富裕層が投資目的で買い占めるなど、香港市民は不満を高まらせ、不安を募られせている」と同筋は解説する。

また、香港には大陸から富裕層ばかりでなく、多數(shù)の中國(guó)人観光客が押しかけおり、大陸では買うことができない幼児用の粉ミルクや外國(guó)製のおむつなどを買い占めて、大陸で売るという「運(yùn)び屋」が出沒(méi)。このため、香港で粉ミルクやおむつなどが不足するという珍現(xiàn)象が起きている。

▼イナゴと揶揄される運(yùn)び屋

筆者は香港滯在中、広東省深センに接する羅湖駅から中國(guó)に入境したが、羅湖駅の一駅前の上水駅で、大型のリュックサックやキャリーバッグに手提げ袋を持った10人くらいの集団が電車に乗り込んできたのを目撃した。なかには、キャリーバッグのほかに、大きなおむつの包みを3つも抱えている女性もいた。彼らは羅湖駅で下りて、香港の稅関を抜け、深セン駅から中國(guó)に入國(guó)し、待っていた車に荷物を積むと、どこともなく消えていった。

香港ではこれらの“運(yùn)び屋現(xiàn)象”を揶揄した「イナゴ駆逐行動(dòng)」が盛んだ。彼らが通り過(guò)ぎると、そこに大量にあったはずの商品が消え失せしまう現(xiàn)象がみられ、イナゴの大群が通り過(guò)ぎたあとを連想させることからついた名前だ。休日の香港の繁華街で、「イナゴは香港から出て行け！」「自分の國(guó)を愛(ài)せよ。中國(guó)人は中國(guó)の製品を買うべきだ！」「中國(guó)人は中國(guó)のミルクを飲め！」など音楽に合わせて叫び、100人以上の香港人が気勢(shì)を上げるのだ。彼らは時(shí)々、毛沢東の寫(xiě)真を掲げ、赤いカバーに覆われた「毛沢東語(yǔ)録」を振りかざし、中國(guó)の國(guó)歌「義勇軍行進(jìn)曲」を歌うなど、「愛(ài)國(guó)（中國(guó)）、愛(ài)港（香港）」をスローガンに掲げて、愛(ài)國(guó)を裝って中國(guó)を批判する。つまり“パロディ?デモ”なのだ。

▼中國(guó)人観光客のビザ制限も

このような一般の香港市民の激しい反発から、香港政府トップの梁振英?行政長(zhǎng)官は今後、中國(guó)人観光客に與える観光ビザを制限し、年間で20％減少させることを提案したが、それでも年間3200萬(wàn)以上の中國(guó)人が香港を訪れることになり、いずれにしても焼け石に水の狀態(tài)だ。

「それ以上に、いまの香港経済は中國(guó)に頼っているのが実情だけに、香港政府も有効な手が打てず、無(wú)為無(wú)策のまま習(xí)近平指導(dǎo)部の言いなりになっている狀態(tài)だ」と同筋は指摘する。

このような政府の対応に多くの市民は不満を抱いており、セントラル占拠運(yùn)動(dòng)の火種となっているのも事実。それだけに、強(qiáng)制的に運(yùn)動(dòng)參加者を排除すれば、ますます運(yùn)動(dòng)が激しさを増すことが予想される。さりとて、軍導(dǎo)入の事態(tài)となれば、89年6月の天安門(mén)事件のように、流血の事態(tài)になるのは必至だけに、事態(tài)をじっと注視しているのは、香港政府よりも北京の習(xí)近平最高指導(dǎo)部であるのは間違いない。

◆筆者プロフィール：相馬勝

1956年、青森県生まれ。東京外國(guó)語(yǔ)大學(xué)中國(guó)學(xué)科卒業(yè)。産経新聞外信部記者、次長(zhǎng)、香港支局長(zhǎng)、米ジョージワシントン大學(xué)東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大學(xué)でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現(xiàn)在ジャーナリスト。

著書(shū)に「中國(guó)共産黨に消された人々」（小學(xué)館刊＝小學(xué)館ノンフィクション大賞優(yōu)秀賞受賞作品）、「中國(guó)軍300萬(wàn)人次の戦爭(zhēng)」（講談社）、「ハーバード大學(xué)で日本はこう教えられている」（新潮社刊）など多數(shù)。