「ベトナム版テスラ」などとも呼ばれるビンファスト（VinFast）が急成長している。同社の創(chuàng)業(yè)は2017年で、ベトナム北部のハイフォン市に本社を置く。同社は米國や歐州の市場にも進(jìn)出することを決めた。

ビンファストは、コングロマリットのビングループ（Vingroup）の傘下企業(yè)だ。グループを率いるファム?ニャット?ブオン氏は1968年8月5日の生まれで、現(xiàn)在54歳。自國の大學(xué)で鉱物學(xué)を?qū)Wび、研究のためにモスクワ地質(zhì)探査研究所に派遣された経歴を持つ。1990年代にはウクライナで即席めん関連のビジネスを手掛けて成功した。さらにウクライナにある企業(yè)を売卻して資金を得ると、帰國してベトナム南部のニンチャンで高級リゾートを開業(yè)した。

ファム氏は事業(yè)をさらに拡大した。ビングループは不動産、観光、ホテル、小売、教育、家電などの分野をカバーし、3社の上場會社を持つベトナム最大の企業(yè)群に成長した。2021年の売上高はベトナムのGDPの約1．5%を占めており、ビングループはベトナムにおいて、韓國におけるサムスンや、インドにおけるタタ?グループに相當(dāng)する存在と見なされている。

ファム氏が自動車製造業(yè)に乗り出した17年當(dāng)時(shí)のベトナムは、1人當(dāng)たりGDPが3000ドルに迫っており、一般家庭に自動車が浸透する直前の狀態(tài)だった。しかし市場はトヨタやマツダ、韓國の起亜（キア）自動車など外資系ブランドにほぼ獨(dú)占されていた。ベトナムの自動車工業(yè)は基盤が薄いだけでなく空洞化問題が深刻で、部品の大部分を輸入に頼っていた。

自動車製造業(yè)に乗り出すことを決意したファム氏の強(qiáng)みは、極めて豊富な資金力だった。設(shè)立當(dāng)初のビンファストは、ほとんど注目されなかったが、ファム氏はゼネラル?モーターズ（GM）元幹部のジム?デルーカ氏を高額の報(bào)酬で招き、ビンファストの舵取りを託した。ビンファストはその後、ドイツのボッシュやシーメンス、カナダのマグナ、イタリアのピニンファリーナなどの技術(shù)力を持つ企業(yè)と提攜を結(jié)ぶことができた。18年にはハノイにあったGMの組み立て工場を買い取り、オペルの車體製造技術(shù)を手に入れた。さらに19年6月にはハイフォン市內(nèi)の工業(yè)パークで自動車組み立て工場の操業(yè)が始まった。同工場の敷地面積は50萬平方メートルを超え、著工から試験操業(yè)開始までわずか21カ月しかかからなかった。そしてビンファストは中型SUVの「LUXSA2.0」と3ボックスセダンの「LUXA2.0」を発売し、ベトナム初の本格的な大規(guī)模量産能力を持つ民族系自動車ブランドになった。

ファム氏は當(dāng)初から、ビンファストを設(shè)立してから3年間を「自動車事業(yè)の基礎(chǔ)づくりの段階」と位置づけ、従來型の技術(shù)を利用して、安価で良質(zhì)なガソリン車を生産し、20年から電動自動車（EV）製造へ転換を加速することを念頭に置いていたとされる。

そして、21年末にはベトナム初の國産EV「VF e34」が発売された。コンパクトSUVの位置づけであり、最長航続距離は約300キロだ。同年には、世界市場向けにハイエンドでスマート化された電動SUV「VF8」と「VF9」も発売した。

ビンファストは22年7月、既存のガソリン車が完売したことをきっかけに、當(dāng)面はEVのみを製造販売すると発表した。

ビンファストは今のところ中國市場に進(jìn)出していないが「中國の友人」は少なくない。22年10月には世界最大の電気自動車用電池メーカー寧徳時(shí)代と新能源科技（CATL）との提攜を決めた。雙方は電池及び電池の車載方式に関連する分野の事業(yè)で協(xié)力することになった。

ビンファストはさらに11月中旬に、中國の大手リチウム電池メーカーの國軒高科と提攜した電池製造工場の建設(shè)を始めた。投資総額は6兆3300億ドン（約367億円）で、23年末の操業(yè)開始を見込む。ビンファストにとって、自社が必要とする電池を入手する體制が整ったという。

ファム氏は歐米先進(jìn)國の市場を強(qiáng)く意識しており、「ベトナムの電気自動車はテスラと同様の豊富な機(jī)能を備えることになる。ビンファストは26年までに、米國で數(shù)十萬臺の電気自動車を販売する」と述べたことがある。

ビンファストはさらに、フランス、ドイツ、オランダに統(tǒng)括會社を設(shè)置して歐州でも事業(yè)を展開すると発表した。同社はまた、米國レンタカー大手のオートノミーから、VF8とVF9を2500臺以上納車する過去最大規(guī)模のEV受注を獲得した。

同社が抱える最大の問題は、部品の多くを海外から輸入していることとされる。部品の自社製造の體制は不十分であり、製造業(yè)の體系化がまだ未成熟なベトナムでは、部品を提供できる企業(yè)も少ない。ビンファストはベトナム初の本格的民族系自動車メーカー、そしてベトナム初の本格的EVメーカーだが、業(yè)界関係者は自國內(nèi)におけるサプライチェーンはまだ構(gòu)築されていないと見なしている。（翻訳?編集/如月隼人）