「古くからの知恵」をあなどることはできない。一時(shí)は「不合理だ」と思われていたことが、「大きな目で見れば実に合理的だった」と判明した事例は枚挙にいとまがないほどだ。古くからの住民コミュニティーが守り続けてきた、自然資源の利用についての「しきたり」も、生態(tài)系や生物多様性を維持するために極めて有効な場(chǎng)合が多いと立証されつつある。國(guó)家林業(yè)?草原局西南生態(tài)文明研究センターの尹侖研究員は、生態(tài)保護(hù)に関する伝統(tǒng)的知識(shí)などについての専門家だ。尹研究員はこのたび、中國(guó)メディアの中國(guó)新聞社の取材に応じて、中國(guó)に殘る伝統(tǒng)的な生態(tài)系保護(hù)の狀況や、それを現(xiàn)代社會(huì)に活用する道筋、中國(guó)としてさらに前進(jìn)させるべき部分などを紹介した。以下は尹研究員の言葉に若干の説明內(nèi)容を追加するなどで再構(gòu)成したものだ。

■昔からのしきたりで事実上の「遺伝子バンク」が形成

生物多様性條約は、生物多様性についての伝統(tǒng)的な知識(shí)を、「長(zhǎng)期の経験に基づいて形成された、地方の文化や環(huán)境に適応した知識(shí)、イノベーション、実踐」と定義している。そのような知識(shí)は、書き物として受け継がれてきた場(chǎng)合もあれば、歌や伝説、ことわざ、信仰、慣習(xí)法などで示されていることもある。

中國(guó)政府?生態(tài)環(huán)境部が2014年に発表した「生物多様性に関する伝統(tǒng)的知識(shí)の分類?調(diào)査?目録作成技術(shù)規(guī)定（試行）」は、生物多様性の維持に役立つ伝統(tǒng)的知識(shí)を5つに分類した?！竵唤y(tǒng)的な農(nóng)業(yè)遺伝資源の選択育成に関する知識(shí)」「伝統(tǒng)的な醫(yī)薬に関する知識(shí)」「生物資源の持続可能な利用に関係する伝統(tǒng)的な技術(shù)及び生産?生活様式」「生物多様性に関する伝統(tǒng)文化」「伝統(tǒng)的な生物地理的表示製品に関する知識(shí)」だ。

例えば雲(yún)南省迪慶チベット族自治州徳欽県ではチベット族の人々の間で、雲(yún)南最高峰のカワガルボを含め300以上の山を神山と見なす伝統(tǒng)的な信仰體系が形成された。住人は神山の動(dòng)植物などすべてを神聖な存在として、勝手に狩ったり伐採(cǎi)したりすれば神山は怒り、豪雨や土石流で村に報(bào)復(fù)すると考えてきた。地元のチベット族の人々は、神山での樹木伐採(cǎi)、薬材の採(cǎi)取、湧水、河川、湖の汚染などに関する慣習(xí)法を持つようになった。この慣習(xí)法は地域の生態(tài)系と生物多様性の資源を保護(hù)することに役立ち、同地域は事実上の自然保護(hù)區(qū)になった。

雲(yún)南省シーサンパンナ?タイ族自治州のキノ山に暮らすキノ族は、陸稲栽培を中心とした輪作農(nóng)業(yè)に従事してきた。キノ族の輪作農(nóng)業(yè)では、早生、中生、晩生、もちなど、計(jì)96の陸稲品種が保存されている。彼らは毎年、品種を取り換えて栽培することで、食糧生産量の最大化を追求してきた。蓄積されてきた認(rèn)識(shí)や経験によって、陸稲品種の遺伝上の多様性が保たれることになった。

中國(guó)の各民族の伝統(tǒng)的知識(shí)は現(xiàn)地の生物遺伝資源の多様性を保護(hù)することにつながった。遺伝資源を保存?利用する「伝統(tǒng)式の遺伝子バンク」がもたらされたのだ。この「遺伝子バンク」は現(xiàn)在も動(dòng)的変化を続けている。今も発展中と言ってよい。

■COP15でも自然保護(hù)における伝統(tǒng)的知識(shí)の価値と役割を重視

自然保護(hù)における伝統(tǒng)的知識(shí)の価値と役割は、生物多様性條約第15回締約國(guó)會(huì)議（COP15）でも重視されている。21年10月に雲(yún)南省昆明で開催されたCOP15第一部で採(cǎi)択された昆明宣言は、「先住民と地域社會(huì)の権利を尊重し、その完全かつ効果的な參加を確保する」などとする文章が盛り込まれた。

自然保護(hù)に役立つ慣習(xí)法は、動(dòng)植物を直接に保護(hù)する伝統(tǒng)的な信仰と行動(dòng)規(guī)則だけではなく、生態(tài)系と生物多様性を分類し、貯蔵、有効利用、総合管理、利益共有と発展促進(jìn)を行う伝統(tǒng)的な知識(shí)や技術(shù)に関連するものもある。すなわち、生態(tài)に関する慣習(xí)法は、総合的な管理體系の側(cè)面を持つ。

例えば雲(yún)南省迪慶チベット族自治州瀾滄江大峽谷に位置する佳碧村では、長(zhǎng)い歴史を持つ伝統(tǒng)的な女性組織の「姐妹會(huì)（姉妹會(huì)）」が機(jī)能している?！笂椕脮?huì)」は山林への立ち入りを制限して、樹木の伐採(cǎi)を規(guī)制して森林植生の破壊を食い止めてきた?！笂椕脮?huì)」は植林も行い、森林生態(tài)系全體の安定を守って來(lái)た。

生物多様性の保全において、関連する行動(dòng)計(jì)畫と地方的な法規(guī)は伝統(tǒng)的な知識(shí)に言及している。10年9月に発表された「中國(guó)生物多様性保護(hù)戦略?行動(dòng)計(jì)畫」（11-30年）は、「関連する伝統(tǒng)的知識(shí)の緊急的保護(hù)と伝承」「生物遺伝資源及び伝統(tǒng)的知識(shí)の獲得と利益共有制度の構(gòu)築」「生物遺伝資源及び関連する伝統(tǒng)的知識(shí)の保護(hù)」「開発と利用の利益関係の調(diào)整」などが必要だとして、試行モデルの実施を求めている。少數(shù)民族地區(qū)では生物遺伝資源と関連する伝統(tǒng)的な知識(shí)や革新、実踐を調(diào)査して、データベースを構(gòu)築する方針が定められた。

■法體系の整備で伝統(tǒng)的な自然保護(hù)に「制度の裏付け」を

雲(yún)南省は18年9月に、他の地域に先駆けて生物多様性保護(hù)の地方條例である「雲(yún)南省生物多様性保護(hù)條例」を制定し公布した。この條例は伝統(tǒng)的知識(shí)に言及しているが、個(gè)々の條項(xiàng)の原則を定めたにすぎず、実行するために必要な細(xì)則や具體的措置は定められなかった。

インド、ブラジル、南アフリカ、マレーシアなどの國(guó)はすでに生物種資源と関連する伝統(tǒng)知識(shí)の法律と制度を定め、先住民族や何世代も前からの住人が持つ地方コミュニティーなどの伝統(tǒng)的な民族社會(huì)の生態(tài)習(xí)慣法と制度を徐々に認(rèn)め、現(xiàn)代的な環(huán)境法律體系に取り入れている。

中國(guó)は生物多様性資源と伝統(tǒng)的な生態(tài)文化が豊富な雲(yún)南省で、関連する伝統(tǒng)的知識(shí)に基づき、生物多様性を管理する地方メカニズムを形成し、それを「雲(yún)南省生物多様性保護(hù)條例」と組み合わせることで、制度面を完備させることができる。伝統(tǒng)的な知識(shí)が國(guó)としての生物多様性保護(hù)の法治體系に組み込まれれば、遺伝資源の獲得と利益の共有に法律上の根拠ができ、生物種資源の減少を根本的に防ぐことができる。（構(gòu)成 / 如月隼人）