■サッカーではなく経済面で活躍する中國(guó)勢(shì)

2022年のカタールW杯では、日本代表チームがベスト16入りし、日本中が沸いた。アジア勢(shì)で、中國(guó)チームはW杯の舞臺(tái)で活躍できなかったが、企業(yè)は米國(guó)の11億ドルを上回る13億9500萬(wàn)ドルを投資して、世界最大のスポンサーとなった。

スポンサーとなった企業(yè)の大半はすでに海外進(jìn)出を果たしている。ハイセンス（Hisense）やVivoなどの企業(yè)は國(guó)際市場(chǎng)で多くのシェアを獲得している。これらの企業(yè)は國(guó)際的なブランドイメージのいっそうの強(qiáng)化を狙っており、W杯は格好の「宣伝の場(chǎng)」となった。

新華社の17日の報(bào)道は、インフラ面では、ドーハ新港、ハマド國(guó)際空港、ドーハの水道施設(shè)、太陽(yáng)光発電所などの重要インフラ工事プロジェクトに中國(guó)企業(yè)が參加し、カタールW杯のメインスタジアムであるルサイルスタジアムの建設(shè)を中國(guó)企業(yè)が請(qǐng)け負(fù)ったことを伝えた。

中國(guó)企業(yè)が世界のビッグイベントで存在感を示すことができたのは、同國(guó)企業(yè)の力が大きく向上したことにほかならない。もちろん、中國(guó)政府の対外開放の堅(jiān)持というソフト面の環(huán)境が整っていることも大きい。

12月に入り、中國(guó)は「動(dòng)的ゼロコロナ」政策を最適化して、経済活性化を図ろうとしている。政策調(diào)整で國(guó)內(nèi)の感染拡大が続いているが、経済の面からいうと、必ずしも悪いものではない。外國(guó)に出ていく中國(guó)企業(yè)にとっては、ビジネスチャンス獲得の機(jī)會(huì)となることは間違いない。

■「安い労働力」は昔の話、中國(guó)企業(yè)の力が大幅強(qiáng)化

中國(guó)ブランドが世界に羽ばたくことができた要因は何か。2日付の21世紀(jì)経済報(bào)道の社説は次の2つの要因を指摘する。

一つに、中國(guó)製造業(yè)のモデルチェンジと高度化が挙げられる。改革開放前の中國(guó)は國(guó)の生産力が低かったため、中國(guó)製品は國(guó)際競(jìng)爭(zhēng)力がなかった。そのため、長(zhǎng)期にわたって加工貿(mào)易を行っており、海外ブランドの製品を製造していた。

だが、中國(guó)の経済力の発展にともない、狀況は一変する。「中國(guó)製品の性能、品質(zhì)、科學(xué)技術(shù)のレベルは日韓などに追いつきつつあり、いくつかの分野は追い越すようになり、現(xiàn)在『メード?イン?チャイナ』は『中國(guó)ブランド』として世界に進(jìn)出している」と社説は指摘する。例えば、攜帯電話、パソコン、家電などの消費(fèi)財(cái)はまずASEAN、中南米、中東、ロシア、アフリカ、インドなどの地域で足場(chǎng)を固め、歐米先進(jìn)國(guó)市場(chǎng)にも進(jìn)出しつつある。これは「メード?イン?チャイナ」の信頼できる品質(zhì)と良好なコストパフォーマンスによるものだ。

二つに、中國(guó)企業(yè)の科學(xué)技術(shù)イノベーションが先進(jìn)的レベルにあるという點(diǎn)だ。これが中國(guó)ブランドの國(guó)際的な影響力を大きく高めている。通信分野ではファーウェイ（華為）などの中國(guó)企業(yè)が好調(diào)で、商業(yè)用ドローンの分野ではDJI（大疆創(chuàng)新科技）など中國(guó)のドローンブランドが科學(xué)技術(shù)面の優(yōu)位性で世界市場(chǎng)でシェアを徐々に拡大している。

インターネット分野でも、中國(guó)は飛躍的成長(zhǎng)を遂げた。TikTokの短編動(dòng)畫アプリは世界の人々の支持を集め、日本でも試聴されている。Eコマースが発達(dá)している中國(guó)の決済アプリは世界の先を行っている。また、中國(guó)版ツイッター「微信」は中國(guó)関係の仕事をしている人、中國(guó)と関わりのある人にとっては必要な連絡(luò)ツールだ。

ゲームも中國(guó)企業(yè)が力をつけている。網(wǎng)易が開発した「第五人格」や上海米哈游網(wǎng)絡(luò)科技（miHoYo）が開発した「原神」などのゲームは多くの國(guó)で人気を集めており、プレーしている日本人ユーザーも多い。

■政策にも乗った?。?a target='_blank' href='http://www.wenhuatang.com/search.php?filter=新エネ'>新エネ車で世界的影響力拡大の中國(guó)自動(dòng)車

外國(guó)に進(jìn)出する中國(guó)企業(yè)で、特に力をつけているのは自動(dòng)車ブランドだ。2022年1～10月の中國(guó)の自動(dòng)車輸出は前年同期比54．1％増の245萬(wàn)6000臺(tái)となり、ドイツを抜いて世界第2位の自動(dòng)車輸出國(guó)となった。

現(xiàn)在、中國(guó)の自動(dòng)車は性能と品質(zhì)が大きく向上し、かつての「メード?イン?チャイナ」のイメージを覆すものとなっている。新技術(shù)の応用により世界の同レベルの製品をはるかに上回っており、ハイエンド化の道を歩んでいる。

中國(guó)ブランドの自動(dòng)車はASEAN、中東地域への輸出だけでなく、先進(jìn)國(guó)市場(chǎng)にも進(jìn)出している。

中國(guó)政府は「生態(tài)文明の建設(shè)」を大きな目標(biāo)に掲げており、環(huán)境に配慮した社會(huì)づくり、製品の開発を重視している。新エネルギー車はその最たるものだ。同分野で、中國(guó)は世界でサプライチェーンを確立し、科學(xué)技術(shù)も先進(jìn)的レベルにあるため、世界最大の電気自動(dòng)車市場(chǎng)となっている。歐州市場(chǎng)に進(jìn)出し、より高い品質(zhì)とより手頃な価格で歐州の顧客に支持されている。

前述のように、現(xiàn)在、中國(guó)は「動(dòng)的ゼロコロナ」政策を最適化し、中國(guó)內(nèi)外の企業(yè)のビジネス活動(dòng)にプラスとなる環(huán)境を整えている。その中で、中國(guó)企業(yè)の世界市場(chǎng)での事業(yè)展開がさらに加速するのではないかと考えられる。

■アフターコロナを見越して中國(guó)企業(yè)が注文獲得に躍起

9日付の環(huán)球時(shí)報(bào)によると、中國(guó)の一部地方政府が「チャーター機(jī)」を手配して、中國(guó)企業(yè)の海外での「注文獲得」を手助けしている。それは今後、中國(guó)企業(yè)の活動(dòng)が活発化することを意味している。

同記事は、「チャーター機(jī)」による「注文獲得」の動(dòng)きは3つのシグナルを発しているとする専門家のコメントを載せている。

１つ目のシグナルは、中國(guó)は常態(tài)化した感染予防?抑制を基礎(chǔ)に、すでに正常な國(guó)際経済交流を徐々に再開し始めていることだ。

2つ目のシグナルは、中國(guó)企業(yè)の國(guó)際協(xié)力を行いたいという強(qiáng)い意思と行動(dòng)は、中國(guó)経済の大きな活力と強(qiáng)靭性を體現(xiàn)していることだ。

3つ目のシグナルは、國(guó)際的な経済往來(lái)が徐々に活発化するにつれ、中國(guó)経済は急速な回復(fù)を迎えることだ。

環(huán)球時(shí)報(bào)の記事が引用している専門家のコメントのように、中國(guó)は本格的な國(guó)際的な経済交流をスタートさせ、「中國(guó)経済は大丈夫」ということを世界に示したい中國(guó)の政府と企業(yè)の思惑があると筆者は考える。

だが、課題もある。

まず、國(guó)內(nèi)の感染狀況を見極める必要がある。コロナ対策の最適化により、感染者が一時(shí)的に増え、家庭や職場(chǎng)で感染が広がっている。ネット上では「うちの職場(chǎng)の職員はみんな陽(yáng)性で、陰性の人はわずかだ」という聲もあるが、筆者の住む北京ではかなりの人が感染しているようだ。感染拡大がこれ以上進(jìn)むと、企業(yè)の経済活動(dòng)にも影響が出てくる恐れがある。今後は狀況を見極めながら、國(guó)內(nèi)?海外での経済活動(dòng)を行う必要があろう。

次に、世界的なエネルギー価格上昇への対応だ。ロシア?ウクライナ紛爭(zhēng)の影響で、國(guó)際的なエネルギー価格が上昇し、日本を含む多くの國(guó)で「?jìng)幧悉播楗氓伐濉工摔胜盲皮い?。中?guó)の消費(fèi)者物価指數(shù)は3％を超えていないが、食料品や日用品の価格は以前より上がっていると感じる。世界的な物価高の問題はいつ解決するか、現(xiàn)在のところ見通せないが、21世紀(jì)経済報(bào)道の社説は、「中國(guó)製品のコストパフォーマンスの優(yōu)位性がより強(qiáng)まり、歐米の高級(jí)品市場(chǎng)が縮小する可能性がある」との見方を示している。中國(guó)企業(yè)はコスト面での優(yōu)位性、その他の強(qiáng)みをどのくらい示せるかがカギとなる。

ただ、中國(guó)企業(yè)の強(qiáng)みはこれまでの「コスト面での優(yōu)位性」から「科學(xué)技術(shù)面の優(yōu)位性」に変わりつつある。自動(dòng)車、家電、電子などのスマート化レベルがますます向上しており、中國(guó)の消費(fèi)者のニーズのいっそうの高度化が企業(yè)のイノベーション力の向上を促している?！干b?生活のスマート化」は中國(guó)企業(yè)にとって、大きなチャンスとなっている。

今後、中國(guó)企業(yè)はどの方向へ向かうか。これまでの「外に出ていく」から「中に入っていく」戦略に転換するだろう。つまり、進(jìn)出先で現(xiàn)地化戦略を?qū)g施して、製品を輸出するだけでなく、プロダクトマネジメントを行い、進(jìn)出先の市場(chǎng)と消費(fèi)者の好みに合わせた製品?サービスを生み出すだろう。

コロナや世界的な物価高もあり、中國(guó)経済は減速気味だが、回復(fù)の環(huán)境は徐々に整いつつあるといえる。

■筆者プロフィール：吉田陽(yáng)介

1976年7月1日生まれ。福井県出身。2001年に福井県立大學(xué)大學(xué)院卒業(yè)後、北京に渡り、中國(guó)人民大學(xué)で中國(guó)語(yǔ)を一年學(xué)習(xí)。2002年から2006年まで同學(xué)國(guó)際関係學(xué)院博士課程で學(xué)ぶ。卒業(yè)後、日本語(yǔ)教師として北京の大學(xué)や語(yǔ)學(xué)學(xué)校で教鞭をとり、2012年から2019年まで中國(guó)共産黨の翻訳機(jī)関である中央編訳局で黨の指導(dǎo)者の著作などの翻訳に従事する。2019年9月より、フリーライターとして活動(dòng)。主に中國(guó)の政治や社會(huì)、中國(guó)人の習(xí)慣などについての評(píng)論を発表。代表作に「中國(guó)の『代行サービス』仰天事情、ゴミ分別?肥満?彼女追っかけまで代行？」、「中國(guó)でも『おひとりさま消費(fèi)』が過熱、若者が“愛”を信じなくなった理由」などがある。