中國には古くから、さまざまな武術(shù)が伝わっている。中國武術(shù)を愛好し、鍛錬に勵む外國人も珍しくない。カザフ人のティムル?クバトフさんも、そんな愛好者の一人だ。愛好者といっても、カザフスタン國內(nèi)やアジアの武術(shù)大會の優(yōu)勝歴や世界選手権の入賞歴があり、カザフスタンチームのコーチを務(wù)めたこともあるというから、本格的だ。58歳になった現(xiàn)在、「カザフスタン?トゥデー」というメディアの社長兼編集長という激務(wù)をこなしながらも、毎日の練習を欠かさないという。ティムル?クバトフさんはこのほど、中國メディアの中國新聞社の取材に応じて、中國武術(shù)に親しむようになった経緯や、中國武術(shù)に対する見方などを語った。以下はティムル?クバトフさんの言葉に若干の説明內(nèi)容を追加するなどで再構(gòu)成したものだ。

武術(shù)は身體の健康維持だけでなく、思考力にも有益

私が最初に中國武術(shù)に觸れたのは1980年代だった。中國武術(shù)を愛する多くの外國人と同じように、子供だった私はカンフー映畫を見て、武術(shù)を習うことを決めたのだ。私が住んでいたアルトマイの街でも、カンフー映畫は大人気だった。カンフーのできる人は何でもできて、まるで超能力の持ち主のように思われていた。

私はまず最初、自分で本を読んだり映畫を見たりして自我流で武術(shù)を?qū)Wんだ。しかしその後、中國の蘭州や北京に行って師匠について系統(tǒng)的に學んだ。蘭州の武術(shù)チームのある訓練生が、私に雙鉤という武具をプレゼントしてくれた思い出もある。

中國武術(shù)は、単に相手との攻防の際にだけ使う技術(shù)ではない。きちんと學べば、自分の生活様式の一部になる。私にとって武道は心身を鍛える助けだ。私自身は仕事が忙しく、各地に出張することも多いのだが、時間を作っては毎日2回の稽古を続けている。私の稽古場にはさまざまな武具が置かれている?；扭蚴激幛腚Hにはしばらくウォーミングアップをしてから、武具を持っていろいろなパターンを練習する。なかなか信じてもらえないかもしれないが、私は武術(shù)の稽古をすることで、健康的な體を維持するだけでなく、思考の面でも集中力を維持できていると感じている。

私には5人の子がいる。いずれも武術(shù)が大好きだ。だから一緒に稽古することも多い。私の子は中國文化に興味を持っているが、彼らには成長するにつれて、できるだけ多く中國と觸れて、中國文化を理解するようになってほしいと思う。

中國武術(shù)は深い文化と思想が表出したもの

中國武術(shù)は中華文明の至寶だ。中國武術(shù)にはスポーツの要素だけでなく、儒教、同郷、仏教の思想が多く含まれている。例えば中國武術(shù)は、自然と人は分けることができないという「天人合一」や、萬物は「陰」と「陽」の対立や統(tǒng)一によって進展していくという「陰陽弁証」の哲學概念を體現(xiàn)している。中國武術(shù)は、この世を生きる上でわが身をどのように処すべきかという中國人の知恵や、人生や自然、宇宙萬物に対する中國人の考え方や感じ方の具體化でもある。

武術(shù)とは人體の運動だ。従って自然の法則に厳密に支配される。人は自然の法則に順応してこそ、自然との調(diào)和と統(tǒng)一に到達できる。中華民族は古くから哲學を尊んできた民族だ。中國武術(shù)の達人は昔から品性が高く、學識が豊かで、思想が鋭敏で、知恵に富んでいた。だから、中國武術(shù)は「哲學の拳」と言える。形式から內(nèi)容までのすべてが哲學の思想や文化を含んでいる。武術(shù)の達人は武術(shù)の場だけでなく、日ごろの思考や行働が、知らず知らずのうちに武術(shù)の影響を受ける。逆に、武術(shù)や日常生活を通じて身につけた哲學を、自然に武術(shù)に生かすようになる。

中國武術(shù)にはさまざまな種類があるが、それらに伴う素樸な哲理は同一だ。それは、萬物の統(tǒng)一と生き生きとした生命力を重視することであり、そのことにより自然と人類の発展と変化を相互に結(jié)びつけ、調(diào)和と平衡を目指す運働とすることだ。武道を習う過程で道徳や知力、エネルギーを完璧に結(jié)びつけることができ、精確な技を?qū)g現(xiàn)することができる。さらには自らの考えや思考を完璧にコントロールすることができるようになり、「天人合一」や「人器合一」を真に達成できるようになる。武術(shù)の素晴らしい技の背後には、果てしない文化の泉がある。

カザフ人の中國理解を推し進めたい

カザフスタンは、中國が最初に提唱した「一帯一路」に、最も早い時期から賛同した國の一つだ。両國の交流や協(xié)力がますます増え、民衆(zhòng)の往來もより親密になった。多くのカザフスタン人が中國の伝統(tǒng)文化を愛し、多くの時間をかけて精力的に中國語を?qū)Wび、中國武術(shù)や中國に伝わる醫(yī)學、中國の伝統(tǒng)的な美食により強い興味を持つようになった。われわれは中國の豊かな文化と歴史遺産を理解しようと努めている。

私は長期にわたりカザフスタンと中國の交流に従事しており、中國の発展に興味を持っている。カザフスタンの人々には、中國が経済社會など多くの分野で得た進歩について少しでも理解してもらいたいと思っている。そのため、「カザフスタン?トゥデー」のウェブサイトには、カザフスタンの人々に中國関連の情報を紹介する「中國トゥデイ」というコーナーを開設(shè)している。

今年は「一帯一路」共同建設(shè)構(gòu)想が提起されてから10周年にあたる。両國は長年にわたり、健康?醫(yī)療、グリーン経済、デジタル化イノベーションなどの分野をカバーする全方位的な互恵協(xié)力を展開してきた。私は、「一帯一路」共同建設(shè)の推進に伴い、さらに密接になった交流により、カザフスタンに新たな中國文化ブームや中國武術(shù)ブームが到來することを期待している。（構(gòu)成 / 如月隼人）