5．活気に満ちた解放初期の新中國

1953年7月2日、天津港に著き上陸、大歓迎を受けました。夏休みの約1カ月をまだ建設(shè)中の北京華僑補(bǔ)習(xí)學(xué)校で過ごし、試験なしで上海財経學(xué)院（現(xiàn)上海財経大學(xué)）に分配されました。中國語の基礎(chǔ)を?qū)Wんだ方がよかったのかもしれませんが、実際の社會生活に入って學(xué)ぶ方が良いということで直接入學(xué)することとしました。

三反（官僚主義、汚職、浪費(fèi)）、五反（贈賄、脫稅、國家資材橫領(lǐng)、原料のごまかし、経済情報の漏洩）後の新中國、そして知識分子の思想改造が終わったばかりの新中國は活気に満ちていました。當(dāng)時、黨員の模範(fàn)的行動は突出しており、黨員か非黨員かは一目で見分けられる社會の雰囲気がありました。

大學(xué)では黨組織（クラス16人のうち幹部出身者が6人）と青年団組織は私に溫かい関心を払ってくれ、実に楽しく學(xué)習(xí)生活を送ることができました。帰國生活の中で、最も充実したよき時期でした。私への周囲の評価は高く、言葉が不十分であったにもかかわらず、2年間にクラスの文體（文蕓?體育）委員、次に學(xué)習(xí)委員、さらに班長となりました。優(yōu)秀青年、三好（學(xué)習(xí)、身體、工作）學(xué)生など、表彰の都度選ばれました。

當(dāng)時、中國はまだ貧困の狀態(tài)にあり、富の分配の在り方はたいへん重要な課題でした。政権の座に就いた共産黨は、黨員および幹部に対して手當(dāng)ては大変厳しく制約しながらも、資本家や高級インテリ層には國民黨時代の高待遇を維持しました。これは最後まで維持され、政治運(yùn)動によって中斷された場合は後で完全に補(bǔ)われました。中國共産黨が政権維持に成功したカギは、まさにこのような大局的見地に立った政策にあります。

では、中國共産黨はなぜこのような政策をとることができたのでしょうか。それは黨員に対する、人民に奉仕する精神、私利私欲に陥らないための教育にあります。黨員は革命への貢獻(xiàn)が義務(wù)とされ、待遇面で手を伸ばすことは恥ずべき行為とされました。そのため、共産黨員は人々の尊敬の的であり、共産黨員になろうとしてもなかなかなれないというのが當(dāng)時の新中國でした。日本で形成された私の共産主義人生観は、この現(xiàn)実に觸れてますます磨きのかかったものとなりました。それは生涯変わることがありませんでした。

その後、情勢の変化と世代交代によって、この革命的精神は何回か喪失の危機(jī)にひんしましたが、脈々と継承され、現(xiàn)在に至っています。初心を忘れるなと言われると、私は自然にこの時代を思い起こします。日本では悪い中國共産黨員のことだけがことさら大きく報道され、共産黨即悪黨とみられがちですが、主流は優(yōu)秀な共産黨員であることを忘れてはなりません。

■筆者プロフィール：凌星光

1933年生まれ、福井県立大學(xué)名譽(yù)教授。1952年一橋大學(xué)経済學(xué)部、1953年上海財経學(xué)院（現(xiàn)大學(xué)）國民経済計畫學(xué)部、1971年河北大學(xué)外國語學(xué)部教師、1978年中國社會科學(xué)院世界経済政治研究所、1990年金沢大學(xué)経済學(xué)部、1992年福井県立大學(xué)経済學(xué)部教授などを歴任。