私が勤める會(huì)社は昭和に建てられたビルの中に入っている。同ビルは有名なデザイナーの設(shè)計(jì)で、當(dāng)時(shí)は今でいう六本木ヒルズのような存在で、若者が集まり音楽や酒を楽しんでいた。當(dāng)時(shí)をよく知る會(huì)社の社長(zhǎng)は、ほろ酔いになるとよくその話をする。

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ビル1階には飲食店や飲み屋が立ち並び、朝からうどんやそば、晝は様々な定食、そして夜にはお酒を楽しむことができる。1階に行けばいつでも安くおいしいものが食べられ、特に夏や冬、雨の日など屋外に出なくて済むため重寶している。

中でも、地下1階にあるラーメン屋にはよく足を運(yùn)ぶ。店はカウンターの席が數(shù)人分あるだけの簡(jiǎn)素な作りで、おばあちゃんが1人で切り盛りしている。同店の醤油ラーメンは素樸な味でどこか懐かしさを感じる。定食物もあるが、カロリーが高いため私はいつもワカメラーメンを注文している。

おばあちゃんはビルが建てられた時(shí)から店を構(gòu)えており、50年間店の味を守り続けている。外見(jiàn)から70代と思われるが、若い時(shí)分は相當(dāng)な美人だったと見(jiàn)えて、その面影が今でも確認(rèn)できる

私がこのラーメン屋を知ったのは會(huì)社の検診診斷がきっかけ。検査終了後におなかをすかせ、10時(shí)半という中途半端な時(shí)間でも営業(yè)していた同店ののれんをくぐったのが始まりだ。店主のおばあちゃんと世間話をしているうちに、彼女が9年前に胃がんを患い、手術(shù)に成功したことを聞いた。おばあちゃんの人柄と同店のラーメンが気に入った私は、週3で晝に通うようになった。

今年に入り、おばあちゃんの體力が落ちたと感じる。ラーメンの湯切りは切れがなくなり、おつりの計(jì)算も遅くなった。そして、おばあちゃんの衰えを強(qiáng)く感じた出來(lái)事が先週起きた。いつものように私は晝時(shí)に店を訪れ、ワカメラーメンを注文。いざ食べようとコショウをかけたとき、スープの中に小さなゴキブリを発見(jiàn)した。

周りのお客さんに配慮し、おばあちゃんにそれを見(jiàn)せると、おばちゃんは慌ててラーメンを回収。すぐに作り直すと謝罪してくれたが、さすがに食欲をなくし、店を後にした。周りのお客さんにはわからないように伝えたが、おばあちゃんはいつにない複雑な表情を浮かべていた。その時(shí)私は店に二度と行かないと決心した。

數(shù)日後に店の前を通った際、店にはおばあちゃんの代わりに青年が立っていた。その後も気になり何度か店をのぞいたが、おばあちゃんの姿は確認(rèn)できなかった。半世紀(jì)同じ場(chǎng)所に店を構(gòu)えている年期のある店のため、ゴキブリくらい出ても不思議ではない。ゴキブリを見(jiàn)逃したのはきっと年齢も影響しているのだろう。これくらいのことで彼女が引退するようなことがあるなら、非常に殘念でならない。

先ほど、同僚にあるお願(yuàn)いを頼んだ。それは、おばあちゃんの姿が見(jiàn)えたら教えてほしいということだ。いったんは店には二度と行かないと決めたが、いつものようにラーメンを食べに行こうと思い直したからだ。（執(zhí)筆? 38歳男性/在日10年/會(huì)社員）