明朝と清朝を通じて皇帝の居城であり中國(guó)の政治の中心だった紫禁城が博物館になったのは1925年だった。故宮博物院の設(shè)立だ。それから10年後の1935年、現(xiàn)在から見(jiàn)れば88年前に、英國(guó)のロンドン市內(nèi)で故宮博物院の収蔵品を中心とする美術(shù)品や文化財(cái)を集めた特別展覧會(huì)が開(kāi)催された。見(jiàn)學(xué)者は中國(guó)の美術(shù)工蕓品に大きな衝撃を受けた。歐州のファッション界では中國(guó)ブームが出現(xiàn)した。故宮博物院故宮學(xué)研究所に勤務(wù)し、主に故宮博物院史と近代中國(guó)博物館史の研究に従事する徐婉玲博士はこのほど、1935年にロンドンで開(kāi)催された中國(guó)関連の特別展覧會(huì)を紹介する文章を中國(guó)メディアの中國(guó)新聞社に寄稿した。以下は徐博士の文章に若干の説明內(nèi)容を追加するなどで再構(gòu)成したものだ。

中國(guó)の陶磁器を評(píng)価する英國(guó)人が積極的に働きかけ

故宮博物院は、明朝や清朝時(shí)代から受け継がれてきた文化財(cái)を所蔵するだけでなく、それ以外の文化財(cái)の収集にも努めてきた。また、文化財(cái)関連交流や交換展示、共同保護(hù)プロジェクト、共同考古學(xué)調(diào)査などを通じて世界と対話し、さまざまな國(guó)や地域の人々に「中華の美」を知ってもらう仕事に取り組んできた。

今では知る人も少ないが、88年前にロンドンで開(kāi)催されたロイヤルアカデミー中國(guó)美術(shù)展は歐州に強(qiáng)い影響を與えた。ファッション界では「中國(guó)ブーム」が発生した。この美術(shù)展が実現(xiàn)した発端は、中國(guó)製陶磁器の著名なコレクターだった英國(guó)人のサー?パーシバル?デイビッドが1925年に故宮博物院が一般公開(kāi)された際に、北京を訪れて展示を見(jiàn)學(xué)したことだった。

デイビッドは1927年7月に故宮博物館に対して行った寄付は、景陽(yáng)宮磁器陳列室の改造に役立てられた。故宮博物院は同年8月にデイビッドを顧問(wèn)として迎えた。デイビッドはこのことで、故宮博物院の文化財(cái)?shù)清hや展覧企畫(huà)に參加する機(jī)會(huì)を得た。デイビッドは1931年には、ロンドン大學(xué)アジア?アフリカ學(xué)部に中國(guó)蕓術(shù)?考古學(xué)委員會(huì)を設(shè)立した。中國(guó)蕓術(shù)の國(guó)際的展覧會(huì)を開(kāi)催するというデイヴィッドの構(gòu)想は英國(guó)の中國(guó)學(xué)界に浸透していった。

デイビッドは1934年2月、他のコレクター數(shù)人と「ロンドン中國(guó)蕓術(shù)國(guó)際展覧會(huì)覚書(shū)」に署名して、當(dāng)時(shí)の中國(guó)國(guó)民政府に屆ける手配をした。覚書(shū)には、ロンドンでの展覧會(huì)で期待できる効果として、中國(guó)蕓術(shù)の國(guó)際的展覧會(huì)の開(kāi)催が國(guó)際政治交流の促進(jìn)、中國(guó)の文化イメージ向上、商業(yè)経済の発展の改善と密接な関係があるなどと詳しく論じられていた。また、故宮博物院の歴代収蔵品や中國(guó)の近年の考古學(xué)発掘品を英國(guó)に持ち出して展覧會(huì)を開(kāi)催することも提唱されていた。

故宮博物院は1934年9月に、所蔵品の中で中國(guó)を代表するにふさわしい価値がある品を選定した。ロンドンでは同年10月に展覧會(huì)の準(zhǔn)備委員會(huì)が設(shè)立され、青銅器、磁器、書(shū)畫(huà)などのいくつかの専門(mén)委員會(huì)も設(shè)けられた。そして、中國(guó)側(cè)専門(mén)家に出展文化財(cái)の基準(zhǔn)の選定などを依頼した。準(zhǔn)備は急ピッチで進(jìn)んだ。

中國(guó)歴代の文化蕓術(shù)の水準(zhǔn)を示す最高の品を出展

準(zhǔn)備委員會(huì)は出展文化財(cái)をロンドンに向けて船積みする前に、上海で予備展を開(kāi)催した。この予備展では、殷代や周代の青銅器、宋代や元代の書(shū)畫(huà)、明代や清代の磁器が整然と陳列された。青銅器は、當(dāng)時(shí)の中國(guó)の主要な文化機(jī)関の最も重要な所蔵品をほぼ網(wǎng)羅した108點(diǎn)だった。うち、歴史的に伝えられてきたとされる品は96點(diǎn)で、12點(diǎn)は新たに出土したものだった。

磁器の出展品は、明代と清代に官窯で作られたもので、計(jì)352點(diǎn)の全てが故宮博物院の所蔵品だった。書(shū)畫(huà)の出展品は各流派の重要作家の作品を可能な限り網(wǎng)羅するようにした。書(shū)畫(huà)では故宮博物院だけでなく、中華民國(guó)初の國(guó)立博物館として北京市內(nèi)に設(shè)立された古物陳列所の所蔵品も出展された。

上海での予備展の終了後、出展された文化財(cái)は英國(guó)政府が派遣した巡洋艦に積載されて1935年6月6日に上海を出発し、インド洋、紅海、スエズ運(yùn)河、地中海を経由して、7月25日に英ポーツマス港に到著した。ロンドンでの特別展が始まったのは11月28日で、開(kāi)催場(chǎng)所はバーリントン伯爵の舊邸であるバーリントン?ハウスだった。この展覧會(huì)では、清朝皇帝の玉座とその付屬物が特に注目された。英國(guó)の専門(mén)家に評(píng)価され、一般見(jiàn)學(xué)者も注目した。英國(guó)各紙はこぞって報(bào)じた。

歐州ファッション界に中國(guó)ブームが到來(lái)、異文化に接すれば自らが変化する

この特別展はまた、歐州のファッション界に「中國(guó)ブーム」を巻き起こした。ボーグ（Vogue）誌は展覧會(huì)開(kāi)幕直前の1935年10月30日號(hào)で、中國(guó)仏像の衣紋裝飾や陶磁器の模様の色彩がファッションにもたらす影響を予測(cè)する記事を掲載した。展覧會(huì)が始まると、歐州のファッションデザイナーが展示品から創(chuàng)作のヒントを得ようと、次々に會(huì)場(chǎng)に足を運(yùn)んだ。例えば、唐代の大理石の菩薩立像に著想を得て、春用のロングスカートがデザインされた。華美で洗練され、軽くてしなやかなロングスカートに、多くのデザイナーが改めて注目することになった。

歐州のファッション界に影響を與えたのは彫像や絵畫(huà)だけではない。「書(shū)」の造形や黒と白のコントラストにヒントを得て、模様をプリントしたシルクのタイトスカートが発表された。當(dāng)然ながら、中國(guó)畫(huà)に描かれた人物の衣裝や帽子にヒントを得た作品が大量に作られた。歐州では王室メンバーや貴族、その他の上流階級(jí)の人々の間で、中國(guó)的な要素をもつファッションアイテムを何か一つは身にまとうことが、地位の象徴でありファッションセンスを示すと見(jiàn)なされるようになった。

ロンドンでの中國(guó)展は、歴史に輝く國(guó)際的な文化イベントだった。英國(guó)ロイヤルアカデミーのサー?ウィリアム?ルウェリン學(xué)院長(zhǎng)は、「これはもっとも素晴らしく、最も全面的な中國(guó)蕓術(shù)展だ。中國(guó)では歴史上のそれぞれの時(shí)期に、各種の蕓術(shù)が完成の域に達(dá)していたことが示された」と、展覧會(huì)と出展品を絶賛した。

展覧會(huì)とは、中立的な立場(chǎng)で作品を展示するものではない。どの作品を選び、どの様な配置で展示するかに主催側(cè)の判斷と意図が示される。國(guó)際的な展覧會(huì)や歴史的作品の展覧會(huì)では、その傾向がさらに強(qiáng)まる。ロンドンでの中國(guó)展では、一貫した「レール」が敷かれていた。それは、中英雙方の専門(mén)家が歴史の記憶と文化的認(rèn)識(shí)の文脈を通して中國(guó)の蕓術(shù)を評(píng)価し、解釈することを終著駅とする線路だった。それはまた、宮廷による蕓術(shù)作品の収集が中華文化の発展の中で果たした役割りを明示し、実物の蕓実作品によって、世界の文化蕓術(shù)の評(píng)価における中華文明の地位を確立することでもあった。

故宮は明朝と清朝の紫禁城であった時(shí)代を含めれば600年以上の歴史を歩んできた。これらの歴史的経験を振り返ることは、人々が現(xiàn)在、中華文化の価値を掘り起こし、文明の交流と相互參照を推進(jìn)し、異なる文明圏に暮らす人々の心のつながりを促進(jìn)する上で重要な意義を持つ。（構(gòu)成 / 如月隼人）