急成長を遂げる中國越境EC、その現(xiàn)在地は

中國新聞社    2023年7月14日(金) 5時(shí)0分

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北米をはじめ海外市場で「格安」旋風(fēng)を巻き起こしている中國の越境EC。その戦略とビジネスモデルはどんなものなのか。寫真はTemuのWEBページ。

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北米をはじめ海外市場で「格安」旋風(fēng)を巻き起こしている中國の越境EC。その戦略とビジネスモデルはどんなものなのか。將來、「ECの巨人」アマゾンを脅かす存在になるともいわれているが、果たしてその現(xiàn)狀と課題は―。

その他の寫真

米アメリカンフットボールリーグNFLの頂點(diǎn)を決める今年のスーパーボウルで、中國発のショッピングアプリTemuが1億元(約20億円)近くを投じて30秒のCMを2本放映した。スーパーボウルのCM料としては過去最高額だ。ワンピース9ドル、ウィッグ4.99ドルと「格安」をアピールしたCMだった。

「格安」「割引」を武器に、瞬く間に世界市場に進(jìn)出した海外版「拼多多」Temu。わずか半年で北米から歐州へと広がり、昨年9月には米國のショッピングアプリダウンロードランキングで「ECの巨人」アマゾンやファストファッションでは「先輩格」のSHEIN(希音)を抜いた。

Temuの北米での急速な発展はSHEINにとって大きなプレッシャーだ。2008年に始動した中國越境ECのユニコーン企業(yè)SHEINはすでに米國に根付いている。昨年の売上高は227億ドル、その6割以上が北米と歐州市場がもたらしたもので、アクセスユーザーの半分以上が米國籍だ。SHEINとTemuはすでに火花を散らしており、昨年12月には米國でSHEINがTemuを提訴した。

この2社の存在は大きいが、実際は氷山の一角にすぎない。歐米に限らず、東南アジアや中東の新興市場でも中國ECプラットフォームの進(jìn)出は目覚ましい。その多くが各地に「激安」ブームを巻き起こしている。

中國國內(nèi)ECはすでにレッドオーシャンだ。中國のインターネットの巨人たちにとって海外進(jìn)出以外の選択肢はなかった。こうした巨人たちの加護(hù)のもとに、TemuやTikTok Shopなどが越境EC市場に毆り込みをかけ、業(yè)界全體が戦闘モードに入っているのが現(xiàn)狀だ。

究極のコストパフォーマンスで海外市場に切り込んでいる中國越境EC。低価格で新境地を「切り開いた」プレーヤーたちは、商品品質(zhì)やサービスでもブレークスルーを果たすことができるかどうか。既存の海外ECの巨頭のアマゾンやeBayなどと渡り合い、世界クラスのプラットフォームになれるかどうか。その検証には依然として時(shí)間が必要だ。

「格安」旋風(fēng)の來襲

「Uberタクシーを呼んだら、ドライバーがナビ代わりのスマホを運(yùn)転席と助手席の間にあるカップホルダーに置いていたんです。それでスマホスタンドを勧めようと思って調(diào)べたら、Temuが一番安くて、見た目は同じものがアマゾンの10分の1、SHEINの半額でした。それでドライバーにTemuアプリのダウンロードを勧めました」。米國在住のある華人女性の話だ。あまりにも安すぎるため、ドライバーはにわかには信じなかったそうだ。

「コストパフォーマンスがいい中國のサプライ商品を米國の消費(fèi)者に売る。これは市場全體からみれば狙い目の穴場だ」。真格基金の投資ディレクター?秦天一氏はそう話す?!该讎摔咸詫殻ē骏啸─胜い趣いΔ长取X?cái)力のある企業(yè)が低価格競爭を続けるのはすごいことで、カギは全力でミラクルを起こせるかだ」という。

米商務(wù)省のデータによると、米國における昨年のEC売上総額は概算で前年比7.7%増の1兆341億ドルで、ここ10年近くでは低空飛行の部類だ。しかし、マッキンゼー?アンド?カンパニーの統(tǒng)計(jì)では、コロナを経てECの浸透率がトータルで33%アップしているという。ただし、インフレもここ10年で最高水準(zhǔn)に達(dá)していること、世界的に消費(fèi)者マインドの低下があること、こうした狀況のもとではコストパフォーマンスが重要な購買決定要因になるとも指摘している。

実際、2008年に誕生したファストファッションブランドの単獨(dú)サイトSHEINは、早くから「超ド級のコスパ」を武器に米國市場に食い込んだ越境ECの典型だ。

米國に留學(xué)中のある中國人學(xué)生は月に1、2度SHEINを利用するという。「安いので留學(xué)生にはありがたい」。しかし、最近になって友人の勧めでTemuを知った。同じものがSHEINより安く売っていた。

SHEINとTemuの海外市場でのつばぜりあいは価格から始まった。浙商証券の調(diào)べでは、服?シューズ?ファッション小物といったカテゴリーでTemuはSHEINをベンチマークしており、SHEINの53~80%の価格を?qū)g現(xiàn)しているという。

ZARAやSHEINに出品したことがあるビッグセラーの馮立さん(仮名)は「Temuではレディースのパーカーが送料込みで9.9ドル。米國では送料だけで6~7ドルするというのに」と話す。アパレルというサーキットでSHEINはTemuに目をつけられており、「SHEINでヒットした商品は必ずTemuでより安く買えるようになっている」ことに馮さんは気づいた。

Sensor Towerのデータによると、今年3月時(shí)點(diǎn)でTemuの登録ユーザーは5000萬を超え、そのうち2000萬がアクティブユーザーだという。また、月間取引額は10億ドルに達(dá)し、すでにSHEINを超えている。10年以上海外のファストファッション市場を耕してきたSHEINはすでに思い知っている。自分たちが無視できないライバルに直面していることを。

今年になってからSHEINはTemuを「攻撃」し始めた?!弗僵`シャルメディアでのプロモーションで虛偽と欺瞞に満ちた言葉を発した」「TemuとSHEINは関係があると消費(fèi)者に思わせる間違ったマーケティングをした」としてTemuを提訴したのだ。

Temuの意図は明白だ。越境ECのモデルについて検討した結(jié)果、SHEINのやり方を採用することにしたと、拼多多に近い人物が話す通りだ?!弗岍`カーにプラットフォームの運(yùn)営権はない。価格設(shè)定、マーケティング、販促はすべてTemuが握り、『サプライチェーン、プラットフォーム、海外の消費(fèi)者』という取引ラインを作る。出品者は商品を用意するだけ」だという。

Temuは國內(nèi)でもSHEINに襲いかかっている。SHEINの本拠地?広州に本部を移し、SHEINが十?dāng)?shù)年で作りあげてきた人材、サプライチェーン、ノウハウを狙って、常軌を逸したヘッドハンティングを展開し始めている。

「SHEINと対照的にTemuの低価格圧力は容赦がない。目先の利益にとらわれないやり方がそれを可能にしている。Temuによるサプライチェーンの『簒奪』にSHEINはプレッシャーを感じているはずだ」。広州のあるアパレルサプライヤーはそう話す。

フリーアナリストの程偉雄氏は、「TemuもSHEINも流通プラットフォーム。コストを抑えて低価格で販売するにはサプライチェーンのマネジメントが要になる。そこでの競爭が激化するのは當(dāng)然だ」という。

先述のアパレルサプライヤーは「Temuは賢い。巨人の肩に乗っているようなもの。SHEINのやり方に學(xué)び、ヒット商品の畫像をAIで変換してそのまま使うことまでしている」と話す。また、価格に敏感な層を格安商品で引きつけるTemuにとって、アパレル?ファッションは海外市場參入の格好の切り口だ。こうしてTemuはSHEINと直接火花を散らす関係になった。

報(bào)道によると、Temuは2月、北米での驚くべき売り上げ目標(biāo)を設(shè)定した。今年9月までに少なくとも1日の流通取引総額(GMV)でSHEINを追い抜くというものだ。5年以內(nèi)にGMV300億ドルという報(bào)道もある。300億ドルといえばもともとSHEINが設(shè)定していた今年の目標(biāo)額だ。これはSHEINが15年かけてたどりつこうとしている目標(biāo)額にTemuは5年で到達(dá)するということを意味する。

「すべての道はローマに通じる」

「10年前、モール型サイトも企業(yè)単獨(dú)サイトも低価格を戦略にするしかなく、國內(nèi)サプライチェーンの優(yōu)位性に頼って海外市場に出ていった」と跨境通物流公司のブランド戦略CEO?姜娜氏は話す。新たなプレーヤーがもたらしたさまざまなマーケティングモデルがここ數(shù)年で業(yè)界に浸透し、Temuの參戦に伴ってヒートアップしている競爭も多様化している。とはいえ、低価格が今も際立った強(qiáng)みであることは間違いないという。

しかし、低価格戦略の他に、何に依拠して海外市場で安定したポジションを得るか。こちらの方が長期的に考え、探るべきテーマだろう。

NewMeの創(chuàng)業(yè)者?顧俊氏は、Temuは情勢とタイミングを十分に推し量って北米に進(jìn)出したという。「ECのトッププレーヤーがその勢いを感じている。北米市場では淘汰が加速するだろう」と話す。

マクロ的にみれば北米は購買力があって、市場も成熟しており、客単価も高い。しかし、だからこそコストパフォーマンスのいい商品に消費(fèi)者が引きつけられる。だからTemuはミドル~ローエンドにターゲットを絞った。

姜娜氏は「Temuは大型プラットフォームの強(qiáng)みをうまく発揮した」とみる。「サプライチェーンに恵まれている大型プラットフォームは商品コストを安くできる。物流面でも人材面でも優(yōu)位だ」。低価格戦略は最初から売上利益を目指しているのではなく、潤沢な戦略資金を武器に一気に市場に切り込み、強(qiáng)力なユーザーの分裂を短時(shí)間で引き起こすのが目的だ。同氏は「Temuが前段でとった低価格戦略は確かに市場に一定の衝撃をもたらす。しかし、これは同時(shí)に、大型プラットフォームが參入してくる中で、単獨(dú)ECの強(qiáng)みをより発揮していくにはどうすればよいかと考えさせる」と指摘する。

単獨(dú)ECのSHEINは今でも売上高や純利益、GMVではTemuを上回っている。しかし、「初戦」で「勝利」を得たのは間違いなくTemuだ。

SHEINはもともとアマゾンが比較的苦手にしているアパレルで北米に切り込んだ。

今その後を追うTemuはアマゾンの得意分野の家電や雑貨だけでなく、SHEINのアパレルにも狙いを定め、成熟したEC市場で血路を切り開こうとしているのだ。

Temuのあるセラーの話では、デザインに問題なければ注文はまずまず入るという。以前はSHEINに商品を出していたが、次々と新商品を要求され、プレッシャーだったという。明らかなのは「Temuの運(yùn)営はモール志向、SHEINの運(yùn)営はブランド志向」ということだ。

以前、SHEINと提攜していたサプライヤーの高準(zhǔn)さん(仮名)は「死ぬか生きるか」という実感を強(qiáng)く持ったと振り返る。SHEINは「小ロット短納期」というアジャイル?サプライチェーン方式をとっている。したがって、市場と消費(fèi)者のニーズに基づいて生産しなければならず、柔軟な対応と調(diào)整が必要なため、高ランク(SHEINは提攜メーカーをランク分けしている)メーカーは毎月かなりの量の新商品を作り、そのうちいいものだけをスピーディーに出品することを迫られたという。いざ注文が入れば相當(dāng)な數(shù)が必要なので、工場は生産能力を絶えず上げねばならず、「それができないなら死ぬしかない」?fàn)顟B(tài)だったという。

SHEINはそうやってサプライヤーを品定めするやり方で、商品を高速かつ繰り返しバージョンアップし、大ヒット商品を生み出していたと高さんは話す。これは「どういうものが売れるかはSHEINが教える」というロジックであり、ブランド性が強(qiáng)い。対照的にTemuは、コストパフォーマンスのいい商品を全部モールに出品させる方法でヒットを生み出す。これは本質(zhì)的に「何が売れるかわからないから、試してみよう」方式で、位置づけ的にはワンストップ?サービスのショッピングモールだ。

Temuのバイヤーは「今がチャンス」といって出品を促す。今はまだモールの出品數(shù)が少ない。競爭が少ないから成功率が高いと。こうやってTemuは品ぞろえを広げていった。

これはB2Cプラットフォーム、アリエクスプレスのやり方に近い。中國企業(yè)は海外に進(jìn)出する過程でさまざまな困難に直面する。そもそもメーカーには越境ECのノウハウがない。だからアリエクスプレスはプラットフォームという土臺を用意し、進(jìn)出企業(yè)の面倒をそこですべてみるサービスモデルを新たに作った。企業(yè)側(cè)も自分に合った事業(yè)運(yùn)営方法を選ぶことができる。

SHEINとTemuの競爭戦略には內(nèi)在的ロジックの違いがあると、上海財(cái)経大學(xué)電子商取引研究所の責(zé)任者?崔麗麗氏は指摘する。レディース?ファストファッションのブランド単獨(dú)サイトの形で進(jìn)出したSHEINは、まずブランド認(rèn)知と一定の市場規(guī)模を作ってから商品カテゴリーを広げていった。その過程でアジャイルなサプライチェーンを創(chuàng)り出し、中國から海外に進(jìn)出したブランド単獨(dú)サイトのトップランナーになった。他方、Temuは「何でも売っている」を看板に掲げ、モール型としてアクセス數(shù)を切り口に進(jìn)出していった。それはオンラインプラットフォームのビジネスモデルに內(nèi)在するロジックであり、いわば「ユーザーの威光をもって出品者に令を発する(三國時(shí)代の故事『挾天子以令諸侯』をもじったもの)」もので、安定的なクロスサイドネットワーク効果(需要の増加が供給側(cè)の増加を引き起こす効果)を引き入れ、形成できるかどうかが成功のカギを握る。

実際、海外市場でブランドが認(rèn)知されるのは大変だ。崔氏はさらに分析を進(jìn)めて、中國越境EC企業(yè)の場合は各々がその強(qiáng)みを存分に発揮すべきで、実際の狀況をみてもある程度差別化できているのは確かだとし、「ブランド力とファストファッションのSHEIN、コンテンツの魅力をECに広げるTikTok、アクセス獲得力とコストパフォーマンスを武器にするTemu、萬能プラットフォームのアリエクスプレスといったように、中國の越境EC企業(yè)はそれぞれの能力の特性を活かして海外EC市場の懐に入っていっている。『すべての道はローマに通じる』だ」と話した。

22年11月13日、東京に世界初のSHEIN実店舗がオープン

ワールドクラスにはまだ及ばない

SHEINの焦りを生み出しているTemuだが、近い將來、アマゾンやeBayといったグローバルECの巨人をも脅かす存在になるだろうとECのある専門家は話す。

今、アマゾンとTemuに同時(shí)に出品しているセラーもいくつか出てきているが、単獨(dú)サイトZAFULもその1つだ。姜娜氏は、水著からファストファッションに転換し、メンズファッション、靴、バッグ、アクセサリーへと手を広げていったZAFULは、アマゾンやTemuといったプラットフォームにピッタリだと指摘する?!竄AFULは10年前にサードパーティー?プラットフォームとの提攜を開始し、昨年末にTemuとも契約し、今ではTemuで8つのショップを展開している。週間の注文は1500件前後、アマゾンでは3カ月の総売上の伸び率が106%と、目にみえて増えている」と話す。

同氏は、価格に敏感でコストパフォーマンスにとことんこだわるタイプの消費(fèi)者がアマゾンにもいて、それがおそらくTemuのユーザーとも重なるのだろうとみる。しかし、アマゾンのアクセス基盤と客単価であれば高価格商品でも十分にやっていけるのが事実で、その次元で考えれば、「今後はTemuも自社ブランド路線に走り、もっと高い価格帯にインキュベートしていく可能性がある」という。

ここ數(shù)年、越境EC業(yè)界は変化がめまぐるしい。2021年4月からアマゾンでアカウント?ロックの嵐が吹き荒れて、數(shù)百のサイトと億単位の資金が凍結(jié)され、中國企業(yè)も影響を受けた。このアカウント?ロックの嵐と在庫高止まりの陣痛を経て、いまではチャネルの多様化とブランド化がセラーのコンセンサスになっている。現(xiàn)在、セラー側(cè)は新しいモールへの參加を次々と進(jìn)めており、TemuやTikTokは特に人気が高い。

しかし、魔鏡市場情報(bào)の高峰CROによると、アマゾンには他の追隨を許さないプラットフォームがある。しくみも完成されており、オプションも充実している。生活用品をはじめ、どのカテゴリーでも一定のレベルに達(dá)している。やはり依然としてグローバルECのメインストリームだ。2021年のアカウント?ロック騒ぎで中國のセラーは多少減ったが、ここ數(shù)年は回復(fù)基調(diào)にある。

公表されている統(tǒng)計(jì)によると、越境ECの市場シェアはアマゾンが22%と斷トツであり、カテゴリーによっては8割のシェアを誇るものもある。

慈渓電子商取引協(xié)會の余雪輝會長は、「実際、アマゾンはここ數(shù)年で著実に発展している。アカウント?ロック騒ぎを経てメーカーにとっては好ましい狀況が生まれた。今までより製品力とユーザー體験が重視されるようになったが、これは裏を返せば、メーカーは製品で勝負(fù)できるということだ」と話す。同氏は、成熟した越境ECプラットフォームは価格で勝負(fù)するのではなく、コストパフォーマンスの高さを土臺にブランドを育てると強(qiáng)調(diào)する?!弗ⅴ蕙茎螭违ⅴΕ螗?ロック事件で、ビッグセラーはバブリーに注文を増やしても長続きせず、グローバル市場に身を置きたいなら基本はやはりしっかりとした製品力とブランド構(gòu)築だと実感した」と指摘する。

セラーでもある同氏はかつてTemuに充電式のミニ扇風(fēng)機(jī)とウォーターピックの見積りを出したことがある。しかし、ウォーターピックは価格が高いということで審査が通らなかった。アマゾンに出品していた単価80ドルほどの商品は、「もっと価格を下げろ」といわれて諦めた。

同氏によると、Temuの客単価は上がりつつあり、「格安」で顧客を引きつけるのは、最初はいいが長続きしない。サプライヤーとプラットフォームの両方がもうからなければ持続的発展はない。

ただ、越境ECのポータルサイト「藍(lán)海億観網(wǎng)」を立ち上げた呉以輝氏は、今のところ海外での中國ECの規(guī)模はアマゾンと比べるべくもないとはいえ、アマゾンにとってダメージがないわけではないとみる。長期的にみて、アマゾンの中國セラーがこぞってTemuなどに鞍替えすれば、市場シェアも徐々に変わってくる。昨年の中國セラーのGMVは2010億ドル、そのうちアマゾンでのGMVは26%だった。おそらく今年はもっと増えるだろう。

呉以輝氏は「TemuやSHEINをはじめとする中國越境EC企業(yè)は今、自身のブランド価値を熟成させているところだ」とみている。ECが成熟の域に入りつつある今日、Temuは低価格戦略で淘汰を加速させ、中國の小都市?農(nóng)村市場での戦術(shù)をコピーして米國の市場に食い込もうとしている。最終的に、格安総合ECモールとして歐米消費(fèi)者の心をつかみ、それが自分のプラットフォームだけで購買を完結(jié)してくれる顧客になれば、アマゾンの獨(dú)り勝ちになっている既存の市場シェアを奪うことも夢ではなく、歐米、東南アジア、中東などでも発展を追い求めることもできるだろう。

ただ、アマゾンに追いつくにはまだ長い道のりが必要だと、中國商務(wù)部研究院電子商取引研究所の洪勇副研究員はくぎを刺す。

洪氏は、「1つは、アマゾン並みの高度な物流?配送サービスを持たねばならないこと。もう1つは、ブランドの知名度と評価だ。アマゾンは世界中で知られており、評価も高い」と話す。中國の越境ECプラットフォームは、良質(zhì)の商品とサービスを提供すること、SNSを積極的に使ってマーケティングとプロモーションを行うこと、そうしたことを通じてブランド知名度と評価を上げることができるという。

22年11月16日、SHEIN東京ショールームのフォトスポットで寫真を撮る來店客

「目先の利益にとらわれるな」

最近、米國でSHEINが閉鎖になるかもしれないという情報(bào)が市場に流れた。これは、Temuの攻撃に囲まれ、バリュエーションの低下と成長鈍化に陥っていたSHEINをいっそういら立たせることになった。

情報(bào)によると、SHEINが直面しているのは稅務(wù)リスクだ。具體的には、米國の顧客がSHEINで買い物をした時(shí)、それは個(gè)人輸入扱いになり、800ドル以下の注文なら米國稅関に報(bào)告する義務(wù)はない。

しかし実際、SHEINは數(shù)十億ドル規(guī)模の商品を中國から米國に「輸出」している。米國からの注文単価がすべて800ドル以下というのは無理がある。従って、SHEINに脫稅の疑いがかかる恐れは十分にあるということだ。

これに対してSHEINは、米國民間機(jī)関のデマに対しては斷固としてこれを否定し、會社の権利と利益を死守すると公式に回答した?!袱铯绀厦讎畏嗓纫?guī)則にのっとり、現(xiàn)地で正當(dāng)な営業(yè)をしている」としている。

確かに米國の法律では800ドル以下の郵送物に関稅はかからないし、服、シューズ、ファッション小物といった中國から米國への商品小包は通常800ドル以下だ。SHEIN以外のB2C越境企業(yè)もすべてこの法規(guī)にのっとって合法的に関稅が免除されている。

同じことが南アフリカでも起こっている。現(xiàn)地の紡績労働組合が訴え出て、南アフリカ政府がSHEINを調(diào)査した。意図的に輸入関稅がかからない額の小包を発送して「稅逃れ」をしているか否かをはっきりさせるためだ。通常、南アフリカに衣料品を輸出した場合、40~45%の関稅がかかる。SHEINは「800ドル以下」を利用してこの関稅を避けている、というのが現(xiàn)地組合の言い分だ。SHEIN側(cè)は「わが社は一貫して現(xiàn)地のコンプライアンスに全力で取り組んでいる」と表明した。

中國政法大學(xué)財(cái)稅法研究センターの施正文主任は、國際小包のこの少額免稅制度は歐米のスタンダードだったが、越境ECの急速な発展で廃止に傾いている國が多いと指摘する。

施氏は、「B2C越境ECの取引は柔軟で多岐にわたる。しかし、少額免稅制度で巨額の貿(mào)易取引を?qū)g現(xiàn)しているのであれば、國家の稅収や業(yè)界の公平性に悪影響を與える恐れがある」とし、伝統(tǒng)的な貿(mào)易がデジタル貿(mào)易に発展し、將來的にそのデジタル経済が稅制度の改善と修正をもたらすだろうと分析する。多くの國の稅制度が再編期に入っているが、現(xiàn)狀の稅制度は世界的にバラバラで、國によって異なる。

同氏は、「企業(yè)は必ずコンプライアンス意識を上げ、それぞれの國?地域の制度に適合しなくてはならない。登記すべきは登記し、納めるべき稅は納める、ということだ」と念を押す。

網(wǎng)経社電子商取引研究センター越境EC部の張周平主任は、最初期の越境EC輸出は政策ボーナスを手にすることができ、ごまかしのきく余地があったと指摘する?!付悿蛱婴欷毪郡?、毎回、発送商品価格を800ドル以下に抑える企業(yè)も確かに存在した」という。しかし、企業(yè)はこれからますますコンプライアンスが重要になる。

日増しに競爭が激化している中で、アマゾンのような巨大プラットフォームだけでなく、小プラットフォームのユーザーをたくさん獲得して経営を維持する企業(yè)も出てきた。そう話すのは越境ECサービスのプラットフォームDMSの運(yùn)営責(zé)任者だ。特に今注目されているのは現(xiàn)地法人の設(shè)立だ。実はその背後で活躍しているのは代行會社で、煩わしい手続きはすべて引き受けてくれる。

リビング用品をメーンにした単獨(dú)サイトを運(yùn)営する馮立さんも各種のリスクを避けるため、歐州で海外法人を設(shè)立したばかりで、デザイナーや販売?配送チームも現(xiàn)地採用だ。これには2つの面でメリットがあるという。1つは、マーケティングと物流の問題を解決してくれること、もう1つは、ローカライズの過程で稅務(wù)や知的財(cái)産権といったリスクを十分にクリアできることだ。

馮さんは、「海外の稅法體系は中國國內(nèi)とは違うし、財(cái)務(wù)規(guī)範(fàn)も異なる。リスクは非常に高い」と話す。自社単獨(dú)サイトは稅申告なども全部自分でしなければならず、問題があればそれがリスクになってしまうという。

「中國の越境ECにとって、海外との文化の違いや現(xiàn)地當(dāng)局の規(guī)制は試練だ。國が異なれば、文化的背景、消費(fèi)習(xí)慣、法制度なども異なる。越境ECはこれを乗り越え、商品?売り上げ?サービスなどの分野で現(xiàn)地のニーズとルールに合った狀態(tài)を確保する必要がある。それだけではない。ECに対する規(guī)制は國によって違いがあり、稅の徴収や稅関などにも違いが存在する」と洪勇氏は話す。中國の越境ECが続々と急ピッチで海外に進(jìn)出し、業(yè)界の発展がどんどん高度な段階に入っていけば、試練も不確実な要素もそれに応じて増えていく。

こういう狀況で重要なのは臨機(jī)応変な対応力だと崔麗麗氏は言う。コンプライアンスは海外に進(jìn)出する中國企業(yè)の共通の課題だ。法律、商習(xí)慣などさまざまな違いに対応し、生産、仕入れから末端の販売まで、漏れなくコンプライアンスを徹底していかねばならない。

「チェーン全體に契約精神を貫き、目先の利益にとらわれないことだ。経営マネジメント上の規(guī)範(fàn)を無視すれば、致命的なリスクを招くことになる」。崔麗麗氏の警鐘は、いつか現(xiàn)実のものになるかもしれない。(提供/中國新聞週刊?取材/孟倩?翻訳/脇屋克仁)

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