中國は長年にわたり米國が輸入する商品の供給國だったが、米國側(cè)統(tǒng)計によれば、メキシコが中國を抜いて最大の供給國になった。その他にも、中國を取り巻く「貿(mào)易環(huán)境」は変化しつつある。

統(tǒng)計により結(jié)論は違っても、貿(mào)易構(gòu)造の変化は確実

米商務(wù)省によれば、2023年1－5月の米國の中國からの輸入額は前年同期比24％減1686億ドル（約23兆4000億円）だった。米國の輸入額全體に占める中國からの輸入額の割合は前年同期よりも3．5ポイント低下した13％だった。一方で、米國のメキシコからの輸入額は前年同期比5％増 の1950億ドル（約28兆円）で、輸入額全體に占める割合は1ポイント上昇の15％だった。

米國と中國では貿(mào)易統(tǒng)計の方法に違いがあり、中國側(cè)によると、米中貿(mào)易は落ち込んではいるものの、23年1－5月も中國は米國に最も多くの商品を輸出している國だ。

中國と米國で貿(mào)易統(tǒng)計の數(shù)字が異なる理由は主に二つだ。まず米國は輸出額をオフショア貨物の価格で計算し、輸入額を著岸貨物の価格で計算する。著岸価格で計算した場合とオフショア価格で計算した場合では、運賃や保険料などで差が生じる。また、中継貿(mào)易でも雙方の數(shù)字に違いが生じる。例えば、ある商品がシンガポールを経由して米國に輸出された場合、中國はシンガポールへの輸出と見なして統(tǒng)計に組み入れ、米國は原産地規(guī)則に従って中國からの輸入として統(tǒng)計を出す。

米中の統(tǒng)計に差はあるものの、両國の貿(mào)易がピークを過ぎたことは事実だ。この転換には景気循環(huán)、貿(mào)易ルール、地政學(xué)的要因が複合して作用している。

中國の対米輸出額の減少は先進(jìn)國の景気循環(huán)と合致している。中國から歐州の多くの國への輸出も23年になってから一定程度減少している。中國の米國とEU諸國への輸出が落ち込んでいることには、先進(jìn)國で利上げが経済成長にマイナスの影響をもたらしていることを反映している。

利上げに伴う借入コストの高騰は、消費と企業(yè)の支出を圧迫する。最初に影響が出たのは先進(jìn)國だが、経済成長の冷え込み圧力は急速に世界全體に波及し、新興市場と発展途上國の経済に悪影響がもたらされる可能性がある。

アジア地域も貿(mào)易の落ち込みの影響を受けている。アジアは世界の製造業(yè)の中心地であり、世界全體の貿(mào)易の狀況の影響を受けるのは必至だ。製造業(yè)を営む上で、中國の代替地と見なされるASEAN諸國も影響を受けている。23年5月時點で、臺灣から米國への輸出は前年同期比9％減、ベトナムの対米輸出は同17％減、韓國の対米輸出は12％減だ。中國から米國への輸出の減少は、中國に特有の事情ではなく、アジア全體の文脈の一部だ。

利上げの影響だけでなく、新型コロナウイルスの影響も続いている。感染癥にともなう経済上の影響を受けた先進(jìn)國の消費者は、以前に比べれば電子製品や住宅內(nèi)裝、その他の消費財への支出をしなくなった。外食や旅行、その他のサービスへの支出は回復(fù)しつつあるが、その他の分野に「しわよせ」が発生している狀態(tài)だ。一部の貿(mào)易問題専門家はこの電子製品販売の波動を「エレクトロニクス?サイクル」と呼んでいる。

中國の対米輸出貿(mào)易の減少は「エレクトロニクス?サイクル」が衰退期である影響を強(qiáng)く受けている。米商務(wù)省のデータによると、日用品や電化製品など幅広い分野で中國製品の輸入量は減少している。半導(dǎo)體の輸入額は半減した。

電子製品の中でチップは重要な部品であり、チップの需要は電子製品の市場を強(qiáng)く反映する。消費者が電子製品の購入を減らせば、必然的にチップの受注に影響を及ぶことになる。中國の貿(mào)易データが低調(diào)なのはある程度、電子製品の需要が周期的に衰退していることが反映されている。

中國を取り巻く貿(mào)易チェーンが再構(gòu)築

ただし、中國は他のほとんどの新興國との貿(mào)易は好調(diào)だ。中國から中東や中南米などへの輸出は増加ししている。中國の相手國は、中國からの天然資源関連への投資も好感しており、雙方は経済の結(jié)びつきを強(qiáng)めていると言える。中國からロシアへの輸出の急増は、両國の密接な関係や、ロシアからの輸入に西側(cè)が科した制裁の影響も反映している。中國は新興國市場への安価な電気自動車やスマートフォンの輸出でも成功し、高価な西側(cè)先進(jìn)國の商品を押しのけている。中國は23年第1四半期（1－3月）には日本を抜いて世界最大の自動車輸出國となった。

中國は引き続き世界貿(mào)易を主導(dǎo)している狀態(tài)だ。世界貿(mào)易機(jī)関（WTO）によると、22年の世界の物品輸出に占める中國のシェアは14．4％で、新型コロナウイルス感染癥が発生した前年の19年の13％を上回った。22年には、世界の商品輸出総額の8．3％を米國が占め、6．6％をドイツが占めた。

「中國抜き」のサプライチェーンは是か非か

もう一つ注目すべきことは、中國と米國が新たな貿(mào)易秩序を構(gòu)築しようとしている製造業(yè)の中心であるメキシコの貿(mào)易額が23年に増加傾向を維持していることだ。

ここ數(shù)年來、多くの中國企業(yè)がコスト上昇と関稅の影響でメキシコに工場を建設(shè)するようになった。メキシコに建設(shè)された工場は、現(xiàn)地での調(diào)達(dá)率を徐々に拡大しているが、多くの重要部品は依然として中國から輸入せねばならないために、液晶パネル、電話機(jī)、自動車部品などが中國からメキシコに多く輸出されるようになった。こうした中國からの輸入部品は、メキシコで完成品に加工されて米國に輸出されている。

間接的な輸出は「中國からの輸出の実情」を分かりにくくしているが、米國には、中國は原産地規(guī)則の抜け穴を利用して関稅を回避しているとする見方がある。米國のトランプ前政権が北米自由貿(mào)易協(xié)定（NAFTA）の改訂に動いた理由の一つは、従來のNAFTAでは原産地規(guī)則が緩く、北米外からの、特に中國からの輸入の増加を容認(rèn)していることだった。米國はその他にも、中國からの間接輸入の抜け穴をふさごうとする規(guī)制措置を次々に実施してきた。

米國がバイデン政権に交代しても環(huán)太平洋経済連攜協(xié)定（TPP）に戻らなかったのも、米國から見ればTPPの原産地規(guī)則は緩く、中國がTPPのメンバーでなくても、中國製の部品などを多く含む製品が免稅で米國に入ることができるからだった。米國の政策立案者は、TPPは中國への依存を減らすのではなく増やすことになると考えて、TPP入りを取りやめた。

キャサリン?タイ米國通商代表は最近になり「コストと効率を優(yōu)先する貿(mào)易ルールは、いかなるものでも最終的な受益者が中國になる。新たな貿(mào)易システムは安全保障など他の要素を考慮した上で構(gòu)築され、サプライチェーンへの中國への依存を徐々に切り離していくべきだ」と述べた。

一部のエコノミストは、今後數(shù)年間は世界貿(mào)易の増加ペースが世界経済の成長ペースを下回ることで、長年にわたる世界経済の統(tǒng)合の流れが反転し、世界の貿(mào)易が打撃を受けると考えている。國際通貨基金（IMF）は最近の報告書で、豊かな國からの投資先が他の先進(jìn)國に移行する流れが強(qiáng)まり、経済発展のために外國からの投資を必要とする途上國にダメージを與えると予想した。

中國からの製造業(yè)の移転のために、一部の発展途上國は利益を得るとの見方もあるが、エコノミストの間では、さまざまな壁が自由貿(mào)易全體に悪影響をおよぼすとの懸念が広がっている。オックスフォード?エコノミクスの駐シンガポールシニアエコノミストのアレックス?ホームズ氏は、現(xiàn)在の貿(mào)易構(gòu)造の転換が世界のGDPに、全體的にマイナスの影響を及ぼすとの見方を示した。（翻訳?編集/如月隼人）