世界の4大古代文明と言えば、西からエジプト文明、現(xiàn)在のイラクを中心に栄えたメソポタミア文明、インド?パキスタンで栄えたインダス文明、そして中國の黃河文明だ。中國ではその他の古代文明も存在し、互いに密接なつながりを持っていたとしてより広く「中華文明」などと言われることも多い。4大古代文明の中で中華文明が特異なのは、統(tǒng)治システムなども含めて大きく変化しつつも現(xiàn)在まで斷絶することなく継続していることだ。そのような中華文明の特徴とは何なのだろう。中國社會(huì)科學(xué)院中國史研究院の李國強(qiáng)副院長はこのたび、中國メディアの中國新聞社の取材に応じて、中華文明の特徴について説明した。以下は李副院長の言葉を整理して再構(gòu)成したものだ。

自然環(huán)境に加えて漢字による記録が文明の継続に有利に

世界では、多くの優(yōu)れた文明がさまざまな原因で途絶えたり消えたりした。中華文明は発生時(shí)期が最も古い文明ではないが、世界で唯一の途切れたことのない文明だ。

中華文明では、農(nóng)耕文明、遊牧文明、海洋文明が相互に浸透して內(nèi)容を大いに豊かにする狀況が発生した。ただし、その発展過程は順風(fēng)満帆ではなく、多くの激動(dòng)の時(shí)期も経験した。政治的に分裂した時(shí)期もあった。しかし文明の命脈が斷たれたことはない。

中華文明の発展過程を見ると、人や物資が集結(jié)しやすい地理環(huán)境、広大な領(lǐng)域、多くの人口が常に、中華文明が継続する基礎(chǔ)條件を構(gòu)成した。さらに、漢字は甲骨文から篆書、楷書に至るまで、基本的な特徴が一貫してきた。古い文獻(xiàn)でも內(nèi)容の理解が比較的容易であることなどで、漢字の定著は中華文明を継続させる重要な要因になった。さらに中華文明では古くから文化人が重視され、豊かで多層的な教化體系や、文化を安定して継続させるメカニズムが形成された。

中國にはまた、獨(dú)特の歴史學(xué)の伝統(tǒng)がある。過去の出來事を記録して殘すという習(xí)慣も、中華民族が自らの特徴に合った道に沿って絶えず前進(jìn)することを促した。中華民族は要するに、革新の中で発展する方式を確立した。このことこそ、中華文明が連続性を保ってきた鍵だ。

外部文明を取り入れたからこそ持続した

世界の他の文明を見てみよう。例えば、古代エジプト文明やメソポタミア文明だ。どちらも長期にわたってそれぞれの文明形成初期の社會(huì)構(gòu)造と文化特性を維持したが、それほど大きな変化はなく、最終的には硬直化して沒落していった。両文明ともは他の文明に対してより排斥的な態(tài)度を示した。その結(jié)果、困難に直面した際に外來文明を積極的に取り入れて自らが復(fù)興する機(jī)會(huì)を失ってしまった。

中華文明は外來文明を大いに取り込んだ。中央アジアの遊牧文明、ペルシャ文明、インドの仏教文明、アラブ文明、ヨーロッパ文明などを自らの中に溶け込ませた。中國には「和羹之美（わこうのび）」という言い方もある?！袱丹蓼钉蓼适巢膜蛉冥焙悉铯护恐铯长矫牢钉扦ⅳ搿工趣いσ馕钉?。中華文明は外來文化を大切に扱い、有益な成分をくみ取り、互いの違いを尊重し、調(diào)和し共生することを重んじてきた。ただし中華文明は一方で、異なる文明と対話しつつも根本的には自民族の文化的特性を守った。

中華文明の価値は、古くから続いていることだけにあるのではない。中華文明は平和や和睦、調(diào)和を極めて重視してきた。それらは、中華民族の変わらぬ崇高な志だった。この価値観は、現(xiàn)在の人類にとっても大いに役立つ。

例を挙げよう。敦煌や福建省の泉州には仏教、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教などの外來宗教も定著した。世界史を見れば、異なる宗教の勢(shì)力が爭った事例は多い。大規(guī)模な戦爭も発生した。しかし敦煌や泉州では平和的に共存し、互いに接觸しても調(diào)和は失われず、各宗教はそれぞれに発展した。

また、明代の鄭和は前後7回にわたり大航海を行った。鄭和の艦隊(duì)はインド洋、紅海アラビア、アフリカ東海岸の30余りの國と地域を旅した。特に素晴らしかったのは、鄭和はマゼランやコロンブスなど西洋の「新大陸の発見者」と違って、外國の土地を全く占領(lǐng)しなかったことだ。

西洋人によるアヘン戦爭以來の差別視は今も殘る

西洋人は、歴史上の中國と現(xiàn)代中國を「異なる中國」と見なすことがある。しかし現(xiàn)代世界は歴史上の世界の延長であり昇華だ?，F(xiàn)代中國は歴史上の中國の延長であり昇華だ。人々が目にする現(xiàn)在は、すべて過去から続いてきたものだ。これは人類の社會(huì)に対する基本的な認(rèn)識(shí)にすべきだ。習(xí)近平主席も述べたように、中國は歴史の長い連続性から認(rèn)識(shí)せねばならない。そうしなければ、古代中國を理解することも、現(xiàn)代中國を理解することも、まして未來の中國を理解することもできない。

歴史上の中國が人類文明に貢獻(xiàn)した事例は極めて多い。例えば、19世紀(jì)初頭に西洋諸國はより近代的な官僚制度を構(gòu)築し始めたが、その際には中國の科挙制度の強(qiáng)い影響を受けた。當(dāng)時(shí)は多くの西洋人が、中華文明を稱賛していた。

狀況を一転させたのはアヘン戦爭だった。多くの西洋人がそれまでの考えを捨て、西洋文明は世界の発展をリードすする最も先進(jìn)的な文明で、東洋文明、特に中華文明は保守的で立ち後れており、中國人は愚かなので、「改造」されてしかるべきだと考えた。甚だしきに至っては、「毆ってでも改めさせねばならない」と考えるに至った。

このようにして確定された「西洋中心主義」思想は、西洋人の東洋を見る基本的立場と観念を変えていった。影響は現(xiàn)在も続いている。

ただし中國側(cè)にも至らぬ點(diǎn)があった。中華文明を広く世界に伝える點(diǎn)で、強(qiáng)化と改善がもっと必要であることは間違いない。歴史研究者は、中華民族や中華文明についてより全面的に深く研究し、世界に向けても説明していかねばならない。中華文明の由來、內(nèi)包、特質(zhì)、心意気をはっきりと説明してこそ、國際社會(huì)の中國に対する誤解、歪曲（わいきょく）、疑問によりよく対応することができる。國際社會(huì)で思想の交流と対話を展開し、より多元的な方式で情報(bào)の対外発信に努めれば、中華文明は博物館や書物だけに殘されているのではないことを海外の人々に真に理解してもらうことができる。そのような努力を通じて、長い歴史を経て現(xiàn)代に至った中國をより正確に理解してもらい、中國は信頼でき尊敬できる國であり、愛すべき國であると実感してもらうことができるはずだ。（構(gòu)成/如月隼人）