「世界に一つだけの花」が私と日本の出會いだった―中國人學生

日本僑報社    2023年9月3日(日) 8時30分

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まだ幼なかった小學1年生の時、彼女たちが演奏する不思議な美しい曲を聴きました。それが「世界に一つだけの花」でした。

強いリズムの打楽器を伴って中國の伝統楽器二胡を奏でる女子十二楽坊は「茉莉花」(ジャスミンノハナ)のような中國の古典曲のみならず、自由奔放な西洋音楽をも中國の民族楽器で演奏したので、日本でも一大ブームを巻き起こしました。まだ幼なかった小學1年生の時、彼女たちが演奏する不思議な美しい曲を聴きました。それが「世界に一つだけの花」、私と日本の出合いでした。

歌詞の意味も分かりませんでしたが、受験勉強や入學試験など何かに真剣に取り組んだ時に、いつもこの曲を心の中で口ずさんでいました。その時、「私も楽坊のお姉さんたちと同じように、二胡を持って舞臺に上がりたい」という夢が心の中に芽生えました。このことをきっかけに、日本に興味を持ち、二胡を學び始めました。

2011年5月7日、東日本大震災の被災者の方々を支援するために、著名な二胡演奏家崔學東さんが日本の三味線演奏家浜盛重さんと、愛知県名古屋市の中村文化小劇場でチャリティーコンサートを開催しました。この中日両國の演奏家が共演した演奏會では、二胡の穏やかで低い響きと三味線の南方風の音色が鮮やかにコラボレートし余韻はいつまでも私の心に響いていました。そして、観客席で曲名すら知らない曲に目を潤ませている人々の姿を見て、音楽には心を動かし、共感させる力があることを実感しました?!杆饯舛蛞长?、美しい音で相手に感動を伝えたい」と、子供のころから持っていた心の夢は、さらに大きく育っていきました。

その夢を胸に、2020年9月、私は西安外國語大學の日本語科に入學し、日本語を勉強するために、二胡を背負い西安へ向かいました。2年生になってから、相互學習で日本の関西外國語大學の風花さんと知り合いになりました。風花さんは中國には一度も來たことがありませんが、中國文化に憧れを持っている明るい日本の女の子です。私が二胡を演奏しているビデオを彼女に送ったら、「これが二胡、大好き!」と彼女はたいへん興奮していました。私は「そうなの、私は小學1年の頃からずっと二胡の練習をしていたの。演奏會にも出たこともあるのよ」と、自慢げに答えました。「へえー、かっこいい!私はまだ中國に行ったことがないんだけど、二胡の音を聞くとね、すぐにまだ見ぬ中國が心に浮ぶわ。音楽ってそこまでの不思議な力があるのね」と風花さんは言いました?!敢魳Sの力」、彼女と音楽の話を重ねていくうちに、その言葉が私の心に実感として沸いて來ました。

中國の著名な社會學者、人類學者である費孝通先生は文化の交流について、「各美其美、美人之美、美美與共、天下大同」と述べておられます。それは、「人々には美しいところがある。それを見つけて、さらにその目で人の美しさを見つけようとすれば、世界は一家族のごとく睦まじくなるのだろう?!工趣いσ馕钉扦?。確かに、人は環(huán)境、言葉、思想、肌の色もそれぞれ違えば、性格や顔形も一人ひとり違います。しかし、その違いこそが、まさに「世界に咲く一つだけの花」のように、美しいものではないでしょうか。音楽もそうだと思います。たとえ歌詞や曲名が分からなくても、その曲が持っている本來の美しさに人は心を打たれるのです。崔學東さんの二胡に涙した観客、それがそのことをもの語っていると思います。

これからの人生で、日本人に限らず、いろんな國の人々と交流する機會があると思います。その時、たとえ言葉が通じなくても、「音楽の力」を掛け橋にしてコミュニケーションをしたら、きっとお互いの心の距離を縮め、親近感を高めることができるだろうと思います。これが、二胡を練習し、日本語を勉強してきた私の大きな寶物だと思っています。

■原題:音楽をコミュニケーションの掛け橋にしよう

■執(zhí)筆者:覃越(西安外國語大學)

※本文は、第18回中國人の日本語作文コンクール受賞作品集『日中「次の50年」――中國の若者たちが日本語で綴った提言』(段躍中編、日本僑報社、2022年)より転載?編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。


※記事中の中國をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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