ボーイズラブ（BL）小説がネットから削除され、作者が警察に呼び出される。時には逮捕され有罪判決を受けることもある。日本でも話題となった中國のBL規(guī)制だが、その背後には「社會主義への回帰」という大きな流れがある。

【その他の寫真】

■中國のBL小説人気

2014年7月2日、全國ポルノ違法出版物取り締まり弁公室はポルノ小説摘発など29件の事例を発表した（財新網(wǎng)）。チャットグループでのポルノ情報のやりとりなどもあげられているが、メインのターゲットは小説サイトだ。大手IT企業(yè)が運営する小説サイトから狹いジャンルの愛好家が集う中小サイトまで摘発を受けている。また數(shù)年前にはBL小説の作者が有罪判決を受けたこともある。

中國では有料小説サイトが人気で、ネットサービスの中でも根強い人気を誇る大ジャンルを形成している。數(shù)十萬人のネット小説作家がいるとみられ、トップは作家長者番付にランクインするほどの収入を得ている。その人気ジャンルの一つがBLだ。中國語で「耽美小説」「BL小説」と呼ばれるジャンルだが、「日本の影響を受けた、女性読者を?qū)澫螭趣筏磕行酝郡螒賽郅蛎瑜弗悭螗搿工扦ⅳ搿?/p>

なぜBL小説の検閲や作家の逮捕が問題となるのか。第一に表現(xiàn)の自由の侵害であるため、第二に同性愛者の権利を侵害しているためだ。同性婚を認める國も増えつつある中、弾圧は時代に逆行したものと言えよう。

なぜ中國はBL小説を弾圧するのか？そこには獨自のロジックがある。それが社會主義家族観だ。

■「出産は義務(wù)」社會主義家族観

近代國家では戀愛は個人の自由が建て前である。そのため同性同士でも本人の自由意思によるなら干渉をするものではなく、同性婚が容認されるようになるわけだ。ところが社會主義國家の家族観は違う。

「男がいて女がいて、そして國家がある」と考える。つまり夫婦は「國家に対し、次世代を擔(dān)う子を産み、育てる」という義務(wù)を負っている(1)。同性愛者など子を産むことができないカップルは、義務(wù)を履行するできないため容認されない。

この社會主義家族観は中國婚姻法第10條に象徴的だ?！羔t(yī)學(xué)上結(jié)婚するべきではない病気に罹り、結(jié)婚後も治癒しない場合」には婚姻は無効だと定めている。この病気とは性的不能などを指す?！缸婴驓垽护胜ふ撙辖Y(jié)婚するな」という國家の意思が體現(xiàn)されているわけだ。

ちなみにこのような家族観は中國だけのものではなく、ベトナム、北朝鮮、舊東ドイツ、舊ソ連などにも類似する條文や夫婦の國家に対する義務(wù)を謳った條文は確認できる。まさに「全體の利益」を重んじる社會主義法ならではの発想だ。

■BL規(guī)制と一人っ子政策の根源は同じ

「世界中が同性愛を認める方向なのに、中國だけは弾圧の方向に動いている。我々は自分たちの地位を求めているわけではない。こんな人もいることを認めてほしいだけなのだ?！?/p>

筆者が中國である同性愛者から聞いた言葉だ。當然の意見に思えるが、社會主義國家では同性愛者は「子を産み、育て、國家の未來に貢獻する」という義務(wù)を果たすことができず「認める」ことすらできない存在なのだ。冒頭に述べたように、BLサイトが人気を博すなど中國ではBLサイトに寛容な姿勢を示すようになったと思われた。しかし最近のBL規(guī)制はこの社會主義家族観への回帰と言えるのではないだろうか。

昨今、インターネット上の規(guī)制強化など、社會主義回帰を思わせる規(guī)制強化が隨所に見られた。インターネット世論は中國の體制にも影響を與えるため、規(guī)制するのは當然と言えよう。しかし直接的には體制と関係ない家族観までもが社會主義回帰を始めたというのは大きなことだ。

「子を殘す義務(wù)」について言及してきたが、國家への貢獻が最優(yōu)先される社會主義家族観ではその逆もありうる。それが一人っ子政策だ。

國家が「子は少ない方がいい」と判斷したら夫婦は當然にこれに従う義務(wù)を負うわけだ。國際社會からは「産む自由もないのか！」と批判されているが、「そうです、産む自由はないのです」というのが中國の論理である。

総括すると現(xiàn)在の中國の家族政策は「男は必ず女と」、「女は必ず男と」結(jié)婚しなければならず、産む子どもの數(shù)にも規(guī)制があり、それが「國家から夫婦に課された義務(wù)である」という非常に制限的なものであるということだ。

(1)福島正夫「社會主義の家族法原理と諸政策」福島正夫（編）『家族 政策と法5社會主義國?新興國』東京大學(xué)出版、1976年、25頁。

◆執(zhí)筆者プロフィール：高橋孝治（たかはし?こうじ）

日本文化大學(xué)卒業(yè)。法政大學(xué)大學(xué)院?放送大學(xué)大學(xué)院修了。中國法の魅力に取り憑かれ、都內(nèi)社労士事務(wù)所を退職し渡中。現(xiàn)在、中國政法大學(xué) 刑事司法學(xué)院 博士課程在學(xué)中。特定社會保険労務(wù)士有資格者、行政書士有資格者、法律諮詢師、民事執(zhí)行師?！芍J詢師（和訳は「法律コンサル士」）、民事執(zhí)行師は中國政府認定の法律家（試験事務(wù)局いわく初の外國人合格とのこと）?！篧henever北京《城市漫歩》北京日文版増刊』にて「理論から見る中國ビジネス法」連載中。ブログ「中國労務(wù)事情」を運営。