半導(dǎo)體の生産は東アジアに偏りすぎたため、その調(diào)整と最先端技術(shù)の囲い込みが始まっている。歐米各國は巨額の予算を計(jì)上し、半導(dǎo)體産業(yè)の誘致と育成に力を入れている。米國の制裁を受ける中國にとっては、そうした動(dòng)きは死活問題だ。そこで従來メーカーの他、スタートアップ、スマホメーカー、さらには自動(dòng)車メーカーなどが半導(dǎo)體の自社開発に乗り出している。

ここでは自動(dòng)車メーカーを取り上げる。EV（電気自動(dòng)車）への電力配給に欠かせないパワー半導(dǎo)體や、畫像処理に特化したGPU（Graphics Processing Unit）など、各社それぞれの切り口で研究開発を競(jìng)っている。

蔚來汽車、自動(dòng)運(yùn)転のSoC開発に成功

新興4～5社で構(gòu)成される「造車新勢(shì)力」の1つ、蔚來汽車は自社開発の自動(dòng)車用SoC（System On Chip）の開発に成功した。

蔚來汽車は2014年設(shè)立。創(chuàng)業(yè)者の李斌（リー?ビン）氏は北京大學(xué)在學(xué)中の1996年に北京南極科技というサービスプロバイダーの先駆的企業(yè)を創(chuàng)業(yè)した。2000年に自動(dòng)車メディア「易車網(wǎng)」を創(chuàng)業(yè)し、2010年にニューヨーク市場(chǎng)に上場(chǎng)するという大成功を収める。李斌氏は2018年までCEOを務(wù)めた。蔚來汽車はその間の2014年に立ち上げたが、こちらも2018年にニューヨーク市場(chǎng)への上場(chǎng)に成功した。2022年の販売臺(tái)數(shù)は12萬3000臺(tái)、売り上げは492億6700萬元（約9853億円）で、造車新勢(shì)力と呼ばれるグループではトップだ。ただし赤字からの脫卻はまだ実現(xiàn)していない。

その蔚來が9月末、自社開発のLiDAR（レーザー光を使ったリモートセンシング）制御用SoC「NX6031」を量産すると発表した。開発チームには800人が在籍しているが、主力の外國製品と比較して、電力消費(fèi)は50％減、処理スピードは30％増、処理能力は毎秒800萬回を達(dá)成したという。

これにより、自動(dòng)運(yùn)転の基幹デバイスであるLiDARのコスト管理が可能となった。それだけの話だが、業(yè)界関係者は、これは蔚來の競(jìng)爭(zhēng)力に大きく貢獻(xiàn)すると見ている。LiDARのコストは高額のため、このSoCは全體のコストパフォーマンスに影響すること、そしてこの研究自體が車の安全性能向上に寄與することを評(píng)価しているのだ。今回の開発成功により、蔚來が造車新勢(shì)力グループから一歩抜け出せるかどうか。

領(lǐng)克、國産新型半導(dǎo)體をSUVに実裝

領(lǐng)克（LYNK＆CO）は國産新型半導(dǎo)體を新モデルに実裝した。領(lǐng)克は吉利汽車とボルボが提攜して生まれた高級(jí)ブランドで、2016年から新車の開発に取りかかり、2017年に「領(lǐng)克01」と「領(lǐng)克03」を発表。2023年9月に純電動(dòng)の中型SUV「領(lǐng)克08」を発売した。価格は20萬8800～28萬8000元（約418萬～576萬円）で、最も競(jìng)爭(zhēng)の厳しいクラスだ。

この新型車に中國生産初の7nmチップ「龍鷹1號(hào)」が搭載された。これは吉利グループ傘下の億咖通科技（ECARX）と安謀中國（アーム?チャイナ）の合弁企業(yè)、湖北芯擎科技が開発した。つまり、ボルボとアームの技術(shù)が絡(luò)んでいるのだ。2021年末から300人以上のエンジニアが開発を進(jìn)め、2022年末に量産體制を構(gòu)築し、ついに実裝にこぎつけた。

「龍鷹1號(hào)」は自動(dòng)運(yùn)転を擔(dān)うGPUとそのオペレーションシステムに組み込まれる。性能は、現(xiàn)在一般に使用され、高性能車載チップのベンチマークモデルである米クアルコムのSnapdragon8155と同等という。代替製品の開発に成功したということだろう。

BYD、半導(dǎo)體子會(huì)社を運(yùn)営

BYD（比亜迪）には2004年設(shè)立の半導(dǎo)體子會(huì)社「比亜迪半導(dǎo)體」がある。主にパワー半導(dǎo)體、制御用IC、光電半導(dǎo)體などを研究開発し、生産販売まで行っている。自動(dòng)車メーカーはもとより、工業(yè)、家電?電子製品、新エネルギーなど他業(yè)種へも供給している。

最重要はもちろん自動(dòng)車分野だ。最新の報(bào)道によると、IGBT（パワー半導(dǎo)體に適するトランジスタ）、SiC（パワー半導(dǎo)體材料のシリコンカーバイド）など高水準(zhǔn)の最新パワー半導(dǎo)體製品を開発している。すでに開発、応用の技術(shù)蓄積が進(jìn)み、半導(dǎo)體の設(shè)計(jì)、ウエハー製造、パッケージング、動(dòng)作やアプリケーションなどの各種テストまで、獨(dú)自のサプライチェーンを形成した。今年6月には、2億1400萬元（約42億8000萬円）を投じ、SiCウエハーの生産能力を1．5倍、年産1萬8000枚に引き上げる計(jì)畫を発表した。さらに、追加投資により、4インチウエハーでは世界水準(zhǔn)の生産設(shè)備になるという。また、IGBTの國內(nèi)シェア（2023年1～7月）は38％に達(dá)し、2位の獨(dú)インフィニオン?テクノロジーズの16％を大きく上回る。

BYDはパワー半導(dǎo)體、他社は自動(dòng)運(yùn)転へ

このようにみると、BYDは頭1つ以上抜けている。電池メーカー出自で、今や車載電池シェア世界2位を誇る。それに加え、車載半導(dǎo)體でもパワー半導(dǎo)體を中心に國內(nèi)の覇権を握ろうとしている。電池、半導(dǎo)體、完成車それぞれに強(qiáng)みを持つ企業(yè)は他に類を見ない。比亜迪半導(dǎo)體はBYD以外の自動(dòng)車メーカーにもパワー半導(dǎo)體の供給を開始し、株式上場(chǎng)も秒読みに入った。

これに対し、蔚來と領(lǐng)克は自動(dòng)運(yùn)転の実現(xiàn)に向けたCPU、GPUシステムの自前構(gòu)築を目指しているようだ。BYDは自動(dòng)運(yùn)転にはあまり熱心ではない。創(chuàng)業(yè)者の王伝福（ワン?チュアンフー）氏は以前、「自動(dòng)運(yùn)転はナンセンス」とこき下ろしたことがある。従って、競(jìng)合他社にとっては狙いどころだ。しかし、スマホ用のロジック半導(dǎo)體ほどの投資は必要ないとはいえ、たかが300～800人の陣容で本當(dāng)に競(jìng)爭(zhēng)力のあるSoCが開発できるのだろうか。その答えはここ2～3年で明らかになるだろう。

■筆者プロフィール：高野悠介

1956年生まれ、早稲田大學(xué)教育學(xué)部卒。ユニー株（現(xiàn)パンパシフィック）青島事務(wù)所長、上海事務(wù)所長を歴任、中國貿(mào)易の経験は四半世紀(jì)以上?，F(xiàn)在は中國人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中國最新のB2Cビジネスと中國人家族について、ディ－プな情報(bào)を提供。著書：2001年「繊維王國上?！箹|京図書出版會(huì)、2004年「新?繊維王國青島」東京図書出版會(huì)、2007年「中國の人々の中で」新風(fēng)舎、2014年「中國の一族の中で」Amazon Kindle。