バイデン米大統(tǒng)領(lǐng)と中國(guó)の習(xí)近平國(guó)家主席は15日午前（日本時(shí)間16日早朝）、米カリフォルニア州サンフランシスコ近郊で會(huì)談。途絶えている米中両軍高官の対話を再開(kāi)させることで合意した。臺(tái)灣海峽や南シナ海での偶発的な衝突を防ぐ狙いだ。このほか経済関係をはじめとする米中両國(guó)の課題や世界が直面している中東やウクライナ情勢(shì)についても協(xié)議した。

米中首脳會(huì)談はサンフランシスコ中心部より40キロほど南にあるカリフォルニア州ウッドサイドにある「ファイロリ」邸で開(kāi)いた。両首脳は會(huì)談前に共に右手を挙げて笑みを浮かべ握手を交わした。會(huì)談はおよそ4時(shí)間に及び、少人數(shù)での晝食會(huì)の後、両首脳は2人だけで庭園を散歩した。

理解し合うことが最も重要

會(huì)談の冒頭、バイデン大統(tǒng)領(lǐng)は「対面での協(xié)議に勝るものはない」と強(qiáng)調(diào)。その上で「われわれは長(zhǎng)い付き合いだ。常に意見(jiàn)が一致したわけではないが、誰(shuí)も驚くことではない。対話を大切にしているのは、誤解や行き違いのないようにはっきり理解し合うことが最も重要だと思うからだ」と表明。さらに「競(jìng)爭(zhēng)が衝突に発展しないようにしなければならない。責(zé)任を持って競(jìng)爭(zhēng)を管理しなければならない。それが米國(guó)の希望であり狙いだ。世界もわれわれにそう望んでいる」と指摘。気候変動(dòng)や人工知能（AI）などの分野を挙げ、「お互いの利益になると判斷すれば協(xié)力する責(zé)任がある」と呼びかけた。

これに対し習(xí)主席は「地球は十分に大きく、米中が共に成功するのは可能だ」と呼応、両國(guó)の共存共栄をアピールした。「私とバイデン大統(tǒng)領(lǐng)はかじ取り役であり、國(guó)民、世界、そして歴史に対して重い責(zé)任を持つ。中米関係の戦略性や方向性、世界の平和と発展に関する重大な問(wèn)題について深く意見(jiàn)交換し、新たな合意に到達(dá)したい」と語(yǔ)った。

國(guó)防?AI?経済などで対話枠組み設(shè)置

會(huì)談では両軍の高官協(xié)議や國(guó)防當(dāng)局の対話、海上軍事安全保障會(huì)議も再開(kāi)することを確認(rèn)した。両軍の戦闘區(qū)域のトップ同士で連絡(luò)を取り合うことも申し合わせた。

バイデン大統(tǒng)領(lǐng)は會(huì)談後の記者會(huì)見(jiàn)で「建設(shè)的で生産的な議論だった」と実りのある會(huì)談だったと語(yǔ)った。米中の競(jìng)爭(zhēng)が「紛爭(zhēng)に発展しないように関係を合理的で管理可能なものにするのが私の責(zé)任だ」と表明した。その上で、中國(guó)本土と臺(tái)灣が不可分だという中國(guó)の立場(chǎng)に異を唱えず、米國(guó)が臺(tái)灣の安全保障に関與する「一つの中國(guó)」政策を維持すると改めて明言した。

習(xí)主席は會(huì)談で「世界経済は回復(fù)し始めたが、その勢(shì)いは不十分だ。産業(yè)サプライチェーン（供給網(wǎng)）の混亂や保護(hù)主義の臺(tái)頭といった問(wèn)題は顕著になっている」と言明。経済安全保障を理由に先端半導(dǎo)體などの対中輸出?投資規(guī)制を主導(dǎo)する米國(guó)をけん制した。

両首脳は人工知能や経済に関する政府間対話を立ち上げることを確認(rèn)した。AIの軍事利用に関する懸念が広がっていることに対応するものだ。

また醫(yī)療用麻薬フェンタニルを念頭として両國(guó)が麻薬取り締まり対策班を設(shè)置することなどで合意したことも成果と言える。フェンタニルの過(guò)剰摂取による死者が米國(guó)內(nèi)で激増しているため、米中両國(guó)が解決に向けて協(xié)調(diào)することになった。

さらに米國(guó)が経済安全保障を理由に進(jìn)めてきた先端半導(dǎo)體などの対中輸出?投資規(guī)制も取り上げられた。中國(guó)は技術(shù)開(kāi)発やサプライチェーンに影響が出ており、かねて撤廃や緩和を求めてきた。

米國(guó)では対中輸出規(guī)制により半導(dǎo)體製造裝置の対中輸出が半減し、関連業(yè)界は大きなダメージを受けている。航空機(jī)、自動(dòng)車など他の産業(yè)分野についても、米中対立による打撃が甚大なため、ビジネス機(jī)會(huì)の減少に金融?産業(yè)界の不満は高まっており、「世界最大の市場(chǎng)（中國(guó)）を失うな」と猛烈なロビー運(yùn)動(dòng)を展開(kāi)している。バイデン政権は半導(dǎo)體の対中規(guī)制をトーンダウンし、軍事開(kāi)発に直結(jié)する分野に限定するなど緩和する方針だ。

イエレン財(cái)務(wù)長(zhǎng)官はじめ米國(guó)の経済閣僚が相次いで北京入りし、「中國(guó)との経済枠組み設(shè)置」で合意している。

習(xí)氏、臺(tái)灣平和統(tǒng)一方針を示す

このほかバイデン大統(tǒng)領(lǐng)はイランとサウジアラビアの國(guó)交回復(fù)を仲介し、イランなどとパイプを持つ中國(guó)が中東情勢(shì)やウクライナ紛爭(zhēng)でも協(xié)力するよう促した。

今回の米中首脳會(huì)談で、米中関係が激しい「競(jìng)爭(zhēng)」関係にある中で協(xié)力できるところでは協(xié)力することを相互に確認(rèn)したことは大きな意味を持つ。緊密なコミュニケーションの促進(jìn)で一致し、首脳會(huì)談や閣僚會(huì)談を頻繁に開(kāi)催することになったことも特筆される。特に米中間の伝統(tǒng)的な合意事項(xiàng)である、「中國(guó)は一つ」の原則を米國(guó)が再確認(rèn)。バイデン氏が臺(tái)灣海峽の安定の重要性を強(qiáng)調(diào)し中國(guó)による武力侵攻をけん制したのに対し、習(xí)氏も平和的統(tǒng)一方針を示したことも注目される。また中東情勢(shì)など、目下の國(guó)際情勢(shì)や、いくつかの二國(guó)間における懸案を話し合った。

両首脳はアジア太平洋経済協(xié)力會(huì)議（APEC）首脳會(huì)議に出席するため、サンフランシスコ入りしている。習(xí)氏の訪米は2017年4月以來(lái)、約6年半ぶりで、バイデン氏との會(huì)談は昨年11月にインドネシア?バリ島で実施して以來(lái)、約1年ぶりとなった。

■筆者プロフィール：八牧浩行

1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長(zhǎng)、常務(wù)取締役編集局長(zhǎng)等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國(guó)、アフリカ、中東、アジア諸國(guó)を取材。英國(guó)?サッチャー首相、中國(guó)?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見(jiàn)。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問(wèn)。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國(guó)危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國(guó)為替ハンドブック」など。趣味はマラソン（フルマラソン12回完走＝東京マラソン4回）、ヴァイオリン演奏。