エジプトも中國(guó)も古い文明が栄えた地だ。古代エジプト文明と古代中國(guó)文明にはもちろんながら、共通點(diǎn)も異なる點(diǎn)もある。中國(guó)社會(huì)科學(xué)院考古研究所世界考古研究室の賈笑氷主任はこのほど、中國(guó)メディアの中國(guó)新聞社の取材に応じて、エジプトとの共同調(diào)査で中國(guó)側(cè)責(zé)任者を務(wù)めたことがあるメンチュ（モンチュ）神殿遺跡を切り口に、エジプトと中國(guó)の古い文明の紹介や比較を披露した。以下は、賈主任の言葉に若干の説明內(nèi)容を追加するなどで再構(gòu)成したものだ。

【その他の寫(xiě)真】

古代エジプトでもとりわけ重要な神だったメンチュ神/h2>

エジプトのルクソールにあるメンチュ神殿遺跡は新王國(guó)時(shí)代のアメンホテプ3世の統(tǒng)治時(shí)代（紀(jì)元前1391－同1353年ごろ）に建てられた。メンチュ神はもとはテーベ（現(xiàn)ルクソール）地方の古都のアルマントの神だった。そして、エジプトの宗教體系で最も重要な神の一つになった。

メンチュ神に関する最古の記録は古王國(guó)時(shí)代の第6王朝（紀(jì)元前24－同22世紀(jì)ごろ）にさかのぼる。エジプトは、古王國(guó)が衰退した後の紀(jì)元前21世紀(jì)末ごろに混亂した第1中間期を迎えた。その後、テーベ出身の第11王朝のファラオ（王）のメンチュへテプ2世がエジプトを再統(tǒng)一した。ファラオらはメンチュ神には強(qiáng)力な加護(hù)の力があると信じていたため、多くのファラオが「喜ぶメンチュ神」を意味する「メンチュへテプ」と名乗った。メンチュ信仰のピーク期だ。しかし紀(jì)元前20世紀(jì)から紀(jì)元前18世紀(jì)の第12王朝には、アメン神への信仰が盛んになり、メンチュ神の首都テーベの主神としての地位は取って代わられた。しかし紀(jì)元前16世紀(jì)ごろに始まる新王國(guó)時(shí)代にもメンチュ神を形容する「テーベの主」の言葉は殘った。メンチュ神は勇猛な戦神とされていた。

現(xiàn)在のメンチュ神殿跡は日干しれんがの塀で囲まれた四角い區(qū)域にあり、この區(qū)域はメンチュ神殿以外にもマアト神殿、ハプラ神殿、聖なる湖、北の大門(mén)、六つのオシリス神殿など、メンチュ神殿を含む宗教的建造物群だ。

メンチュ神殿跡、より正確にはメンチュ神殿跡遺跡群の建築群は新王國(guó)時(shí)代に建設(shè)が始まり、プトレマイオス朝時(shí)代（紀(jì)元前305年－同30年）になってようやく現(xiàn)在の規(guī)模と配置になった。敷地の塀と一部の建物の基礎(chǔ)が日干しれんが建築であることを除けば、建築材料はすべて砂巖質(zhì)だ。神殿や神殿の外壁面には、ファラオや巫女が太陽(yáng)神アモンやオシリスに供え物を捧げる様子や関連する象形文字が描かれていることが多い。

違いの原因は自然條件と思想の雙方

古代エジプトの宗教的建造物の多くが石で作られたのは、エジプト人は石の建物の方が永続的で、神への敬意を示すことができると考えたからだ。また歴代ファラオは、石造の建物に自分と関係のある絵や銘文を彫ることで、自らを後世に伝えられると考えた。

中國(guó)の同時(shí)期の建築はすべて土と木で作られており、違いは大きい。一方で中國(guó)の古代の建設(shè)は、都市計(jì)畫(huà)でも個(gè)別の建築物でも線対稱(chēng)の配置を重んじた。高級(jí)な建物や宗教関係の建築は特にそうだ。中心軸が存在し、北座して南面する構(gòu)造だ。しかしエジプトの建築は、対稱(chēng)性をさほど重視していない。個(gè)別の建築物には線対稱(chēng)に構(gòu)築されていても、建築群全體としては対稱(chēng)の概念が導(dǎo)入されていない。建物の向き、特に神殿の場(chǎng)合には向きがナイル川との位置関係で決められる。神殿には人工による水路がナイル川とつながっていることが多く、祭事に神像を乗せた聖なる舟を通しやすくすることが大切だった。

中國(guó)の伝統(tǒng)建築が線対稱(chēng)の配置を採(cǎi)用したのは、中國(guó)伝統(tǒng)文化の中の「執(zhí)中」、つまり中庸とその実踐を重視する思想と関係がある。中國(guó)の古代哲學(xué)では天人合一つまり大自然と人の融合やバランスの観念が強(qiáng)調(diào)されており、これらの思想が建築の中で體現(xiàn)された。また、中國(guó)の古代建築は美を重視し、簡(jiǎn)潔、大気、重厚、優(yōu)雅な風(fēng)格を追求した。北座南面であれば陽(yáng)光を十分に得て冬の北風(fēng)にも耐えることができた。自然現(xiàn)象を正しく認(rèn)識(shí)し、天の道に順応することが重視された結(jié)果だった。

一方でエジプトの古代建築は、自然環(huán)境に大きく左右された。ナイル川の両岸の広くない範(fàn)囲內(nèi)でのみ神殿類(lèi)建築を建てることができ、さらにナイル川は曲がりくねって北流する。神殿とナイル川を結(jié)ぶ人工水路はナイル川の流れに対応方向を決めるしかなく、神殿の向きは人工水路の配置に基づいて決めるしかなかった。

「神権」から「王権」への流れは同じでもその後に違い

メンチュ神殿には古代エジプト文明の発生発展過(guò)程における神権と王権の結(jié)合が反映されている。王権が神権の力を借りて強(qiáng)化されたことは、中華文明の初期の起源とその発展に極めて類(lèi)似している。

中國(guó)の著名な考古學(xué)者の張忠培氏は、「中國(guó)社會(huì)の発展について深く考えた結(jié)果、先に神権があり、後に王権があると分かった」、「神権が王権の発展を推進(jìn)した」と述べた。初期の王権は確立後も、神権の助けが必要だった。つまり王権は神権を通じて正當(dāng)性と合法性を獲得し、民衆(zhòng)の精神を支配し、社會(huì)の統(tǒng)合や統(tǒng)治の強(qiáng)化を容易にした。同じ信仰を持つことで、人々の自らが屬する集団への帰屬心を強(qiáng)めることができた。

中華文明の形成には、多元から一體への進(jìn)化過(guò)程が存在する。各地域の先史時(shí)代の文化はそれぞれの特徴を形成した。その後は各地域の文化が交わり、思想面の共通性を次第に形成した。この共通性は絶えず豊かになり、絶えず強(qiáng)化された。多くの支流が合流して1本の大河になるような狀況だ。このような狀況は現(xiàn)在まで続いている。社會(huì)に新たな狀況が出現(xiàn)することは、前の時(shí)代との斷裂ではなく、継続しつつの飛躍だった。こうして中華民族の精神が形成された。

エジプト文明にも「多元と一體」の形成過(guò)程が存在した。しかしこの過(guò)程は、より多くは武力による打倒により成し遂げられた。新たに勃興した文化が、既存の文化を消滅する方式だった。そのため、一體化の過(guò)程の中で中核となる思想と特質(zhì)は形成されなかった。

中國(guó)とエジプトの文明の比較を通じて分かるように、人類(lèi)運(yùn)命共同體の構(gòu)築には、中華文明の多元的な一體の形成過(guò)程、すなわち文明の相互參照や融合、往來(lái)がより必要だ。まさに各民族の異なる文化の共生と交流が、光り輝く人類(lèi)文明を創(chuàng)造するのだ。世界各國(guó)の前途と運(yùn)命が緊密につながっている今の時(shí)代において、文明の交流と相互參照を深めることは、隔たりと誤解を解消し、民心の相互理解を促進(jìn)する重要な道であり、人類(lèi)運(yùn)命共同體の文化の根幹を固めるための土臺(tái)だ。人類(lèi)運(yùn)命共同體の構(gòu)築は「文明の交流で文明の隔たりを超え、文明の相互學(xué)習(xí)で文明の衝突を超え、文明の包容により自らの文明の優(yōu)越を信じる思想の限界を超える」必要がある。

人類(lèi)の文明の系譜を知るには、まずは科學(xué)的、系統(tǒng)的、そして微に入り細(xì)に入った考古學(xué)の発掘作業(yè)が必要だ。さらに學(xué)際的な総合研究を強(qiáng)化する必要がある。自然科學(xué)の手段でより豊富な古代文明情報(bào)を獲得し、哲學(xué)社會(huì)科學(xué)の理論で解釈の枠組みを構(gòu)築し、物質(zhì)文化史を通じて人類(lèi)社會(huì)の発展過(guò)程を解読し、人類(lèi)文明の思想世界の発展の過(guò)程を解釈し、古代文明の核心に迫らねばならない。その核心的価値に基づきつつ保護(hù)計(jì)畫(huà)を制定し、保護(hù)の過(guò)程において、人類(lèi)文明の核心的価値を體現(xiàn)し、そのことによるいにしえを知り、今を鑑みる意義を持たせるのだ。

それらを示すことで、現(xiàn)在の世界の人々には古代文明の輝きに驚嘆していただき、そのことで人々が異なる文明に內(nèi)包された人類(lèi)の思想を味わうことができるようになる。（構(gòu)成/如月隼人）