年明け早々、北朝鮮の金正恩黨総書(shū)記が能登半島地震のお見(jiàn)舞いメセージを日本に送ったことから、「対日姿勢(shì)軟化の兆しか」などさまざまな憶測(cè)が流れている。

見(jiàn)舞いメッセージの意味は

各メディアが報(bào)じたように北朝鮮の國(guó)営通信社「朝鮮中央通信」は6日、金正恩総書(shū)記が岸田文雄首相宛てに能登半島地震への見(jiàn)舞い電報(bào)を送り、哀悼の意を表明したと伝えた。同総書(shū)記はこの中で「日本で不幸にも新年初めから地震により多くの人命被害と物的な損失を被ったという知らせに接し、あなたと遺族、被害者に深い同情と見(jiàn)舞いの意を表する」と述べている。

このメッセージは5日付で朝鮮労働黨機(jī)関紙「労働新聞」にも掲載された。朝鮮半島情勢(shì)に詳しい専門(mén)家の話では1995年の阪神?淡路大震災(zāi)の際に、當(dāng)時(shí)の姜成山首相から村山富市首相宛てに見(jiàn)舞いのメッセージが送られたが、それ以來(lái)だという。

北朝鮮問(wèn)題の専門(mén)家が一様に注目するのは、今回のメッセージで金総書(shū)記が「日本國(guó)総理大臣岸田文雄閣下」と敬稱(chēng)をつけている點(diǎn)?！副背rの対日姿勢(shì)が軟化する兆しではないか」「日本との対話を探ろうとする意図があるのでは」などといった見(jiàn)方が取りざたされている。これで思い起こされるのは、北朝鮮のトランプ前米大統(tǒng)領(lǐng)に対する態(tài)度の変化だ。かつて北朝鮮はトランプ前大統(tǒng)領(lǐng)を「老いぼれの狂人」などと罵倒していたが、2018年の初の米朝首脳會(huì)談の直前からは「親愛(ài)なる大統(tǒng)領(lǐng)閣下」と敬稱(chēng)で呼び始めたという事実がある。日本の首相に異例の敬稱(chēng)を付けた北朝鮮のソフト姿勢(shì)が重要視されるゆえんである。

興味深い朝鮮総連議長(zhǎng)の行動(dòng)

金総書(shū)記の見(jiàn)舞い電報(bào)が出された同じ5日、日本でもう一つ興味深い出來(lái)事があった。在日本朝鮮人総聯(lián)合會(huì)（朝鮮総連）のトップの許宗萬(wàn)議長(zhǎng)がこの日東京の帝國(guó)ホテルで開(kāi)催された時(shí)事通信社グループの「新年互禮會(huì)」に出席したのである。この互禮會(huì)では岸田首相が新年のあいさつをしたが、多數(shù)の招待客に交じって許議長(zhǎng)も耳を傾けたという。

同議長(zhǎng)は90歳近い高齢でもあり、最近では體力の衰えに加え視力の低下などで、外部の公式の席にはほとんど出ないと伝えられる。時(shí)事通信社の関係者によれば、同議長(zhǎng)はボディガードに手を引かれ、岸田首相のあいさつが始まる前に會(huì)場(chǎng)入りし、あいさつを聴いた後に時(shí)事通信社幹部らにあいさつし、會(huì)場(chǎng)を後にした。総連副議長(zhǎng)や広報(bào)擔(dān)當(dāng)の副局長(zhǎng)の出席も確認(rèn)されている。同社主催の互禮會(huì)は毎年開(kāi)かれているが、過(guò)去數(shù)年、許議長(zhǎng)は欠席していたという。北朝鮮問(wèn)題関係者らの間では「許議長(zhǎng)の行動(dòng)は本國(guó)の対日ソフト姿勢(shì)と関係があるのではないか」とささやかれている。

北朝鮮の融和姿勢(shì)にどう対応―岸田政権

北朝鮮が対日姿勢(shì)を軟化させた場(chǎng)合、日本はどのように対応するのか。林官房長(zhǎng)官は金総書(shū)記の見(jiàn)舞い電報(bào)に謝意を表するとしながらも、メッセージに返答する考えはあるかと聞かれたのに対し、「各國(guó)首脳などからのメッセージへの返信は現(xiàn)時(shí)點(diǎn)で行っていない。日朝間のやり取りについては、今回のメッセージに対する対応を含め、事柄の性質(zhì)上、控えたい」と述べるにとどまった。

思い起こせば、昨年5月に岸田首相が金総書(shū)記との首脳會(huì)談の早期実現(xiàn)を目指し、首相直轄のハイレベルで協(xié)議を行いたい旨表明、これに対し北朝鮮側(cè)は外務(wù)次官談話を発表し、「両國(guó)が會(huì)えない理由はない」と前向きとも受け取れる反応を見(jiàn)せた。支持率低下に苦しむ岸田政権が日朝関係の打開(kāi)にこれまで以上に意欲を示していると見(jiàn)る向きは少なくない。

拉致問(wèn)題擔(dān)當(dāng)大臣を兼務(wù)する林官房長(zhǎng)官は昨年就任早々、新潟市を訪れ、橫田めぐみさんが北朝鮮に拉致された現(xiàn)場(chǎng)を視察、今年1月11日にはめぐみさんの母親の早紀(jì)江さんらと総理大臣官邸で面會(huì)し、すべての拉致被害者の早期帰國(guó)に向けて全力で取り組む考えを強(qiáng)調(diào)した。果たして今回の金総書(shū)記の見(jiàn)舞いメッセージなどソフト姿勢(shì)が日朝関係打開(kāi)への一歩になるのだろうか。

■筆者プロフィール：山崎真二

山形大客員教授（元教授）、時(shí)事総合研究所客員研究員、元時(shí)事通信社外信部長(zhǎng)、リマ（ペルー）特派員、ニューデリー支局長(zhǎng)、ニューヨーク支局長(zhǎng)。