34年ぶり160円臺(tái)、円安はどこまで進(jìn)むのか=日本経済「アジア新興國並みに」の予測も

長田浩一    2024年4月30日(火) 18時(shí)0分

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為替市場では年明けから円安が進(jìn)んでいる。日本銀行が3月の金融政策決定會(huì)合でマイナス金利政策の解除を決め、一服するかと思われたが、その後も円安は加速している。

為替市場では年明けから円安が進(jìn)んでいる。日本銀行が3月の金融政策決定會(huì)合でマイナス金利政策の解除を決め、一服するかと思われたが、米景気の予想以上の強(qiáng)さを背景に米金利の低下観測が遠(yuǎn)のいたことや、4月の決定會(huì)合後の記者會(huì)見で植田和男日銀総裁が當(dāng)面金融緩和を続ける姿勢を示したことなどから、円安はむしろ加速。一時(shí)34年ぶりに1ドル=160円臺(tái)をつけ、その後も不安定な値動(dòng)きとなっている。これまでの異次元緩和の後遺癥で、日銀が利上げに踏み切りにくいという事情もあり、円安の流れは當(dāng)面続きそうな気配だ。

経済界からも是正を求める聲

個(gè)人的な昔話で恐縮だが、円相場というと頭に浮かぶのが、前回の東京五輪が開かれた1964年の小學(xué)校の遠(yuǎn)足での思い出だ。バスに乗って郊外の見學(xué)に出かけた帰り道、バスガイドさんが3年生の私たちに、こんななぞなぞを出した。「バスの運(yùn)転手さんは、今いくらお金を持っているでしょう?」。私たちがどう回答したかは覚えていないが、答えは180円?,F(xiàn)在60代以上の方ならお分かりだと思うが、ドルと円は戦後長い間1ドル=360円の固定相場だった。運(yùn)転手さんが握っているのはハンドル。「半ドル」とも読めるため、360円の半分の180円となる。

ドル

たわいのないエピソードだが、このバスガイドさんの問いかけは、當(dāng)時(shí)8歳の私に「1ドルは360円」という事実を強(qiáng)烈に印象づけた。今でも、為替について考えるたびに思い出すほどで、いささかオーバーながら、私にとっては円相場の原點(diǎn)ともいえる記憶だ。

あれから60年。円相場は、71年のニクソンショックでの円切り上げ、73年の変動(dòng)相場制への移行、ドル高是正のための85年のプラザ合意などを経て、基調(diào)的には円高傾向をたどり、80年代末からはおおむね1ドル=100~150円のレンジで推移。2011年には同75円臺(tái)まで円高が進(jìn)んだが、12年末の第二次安倍政権発足後はある程度の上下動(dòng)を伴いつつも同120円を中心とした水準(zhǔn)で取引されていた。しかし米國の利上げなどを背景に22年から円安が進(jìn)み、同年10月に同151円まで下落。その後やや戻したものの、今年に入ってから再び円安の流れが加速している。

輸出産業(yè)が経済の花形だったかつての日本では、円安は輸出を促進(jìn)する好材料として歓迎されていた。しかし貿(mào)易収支の赤字基調(diào)が定著しつつある現(xiàn)在、エネルギーや食料品などの輸入価格を押し上げる円安は、全體としてはマイナスが大きい。昔だったら円安を歓迎したであろう経済団體から是正を求める聲が噴出しているのはその証左だ。経済規(guī)模でドイツに抜かれるなど日本経済全體の低迷という事情はあるものの、現(xiàn)在の円安は行き過ぎであり、せめて同130円程度まで戻してほしい、というのが大方の見方ではないか。

利上げできない本當(dāng)の理由がある?

そうした中で4月末に開催された日銀の金融政策決定會(huì)合は、円安傾向に対して何らかの対応措置が打ち出されるのではないかとの観測が浮上し、大いに注目された。しかし、結(jié)果は「金融政策の現(xiàn)狀維持」。植田総裁は會(huì)合後の會(huì)見で、「(円安の)基調(diào)的な物価上昇率への大きな影響はないと判斷した」と述べ、円安に対応するための利上げには慎重な見解を示した。

たしかに、今年4月の東京都區(qū)部の消費(fèi)者物価指數(shù)(生鮮食品を除く)は前年同月比1.6%の上昇と、円安にもかかわらず比較的落ち著いており、同総裁の発言は理解できないことはない。ただ、生鮮食品を除く食料は同3.2%増と依然として高水準(zhǔn)にあり、また4月の東京には高校授業(yè)料の実質(zhì)無償化の開始という特殊事情があった。円安の物価への影響は今後本格化する可能性があり、楽観はできない。

東京のスーパーマーケット

これだけ円安が進(jìn)んでいるのに日銀が利上げに慎重な理由として、物価への影響が(現(xiàn)時(shí)點(diǎn)では)比較的小さいこととは別に、公言しにくい隠された理由があるとの見方もある。エコノミストの河村小百合氏は、著書「日本銀行 我が國に迫る危機(jī)」(2023年講談社現(xiàn)代新書)で、利上げした場合、この10年間の異次元緩和を通じて日銀が大量に買い込んだ國債の価格が下落して債務(wù)超過に陥り、日銀そのものはもとより通貨としての円の信認(rèn)が損なわれる危険性を指摘。「利上げに踏み切りさえしなければ、インフレの進(jìn)行が放置されるリスクは高まりますが、日銀は赤字にも債務(wù)超過にもなりません。このことこそが、日銀が超金融緩和からの転換を頑なに拒み続ける本當(dāng)の理由なのだろうと私は思います」と喝破している。

また、超低金利のおかげで低水準(zhǔn)に抑えられていた國債の利払い費(fèi)が、利上げすれば大幅に増加し、現(xiàn)在でも先進(jìn)國中最悪と言われる財(cái)政を一段と圧迫する恐れがある。要するに、利上げすれば日銀の財(cái)務(wù)と國の財(cái)政の雙方に重大な危機(jī)が招來する可能性があるため、円安が進(jìn)んでも、インフレが進(jìn)行しても、超低金利政策を簡単には放棄できないという訳だ。

そうなると、利上げに慎重な日銀(その裏にはもちろん政府がいる)と、円の先安観を強(qiáng)めるマーケットとの我慢比べになる。參議院議員で元為替トレーダーの藤巻健史氏のように「円は1ドル=400~500円まで値下がりする」と予測する人もいるが、そこまでいかなくても170円、180円と円安が進(jìn)んだ時(shí)、政府?日銀はどう対応するのか。そうならないことを祈りつつ、狀況を注視していきたい。

「金利のある世界」への復(fù)帰を

為替相場はその國の経済力、ひいては國力を反映すると言われる。その意味で、最近の円安は「失われた30年」の結(jié)果とも言えるが、経済産業(yè)省がこのほど発表した資料「2040年頃に向けたシナリオについて」は、その點(diǎn)で興味深い內(nèi)容を含んでいる。同資料によると、この30年間の経済の低迷は、企業(yè)が生産拠點(diǎn)を海外に移して國內(nèi)投資を控えたことが主因であるという?!袱い?、政府の経済政策への反省はなく、民間にすべて責(zé)任を押し付けるのか」と言いたくなるが、國內(nèi)投資の抑制が経済活性化を阻害した一因であることは事実だろう。

日本銀行 

その上で同資料は「これまでと同様の経済運(yùn)営?企業(yè)経営を継続すると…実質(zhì)賃金?國內(nèi)総生産(GDP)の成長は橫ばいにとどまり、新興國に追いつかれ、海外と比べて『豊かではない』狀況に陥る可能性が高い」と警鐘を鳴らす。従來の延長線上では、名指しこそしていないものの中國やインドといった新興國に追いつかれ(あるいは追い越され)、「世界と勝負(fù)できなくなる」恐れがあるという見立てだ。そうした事態(tài)を避けるためには、海外への輸出?投資を拡大するとともに利益を國內(nèi)に還流させ、「ソフトウェアや研究開発を含む國內(nèi)投資?賃上げ?イノベーションを継続的に拡大」していく必要があると説く。

経産省がこうした見通しを公表した背景には、同省が旗振り役を務(wù)める半導(dǎo)體産業(yè)への巨額投資を正當(dāng)化する狙いがあるとみられる。その點(diǎn)は割り引かなければいけないが、日本経済が今後も成長し、アジアの新興國に負(fù)けない存在感を維持するには、先端産業(yè)への投資が必要なことも事実だ。

ただ、「これまでと同様の経済運(yùn)営」の中には、この10年間の超低金利政策と、それに伴う円安も含まれるはず。超低金利政策は、結(jié)果としてゾンビ企業(yè)や非効率な制度の延命を許し、日本経済の新陳代謝の遅れを招いたとする見方は少なくない?;顨荬韦ⅳ虢U済社會(huì)を取り戻すには、「金利のある世界」への復(fù)帰が不可欠だ。日銀には、時(shí)間はかかるかもしれないが、金融政策の正?;?、それによる國力に見合った円相場への誘導(dǎo)を期待したい。

■筆者プロフィール:長田浩一

1979年時(shí)事通信社入社。チューリヒ、フランクフルト特派員、経済部長などを歴任。現(xiàn)在は文章を寄稿したり、地元自治體の市民大學(xué)で講師を務(wù)めたりの毎日。趣味はサッカー観戦、60歳で始めたジャズピアノ。中國との縁は深くはないが、初めて足を踏み入れた外國の地は北京空港でした。

※本コラムは筆者の個(gè)人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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